見出し画像

【#89】超貴重!珍しい業界を知ることが出来る小説!「このビル、空きはありません!」

〈この記事を書いた人〉
福田浩樹(ふくだひろき)
1990年生まれ。大阪府出身。株式会社ネクスト COO
医療機器、不動産など複数の営業を経験。不動産営業では社内の歴代最高の売り上げ記録を更新。また、不動産エージェントとしての活動と並行して営業コーチとしても活動。エステサロン、英会話、弁護士業務、などの複数の業界において売り上げアップに尽力。業界問わずあらゆる営業において顧客の信頼を掴むコミュニケーション術を指導。

今週の本の紹介

今回は「このビル、空きはありません!~オフィス仲介戦線、異常あり~」という本についてお話し致します。

オフィス仲介は戦場だ!!
2022年ノベル大賞<大賞>受賞作! 契約ゼロ新卒の崖っぷち奮闘記!
入社以来、契約ゼロを続けていたオフィス仲介営業の咲野花。
ついに初契約かと思われた案件も押印直前で壊れ、とうとう営業から謎の男性早乙女さんの一人部署・特務室に異動になった。
特務室に仕事はなく、同期には蔑まれ、花は退職を申し出る。
だが早乙女さんから「査定に響く」という理由で慰留され最後に一つだけクライアントの希望に合致するオフィスビルを探すのだが……。
見つからない。どこにどれだけ電話をかけても見つからない。
これだけ探して、1件も見つからないなんてことある?
花の中で、何かが弾けた。
辞めたかった花の中で、エンジンがかかる音がした。
それが崖っぷち社員の反撃の始まりだった――!

この本に書かれているオフィス仲介という業界。
当然、不動産業界の中の1つではあるのですが、このオフィスを扱う事が出来る不動産業者は実は業界の10%ほどしかいないと言われています。
皆さんが駅前なんかで良く見る大手の不動産会社は、主に住宅や土地をメインで取り扱っています。
専門となる知識も全く異なることからオフィスや店舗の取り扱いはしていなかったり、部署が完全に分かれているという事が多いです。
そして、このオフィス仲介こそが僕が独立後、主戦場としている業界でもあります。
独立してからこの業界に入っているので、僕も必要な知識を習得するための勉強に非常に苦労しました。
何しろ不動産業界の全体の10%くらいしかオフィス仲介をやっていないわけで、勉強するための教材が少ないんですよね。
ネットや本で調べても実際の営業現場では一般的な業界のルールと言うよりも物件に関わる管理会社の慣習に沿って手続きを進めていく事が多く、都度異なる対応を要求されて非常に苦労したことを覚えています。

その点、この小説の中に出てくる専門用語もそのまま僕が普段使っている言葉が並んでいて非常に再現性が高いなと思いました。
管理会社の対応も同業者であれば誰もが共感してしまうもので、非常にリアリティがあります。

オフィス仲介とは?

オフィス仲介の業界のことを少し説明します。
簡単に説明すると、皆さんが一般的にイメージする企業のオフィステナント
オフィの新規入居や移転する際の物件探しの手伝いです。
ス仲介を成立させるための登場人物は主に4名で、貸主、管理会社、客付け仲介業者、借主になります。
貸主はビルの所有者(オーナー)で、借主はそのビルのテナントに入居したい人(企業)ですね。
管理会社はオーナーがビルの管理や、連絡を受ける窓口として委託契約をしている業者です。
そして、客付け仲介業者が顧客の代わりに希望に即した物件を見つけてくる役割になります。
この本の主人公や僕のやっている仕事はこの客付け仲介です。
貸主や借主は不動産のプロであるケースが少ない為、管理会社と客付け仲介業者がそれぞれのプロの代理人としてやり取りをし、条件交渉及び賃貸借契約をまとめていきます。
地域にもよると思いますが、特に東京を始めとする都市部は市場的にビルの数よりも借り手の方が圧倒的に多い為、基本的には客付け仲介よりも管理会社の方が立場が上なケースが多いです。
要は借りたいという問い合わせが多く、借主を見つけることに苦労していないので「条件に合わないのなら他の物件にどうぞ」と言えてしまうんですね。
管理会社はむしろ既に入居している借主達の日々の問い合わせやトラブル・クレーム対応等の業務の割合が多く、そちらがメイン業務となっています。
逆に客付け仲介は顧客の希望に合った物件を見つけるのは非常に困難です。
やっと良い物件を見つけたと思っても、他の競合に取られてしまうと言ったことは日常茶飯事で、大袈裟ではなく賃貸の申込を管理会社に送付するタイミングは1分1秒を争います。
この小説でも顧客の希望に合う物件探しに苦心する場面が度々出てきますが、あの描写はかなりリアルな描写で、この業界に興味がある人がこの業界で働いている人たちの感覚を知ることが出来る貴重な一冊になっているなと感じました。

