NVIDIAを世界標準の経営理論で分析してみた
●前提
・NVIDIAはGPUメーカー
・時価総額は現在約80兆円 (2022年1月15日現在)
・GPUはCPUと比較すると並列処理に特化している
・並列処理に特化しているという特性を活かして、
ビットコインのマイニングやディープラーニングに活用されている
・NVIDIAのGPU専用のCUDAというソフトウェアによって、
誰でもGPUに簡単にアクセスでき、演算処理にGPUを使うことができるようになる
・自動運転車にGPUが活用されることになる見込み
1. SCP理論
・GPU業界はプレイヤーがNVIDIAとAMD、Intelぐらいしかおらず、
業界としてもほぼ寡占状態
さらに高機能のGPUに限っていえば、NVIDIAの独占状態にある
独占に近い状態のため、利益率が30%と高い状態を維持している
・なぜプレイヤーが少ないかについては詳細が不明
多大な開発費を要することや高度な技術力、特許が原因と思われる
ディープラーニング向けのGPUについては、CUDAとの組み合わせで独占している
高機能なGPUをソフトウェアとの組み合わせでより独占に近づけた
7. 取引費用理論
・NVIDIAはファブレスで製造を外部に委託している
取引費用理論をもとに外部委託をしていると思われるが、
昨今の半導体不足で半導体製造の取引費用が高騰しているのではないか
NVIDIAの販売するハイエンドのGPUを製造可能な会社はTSMCやSamsungなどのごく一部の会社に限られていることから足元を見られやすい
・特にコロナ禍で①不測事態の予見困難性や②取引の複雑性が高騰している今は不完備契約で足元を見られるホールドアップ問題が発生する可能性が高い
・ホールドアップ問題の解消法として、
自社での製造や製造会社の買収に取り組む可能性があるのではないか
23. センスメイキング理論
・GPUのディープラーニングへ舵をきったNVIDIAの社長のジェン・スン・ファン氏の行動はまさにセンスメイキングのお手本である
・多義的な世界で未来へのストーリーを語り、周囲をセンスメイクさせて足並みをそろえて、行動したエピソードが下記に示される。
・『NVIDIAには全社員が隔週で、業務レポートを1万人の全社員宛てにメールで送信する、という決まりがある。
役職の位が低い社員のレポートであっても、フアン氏を含む経営陣のもとに直接届けられる。
経営陣はそれらすべてに目を通しているという。
「GPUが米国トップ大学のAI研究で使われているらしい」。
複数の営業担当社員がこのようなレポートを共有すると、フアン氏の目に留まった。
すぐさまフアン氏は、メールを全社員に送った。
「Swarm deep learning」。
これがNVIDIAの今の成功につながった。』
参照:東洋経済『「トヨタも注目!半導体「エヌビディア」の哲学」』https://toyokeizai.net/articles/-/173910
・全社員が隔週で同じ情報を共有しているため、
同じ情報を社員が感知しており、ディープラーニングに注力するという方針に腹落ちしやすかった。
・認知バイアス理論的に考えるとダイレクトに全社員の情報を収集することで、
中間管理職のバイアスをかけずに判断を下すことができた。
26. ストラクチャーホール理論
・NVIDIAの社長のジェン・スン・ファン氏は、
台湾出身で、アメリカに留学してスタンフォード大学で修士号を取得して、AMDで働いていた
半導体の開発・設計に強みのあるアメリカと、半導体の製造に強みのある台湾と深いかかわりをもつファン氏は、
両者を結びつけるブローカーとなっている可能性がある
・AMDの社長のリサ・スー氏はジェン・スン・ファン氏の親戚にあたり同じく台湾の出身になる
アメリカと台湾の両方に軸を持つ人は今の半導体業界では強いと思われ
●所感
・NVIDIAは成長市場の独占という企業にとって目指すべき状態を築きあげた
一方で下記の記事にある通り、GPUを製造を目指す中国メーカーが多くの資金を集めており、
この独占状態は長期的に続かない可能性もある
https://36kr.jp/121641/
・半導体の製造能力不足の状態が続けば、自社で工場を持つ可能性もあるのではないか
・NVIDIAの創業は1993年だが、会社として大きくなったのはディープラーニングに注力したここ5年ほどになる
どのタイミングで何に注力するのかが極めて大事だということを思い知らされる
HAMACHIという活動を始めました。 まだ整備中ですが、良かったら覗いて見てください。 http://hamachi.life/hamachi-ssg/
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