挑戦ができる環境=失敗ができる。海外展開を目指すFinT COOが、「主語が大きい人」を求める理由
※こちらの記事は、2023年6月にWantedlyにて掲載したインタビューのアーカイブです。
こんにちは!FinTのHR担当です。
FinTは「みんなの強みを活かして、日本を世界を前向きに」をミッションに掲げ、2017年に創業したSNSソリューションカンパニーです。
今回はCOO、山下恵(やました けい)のインタビューをご紹介します。
今年度から、本格的に海外進出を行っているFinT。代表・大槻祐依は海外支社の立ち上げを、山下は日本の事業全体を管轄することになりました。そんな山下へのインタビューは2年ぶり。前回から社内の体制も大きく変わり、国内の事業責任者を任されたいま、山下は何を考えているのでしょうか。
戦略の巧拙よりも、目の前にいるクライアントへの「ディープダイブ」
——はやいもので、前回のインタビューから2年が経ちました。改めて、今取り組んでいることについて教えてください。
ひとつは組織づくりです。人を採用して、新しく入ってきた人が早くから活躍できる流れをつくる。次に、SNSマーケティングに次ぐ第2の事業柱をつくること。ここがちゃんとできないと、そもそも会社としてメンバーが活躍できる機会を用意できません。
もうひとつには、FinTの日本代表としてのマインドづくりや立ち振る舞い。自分が持っている会社の課題をなんとか変化させることは意識しています。
——ここ数年で会社もかなり大きくなったかと思いますが、その要因はどこにあると思いますか?
まず戦略云々の話の前に、クライアントさんやユーザーを大事にしてきたからという理由があると思っています。
FinTの行動指針には「相手目線」というワードがあるんですが、これを制定したのが2022年。それ以前からクライアントやエンドユーザーに徹底的に寄り添う姿勢は大切にしてきたんですが、行動指針に掲げてからは施策の立案や実行の精度など、アウトプットが格段に変わったように感じます。
その上で戦略の話をすると、個人的には2021年に業界特化型のSNS運用チームを立ち上げたことが大きいと感じています。
たとえばシャンプーやコスメなどの美容系の商材の場合、小売店の棚をいかに獲得するかが重要なんですね。棚を動かすSNSマーケティングを徹底的に突き詰めた結果、ブランドの担当者と同じ目線、同じ熱量で語ることを徹底できるようになってきました。そうなってからは、月数百万程度だった顧客単価も、数千万円にまで拡大しましたね。
挑戦できる=失敗できるということ。
——とはいえ、組織拡大と事業成長の両立はかなり難しいことですよね。組織が着実に拡大しているのはどんなことを意識していたんですか?
年齢に関わらず、実力やポテンシャルを持っている人にどんどんチャンスを与え続けること。
いまのSNSマーケティング、特にZ世代向けマーケティングって、本当に厳しい競争環境にあるんですよね。それでも着々と成長しつづけるためには、もうチャレンジするしかない。
そして、チャレンジするためには組織を拡大することが必須なんです。そうでなければ新しいポジションをつくることができないから。ここ数年で挑戦できるカルチャーはかなり強化されたように思います。
——FinTにおける「チャレンジできるカルチャー」って、結局はどういうことなんでしょう。
やっぱり、失敗できることだと思います。
「挑戦」というとハードルが高いように聞こえるかもしれないんですけど、それって「失敗できない」と思っているからなのかな、と。でも、全力で取り組んだ上での失敗であれば、全然良いことだと僕は思うんです。失敗して僕と代表の大槻(CEO大槻、以下同)が怒ることは、まずないですね。
同じことを続けて成長できることは、ない
——たしかに、失敗で叱責しているのは社内でも見たことないですね。ちなみに、いつから「挑戦」を大事にするようになったんですか?
実は2019年の後半と2020年って、全然会社が伸びなかったんですよ。
当時は「既存の事業をどう伸ばすか」「KPIをどう伸ばすか」という思考に陥っていて、大槻にもフィードバックされました。「もっと新しいことに挑戦してほしい」って。その後、新しく立ち上げたのがインフルエンサーマーケティング事業部でした。
──そうすると伸び悩みがストップした、と。
はい。チャレンジする大切さをリアルに感じた成功体験でしたね。結局、同じことを続けているだけで伸ばせることはほぼないんですよね。今思えば当時の自分は慢心していたと思います。「うまく行っているときこそ挑戦を」というのは自分の中での合言葉みたいになってます。
——今の話を聞いていてもやっぱり思うのが、最近やまぴーさんの口にする言葉が変わってきたということ。何かが「見えてるんだな」というのが伝わる瞬間が増えてきたんですけど、やまぴーさんの中で今、何が変わってきているんでしょう?