今後の不動産業界のあり方

今後はネットもAIも発達してきて、不動産仲介の仕事も不要になるという意見もちらほら聞かれます。
僕はむしろそれは良い傾向だと思っています。
顧客も人間です。この小説にも出てくるように「自分の希望の物件に入居したい」という希望はもちろん第一優先ですが、同時に「この人から契約したい」という気持ちも持つものです。
顧客想いな業者はAI時代にも必ず生き残ると思いますし、AIという強力なツールを顧客の為に活用できる術を見出すでしょう。
その際に、AIの影響で顧客想いでない業者が淘汰されていくのは業界があるべき姿になっていくという意味で悪いことではありません。
もちろんこれは不動産業界に限った話ではないのかも知れないのですが、やはり不動産は圧倒的に動く金額が大きいんですよね。
例えば、投資用不動産を買おうと思った際、全くの見ず知らずの土地の物件、例えばロンドンやパリといった都市の1億円の物件、を銀行の融資を活用してまでして買おうと思うでしょうか?
世界で有数の経済都市の物件でいくらAIの分析的には最高の結果が出ていたとしても、やはり現地に詳しい人の話を聞いてみたり、何かあった際の保証の内容や所有後の物件管理を任せる業者の人柄も知りたくなるのが人間だと思います。
そういう意味で、より不動産の専門家の価値が高まっていってくれれば良いなと期待しているわけです。
不動産の業界には、住宅用不動産、投資用不動産、オフィスや店舗の仲介、相続不動産の取り扱いなど本当に多岐に渡ります。これらは同じ不動産業界といっても全く違う分野になります。
個人的にはこれら全てを取り扱えるようになろうと思っていて、日々勉強中です。
ゆくゆくは海外の不動産も知っていなければいけないという様な時代も来るかなと思っているので、少し下調べを始めたところです。

また、上記でも説明した、貸主、管理会社、客付け仲介業者、借主以外にも、近隣の住民やそれぞれの配偶者や利害関係のある人々、建築や内装の業者など本当に1つの取引に関わる関係者の数が多いんです。
この小説の主人公も苦心していましたが、「日本」「20万~30万くらいの賃料」「賃貸」の物件の取引をするだけでも揉めるときは凄く揉めます。
これが海外不動産や、何億円規模の大規模な土地の開発相続の売買案件になってくると何倍も複雑になってくるんですね。
これらを円滑に人間関係に支障を与えない様にプロとして取引を纏め上げるのが不動産仲介に求められている仕事です。
それにはやはり人間力が必要になってきます。
他業界でも同じだと思いますが、AIでは介在できない分野がまだまだあると思ってます。
近い将来、AIに頼り切るまして取って代わられるのではなく、あくまで人間が主体で仕事を進め、AIを上手く活用できるような仕事をしたいなと思っています。

皆さんはどの様な働き方を望みますか?

ではまた!

sublimeでコンサルサービスを始めました
【学習コーチング】
資格試験のための勉強をしている方、教養としての学び直しをしたい方に勉強法をアドバイスします。
これまでの学習歴と勉強したい内容をヒアリングしながら、良いクセを活かし悪いクセを直していくことで学習効果を向上させます。記憶・理解・思考に対して理論的な背景を説明しながらアドバイスするので、他の勉強に活かすこともできます。
「学生時代から全く勉強なんてしていない」という方でも大歓迎。
あなたに合った勉強法を見つけるお手伝いをします。

【営業コーチング】
営業に対するマインドブロックの外し方、成約率アップの4ステップ、反論処理の方法などをアドバイスします。
業界や営業スタイルをヒアリングしながら、その人のキャラクターに合った最適な営業術をお伝えします。営業の現場だけでなくコミュニケーション術全般を扱う事で周囲の人達との良好な人間関係構築に役立ちます。
「極度の人見知りで。。。」という方でも大歓迎。
あなたに合った営業及びコミュニケーション術を見つけるお手伝いをします。

ご興味のある方は下のfacebookコミュニティにお越しください!

sublime | Facebook

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?