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のりこちゃんとパパ②

これはすべて母から聞いた話。

わたしとのりこちゃんがまだおむつをしていた頃のこと。

二人はしゃべることもまだあまりできなかったはずなのに、ある日、公園にいこうと相談をまとめた。

それも二人だけでいまからすぐ。

わたしたちは手をつなぎ、公園への道を歩きはじめた。

一本道だったらしい。

母とのりこちゃんのおかあさんはすぐにわたしたちがいなくなったことに気づいた。

物干し場にもアパートの前にもいない。

まさかと思いつつ、公園へ向かう道に目をやると、遠ざかっていく二人の後ろ姿が。

おむつをもこもこさせてどんどん小さくなっていく。

母親二人の悲鳴を聞くやいなや、のりこちゃんのおとうさんは雪駄を突っかけ駆け出した。

息を切らせてわたしたちに追いつくと、一人ずつ脇に抱えた。

そのまま大股に帰ってきたおとうさん。

胸割りシャツの前がはだけて、肩口の彫り物がちらちらしていたという。

わたしたちは、横に抱えられていることがおかしくて、きゃっきゃ喜んでいた。

無事だったことで安心するやら、まだはーはーしているおとうさんの様子がおかしいやらで、母とのりこちゃんのおかあさんも笑いが止まらなかった。

あんなに早く走っていった人を見たのは初めてだった、と母は毎回話を結んだ。