う〜ん、自信がついたというのもそうなんですけど……やっぱり、FinTの本社を任せられることになってから、会社を背負うという感覚がひとつ上がったように思います。今までは常に1事業を見ていたんですけど、これからは事業も組織も、日本のことは全部見ないといけなくなる。良い意味で、成功しても失敗しても、全部自分のせいだと思うんですよね。その覚悟が言葉尻の変化として現れてるのかもしれないです。
海外展開は、「わけわからんくらい大変」
——言葉もそうですが、やまぴーさんの行動のスピード感も、一段階上がってきたように感じます。良い意味で、「焦っている」というか。
あぁ、良い意味での焦りは持つようになりましたね。
やっぱりグローバル展開っていうのはなんかもう、わけわからんくらい大変だと思うんですよ(笑)。しかも子会社を日本でつくるとかのレベルではなく、文化や価値観の異なる人たちと一緒につくっていくわけで。
最初はノリで「やれたらいいな」くらいで思ってたんですけど、昨年の10月に現地で海外視察をしたことで、「自分たちならできる!」という感覚も徐々に生まれてきて。解像度が上がったからこそ、スピードも求めるようになったんだと思います。
——そもそも、なぜ海外展開をしようと思ったのでしょうか。
FinTのパーパスが「みんなの強みを活かして、日本を世界を前向きに」なので、いずれは海外進出したいなと思っていました。じゃあどうやって?を考えた時に、SNSに近い場所で商売をしている会社として、「(SNSを使って)価値あるものを世界に届けたい」と思ったんです。
——価値あるもの。なかなか難しいですね。
まさにその通りで、「価値あるもの」って場所や時間、人によって大きく変わるんですよ。砂漠で購入できる水の価値がとても高いように、同じものを売るにも、場所やタイミングを変えると価値が高まるものがたくさんあると思っていて。
日本はもちろん、世界にも、その場所では「価値がない」と言われているものを、「価値がある場所」へと流通させていくことで、エンドユーザーも、それをつくる人もハッピーになるんじゃないかと思ったんです。島国である日本を豊かにするには、やっぱり価値の輸出入が肝になってくるのではないかと思っています。
——具体的に言うと?
やっぱり、入ってくる外貨を増やすということです。日本を豊かにするために、まずは輸出物を増やす。そして、インバウンドでしっかり日本での観光に価値を感じてお金を落としてもらうことが必要だと思っていて。ちゃんと日本のものが海外に売れるようにしていきたいし、日本に来たお客さんにちゃんとお金を落としてもらえるようにしたい。
20年後の日本、心配じゃないですか?
——事業展開としては日本の課題を解決しにいっているとも言えますよね。なぜ、それをFinTがやるべきなのでしょうか。海外進出を考えているクライアントのため?
先ほど「相手目線」という話をしましたから、そう思われる方も多いかもしれません。
でも、この海外展開はどちらかというと「国のため」と言えます。
去年、経営陣で海外視察へ行って、日本が衰退していることを痛感しました。日本の課題を、知ってしまったんですよね。知ってしまった以上、そして「みんなの強みを活かして、日本を世界を前向きに」をパーパスに掲げている以上、無視できないんですよ。そこで自分たちの視座が上がったというのはあります。
あとは、「一緒に向き合いたい」と言ってくれるメンバーがFinTにたくさんいたことも大きいです。現状の日本の課題を社内に共有すると、前向きに取り組んでくれる同志がいた。そういうガッツがある人たちがいれば、今は実力が足りなかったとしても現状を解決できるだけの力を持てると思うんです。
……それに20年後の日本って、すでにちょっと心配になるレベルじゃないですか?
——たしかに、「このままでは危ない」という感覚は漠然とあります。でも、正直そこまでリアルに当事者意識を持てないというか……。逆に、なんでやまぴーさんはそこまで自分ごと化できるんですか?
結構それは独りよがりなところがあって(笑)。なんか、自分に負けたくないというのが大きいんですよね。正直、自分のためにやってます。
課題や目標が見えてしまった以上、それを解決したり達成できなかったら、僕は「自分に負けてる」という感覚になるんです。自分に勝って、ようやく自分を認められるタイプなので。
事業ではなく、カルチャーが残る企業を目指して
——ちなみに、自身のロールモデルのような存在はいるんですか?
経営者像になるんですけど、リクルートの江副浩正さんと、サイバーエージェントの藤田晋さんですね。両者に共通しているのは、事業だけじゃなくて、組織がとてもつもない強さを持っていること。
結局は、世の中にカルチャーを残す会社でないと、いい会社にはなれないと思っていて。FinTもやっぱり世の中に残っていく会社でありたいと考えているんですけど、そのためには
事業を成長させて、挑戦し変革していかないといけないと思うんです。だから、僕たちもずっとSNSマーケティングだけに取り組んでいるつもりもないんですよ。主力事業もどんどん変わっていけば良いと思っています。
——成長のために、「変革」ですか?
はい。
先ほども言いましたが、やっぱり会社として変化していかないと、会社の成長率は横ばいになってしまうんですね。
会社に変化をおこすためには、変化できる組織、変化に強いカルチャーをつくることが大切。そして事業を変化できる組織は、もれなく組織も強いんです。それがリクルートであったり、サイバーエージェントだったりする。だからFinTの事業も、どんどん変化させていかないとだめだと思っています。
——なるほど。これからのFinTに求める人も、変化をおこせる人でしょうか。
そうですね。結局、会社は人が集まってつくっていくものなので、任せられて、成長できて、変革できる人にきてほしいと思います。
——変革できる人って、やまぴーさんからみるとどんな人でしょう?
主語が大きい人です。「社会」や「マーケット」など、「自分がこうありたい」というよりもっと「社会をこうしたい」とか、「マーケットがこうなってほしい」とか、とにかく主語が大きい人こそ変革できると思っています(笑)。あとは、そうした野望を口に出して、それに向けてコツコツ取り組める人。
——今のFinTにもそんな人が集まっていると思いますか?
そうですね。でも、もっともっとできると思っていますし、もっともっとやらないといけないと思ってます。もっと身の丈以上の野望を持っていいし、変化を楽しんでほしい。今いるメンバーには、自分たちが後世に残る「偉大な会社」の最初の50人だと思ってほしいですね。そのためにも、世の中のルールや前提を疑えるようになっていきましょう。
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