社会的弱者である情報強者は

こんにちは、minamiです。
電動車椅子で無人駅に行こうとしたある身体障害者のブログが話題になっていると聞いたので、読んでみました。

簡単に所感を。

・電動車椅子はそうでない車椅子の6倍ほど重たい
・JRの職員さんが気の毒
・身体障害者が無人駅を使えないなら気の毒
・タクシーやバスは一般的に電車賃よりも高額

この人が「自分の行きたい駅まで行こうとしたら無理ですと言われた」ことを乗車拒否と捉えているのであれば、ブログのタイトルは間違っていないので、突っ込むことはもうないです。

それはそれとして、もうちょっと一般的なお話をします。

・障害者と福祉課は連携取れてない
・交通機関と障害者にまつわるお金の話

障害者とは「弱者特権を利用する強者である」という認識を持っている方へ。なぜそう見えるのか。私なりに説明できればと思います。

・障害者と福祉課は連携取れてない

特別な役職(法務や保険福祉士など)をのぞけば特定の課に所属する職員も国や自治体の制度を市民がのぞむレベルでは把握していません。障害者は主に福祉課を利用しますが、福祉課に置いてある自治体のパンフレットの中身すら、職員の方々が把握していないことはザラです。
そういえば、横浜市で生活保護申請についてニュースがありました。

水際対策で不受理という見方が多く、実際にそうであるケースもあります。(このケースがどうか、私にはわかりません)一方、福祉課に出入りしている障害者からすると、職員が制度を理解していない福祉課あるあるのパターンと同じノリじゃね?と生ぬるい視線で見てしまいます。

福祉課で言われがち/ありがちなこと
・「それ(申請書)書いても却下されると思いますよ」
・「(制度に)詳しくないので〇〇さんを待ってください」
・「他の課(施設)に問い合わせて確認します」
・数日経って「これ書いてください」と追加書類
・その書類と重複できない書類を役所は受理済
・聞いたら「忘れてました!」と言われて色々出てくる

県外で医療を受けたあと住んでいる県で医療費の還付を受ける制度がありますが(紙1枚で済む)福祉課のスタッフが慣れていない場合、手続きに1時間かかることもザラです。
日常が「そんなもん」なので、萎縮することもあります。困っている障害者は、仕方ないので色々自分で調べて行動します。そして、相手に期待しなくなったり絶望したり、時に感謝したりします。
結果「情報強者である社会的弱者な障害者」が出来上がります。

なぜ社会的強者な職員が私が知っていることを知らないのか、なぜ苦労している側のこっちが勉強しなくてはいけないのか」という怒りを抱えることもあります。怒ると人間は攻撃的、高圧的になります。偉そうに見えたり、ヒステリックに権利を振りかざしているように見えるかもしれません。誤解されやすいですが、防衛本能に基づく弱さから来るものです。
それを一括りに「障害者様」と呼んでいいのか、私は疑問に思います。


・交通機関と障害者にまつわるお金の話

例えば無人駅が自宅の最寄りにある肢体不自由者が駅を使って高校に通いたいとき、電車に乗って高校に通うことは過ぎた望みでしょうか?親、生まれる土地、国籍、持病の有無は選べません。

そんな障害者に、どんな制度が用意されているのでしょうか。

・タクシー会社のいくつかは10%割引される
・1ヶ月2000円から3000円まで(上限あり)使えるタクシーチケット
・自治体によってはバス代が半額、無料になる
・飛行機、国鉄は走行距離によって割引される
・自治体運営の駐車場料金は割引される

だいたい以上です。
通院補助を前提としていることもあり、通学通勤には足りない金額です。電車ならひと駅170円でもタクシーなら倍以上はかかります。また、50km、100kmも離れた場所に通勤通学するようなケースでもない限り、国鉄は割引されません。
他には自宅をバリアフリーにリフォームする時の補助金、あるいは車椅子や白杖など購入するとき補助が受けられます。ただし、あくまで補助かつ、障害等級で受けられるかどうかが決まります。
ある程度は助けてはもらえますが、障害がある以上、生まれつき障害がないひとと比べればお金がかかること(しかも大抵はお金をそこまで稼げない)は厳然たる事実です。勿論、申請しなければ使えない制度ばかりです。
(知らなかった障害者のみなさんは調べてみよう!)

というわけで、前述した「なぜ社会的強者が私が知っていることを知らないのか、こっちがわざわざ勉強しなくてはいけないのか」という怒りがつのる人がいても仕方ない状況であると私は考えています。医者もよくわかっていない指定難病の患者が、医者以上に自分の病気について詳しくないといけないのか?と想像してみてください。似たようなもんです。


生きづらい人間が怒っている様子を見たとき、あなたはどうしますか?

どっとはらい。

読んでくれてありがとうございます!