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#短編小説
そうしてゴドーと猫は旅に出たのだった。
01
黒猫が車に轢かれそうになっていたので助けたら喋った。嘘じゃない。
「ありがとな」
「はあ、はあ、……はぁ?」
「俺な、あのな、名前あるんよ」
「うん……はあ、うん」
「せっかくやで覚えてほしいんやけど……。ええか? いくで? エルヴィーン・ルードルフ・ヨーゼフ・アレクサンダー……」
「長い!」
こちとら遅刻回避のために自転車ガチ漕ぎしてた上に迫りくる軽トラからネコを助けて息も絶
ポケットがニュートリノでいっぱい
朝ご飯を食べて支度して、それで家を出ると門扉のすぐくらいに人影があった。トージだ。季節は夏だというのに彼は顔面蒼白で、わたしを見ると今にも泣きそうになる。汗ばんだ手を取られそうになるから、さける。
「な、なにこんな朝早くから」
「おれ、反おれになっちゃったんだ」
「はあ?」
「反おれだよ、はんぶっしつとかの……」
わたしははっとした。どこかで聞いたことがある。はんぶっしつ。それってもしかして反