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柚子のジャムを煮た土曜日

庭の柚子が採れた。
片方の手のひらで包めるくらいの小ぶりのもので、ころんころんとたくさん生る。今まで用途はあまり意識せず、何回か柚子湯に使った残りはだめにしてしまうことが多かった。
ジャムでも作ってみようか、と思いたったのはほんの気まぐれである。

私の住む町の水道水は冬になればとても冷たい。どこか近所に、井戸水を使っているような場所もあっただろうか。いつか聞いたことがある気もするが、定かではない。
みるみるかじかむ指先にひぃっとなりながら、柚子の皮をよく洗う。それだけでも、ふぅわりといい香りが立ちのぼってくる。

実を半分に切り、果汁をしぼる。種はいくらか残し、お茶出し用のパックに入れておく。
皮に残った薄皮を取り、内側の白い部分も取りのぞく(今回は地道に包丁で格闘したが、いったん茹でてしまうとスプーンで簡単にこそげ取れるらしいので、次の機会には試してみる)。

皮を千切りにして、3回茹でこぼす。
砂糖、水、種入りの袋とともに鍋に入れ、焦げつかせないように時折混ぜながら、コトコトと煮詰めていく。

煮沸しておいた瓶に詰める。
ほろ苦くて、甘酸っぱい。
はじめてにしてはうまくできたのではないかなぁ、とにっこりする。

柚子の皮を刻むまでの行程でかなりの時間と根気を要し、くたくたとまではいかないがだいぶ疲れてしまった。
ジャムなんて、普段は店で買って済ませてしまうようなものだ。いざ作ってみればこんなにも手間暇かかるのか、と思い知る。

たびたび、は正直難しいけれど、時にはこんな風に、ていねいに時間をかけた手仕事をしてみよう。



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