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【#81】オススメ本紹介!「空気の教育」

〈この記事を書いた人〉
福田浩樹(ふくだひろき)
1990年生まれ。大阪府出身。株式会社ネクスト COO
医療機器、不動産など複数の営業を経験。不動産営業では社内の歴代最高の売り上げ記録を更新。また、不動産エージェントとしての活動と並行して営業コーチとしても活動。エステサロン、英会話、弁護士業務、などの複数の業界において売り上げアップに尽力。業界問わずあらゆる営業において顧客の信頼を掴むコミュニケーション術を指導。

今回は空気の教育という本についてお話し致します。

「教育のことを薫陶という。これはまさに空気による育成を意味する」、家庭には家風、学校には校風があることを考えてみよう。人間が生活しているところにはやがて、一定の空気、雰囲気が生じる。本当の教育は押し付けや口先だけの注意ではない、子どもを包む家庭や学校の空気こそ、最も深いところに作用する。お茶の水女子大学附属幼稚園の園長でもあった著者独自の教育論は目からウロコである。

「空気」について

外山滋比古さんという方が著者で、有名な本では「思考の整理学」がありますね。
こちらもどこかで書きたいと思っていますが、大学生の時に読んで非常に内容が良かったことを覚えています。
この「空気の教育」も初版は1983年と僕が生まれる前に書かれた本ですが、今読んでも非常に勉強になります。

本書の主張を一言で表すとすると教育論となるかと思います。
初版が1983年。昭和の後半でこれからバブル期に入り平成に切り替わっていくという時期に書かれた本ですが、2023年現在に問題となっている教育問題に対して見事に警鐘を鳴らしています。

この本の重要なテーマで「空気」というものがあります。
日本には場の空気感や雰囲気を「風」という漢字で表すことがあります。
土地であれば風土、会社であれば社風、家であれば家風という具合に、それぞれのコミュニティには共有している空気感があります。
例えば、食事の前に「いただきます」と言うこと。昨日も言ったし、今日も言う。明日もきっと言うだろう。この繰り返しでその家の「空気」が出来ていく。
形式×繰り返し×時間で出来上がる「空気」。わざわざ、子供や若者を指導しなくても、この空気が「食事の前にはいただきますと言え」と教えてくれる、という一文には非常に納得感があります。
その他にも、言葉の乱れについて、家庭教育における母親の重要性、少しの不幸(物足りなさ)が人を育むといった古き良き人間教育の根幹を成すような考え方について書かれています。

現代は空気を作る事が難しい

僕はまだ従業員を雇っている立場でもないのでおこがましいですが、そんな僕でも教育については僕も本当に難しさを感じています。
僕のような個人事業主と経営者の間にいるような働き方をしている者にとっては、人を雇用するというハードルの高さを身に染みて感じます。
ハードルの高さを感じる理由としては教育という課題をクリア出来る自信がないという事が隠れていて、この本の著者が言うような人が育つ空気を醸成する事は1人で仕事をこなしている事に比べると何倍もの難易度の違いがあると思います。

これは僕みたいな小企業だけでなく、大手の企業でも同じだと思います。
特に近年の新型コロナウイルスの流行によって広まったリモートワーク。
これはこの本の著者のいう空気の教育の真反対にある状態だと思います。
業務で必要な知識についてはネットや本で学びながら仕事をすれば身に付くのでしょうが、リモートワークで大手企業が長年培ってきた社風が保たれるのか、と言われれば甚だ疑問です。
もちろん、現代のオンラインやSNS上のコミュニティの中にあっても特有の空気が存在するのだと思いますし、そういう意味では時代やテクノロジーの変化と共に形を変えているだけで空気の教育が失われているわけではないのかも知れません。
でも、やはり個人的にはリアルで感じる空気感に勝るものはないのではないかと考えています。

僕のような働き方をしていると自身の手で組織を作るということを嫌でも意識するものですが、どうせなら楽しく、でも真剣に互いが切磋琢磨出来る様な組織にしたいなと願うものです。
どういう組織の空気感が理想だろうと思い起こしてみると、最初に思いつくのは学生時代のサッカー部です。
家族よりも長い時間を過ごす仲間がいて、様々な理不尽に耐え、ちょっと恐くて厳しい先生がいるような状況の中で作られたあの空気感は、今でも当時の仲間と会うと一気にその時の空気に引き戻される程の引力があります。
だって、練習後にボールが1つ転がっていただけで何十本も100mダッシュするなんて絶対に今ならやらないですよね。(笑)
もちろん今から考えたらこの教育方針には賛否両論あると思いますし、当時も文句がなかったわけではないです。
ただ、早く皆で走って早く帰ろうみたいな前向きな空気があったことは確かです。

このリモート全盛の時代に、0からあの時の空気感を持つ組織を作れるかと言われたらちょっと自信がないんですよね。

進化と共に

この本が出版された40年前から現代を振り返ると、基本的には効率や簡便さを上げること多様化を認めることを軸に様々な変化が起きてきたと言っても良いのではないかと思います。
それらは間違いなく進化です。
ビジネスに目を向けると実際に40年前では考えられなかったスピード感で現代のビジネスは繰り広げられていますし、実際にその恩恵を受けている人もいると思います。
でも、一方で教育に関してはどうなのでしょうか。
この著者のいう、学校や会社の校風や社風は人を育てるものである一方で、多様性を認めない同調圧力的なものである側面もあるのでしょう。
現代はこの空気に関して、どちらかというと否定的な論評が多い気がしますね。

個人的には楽しく過ごしていたいだけなら多様性を認めまくってそれぞれが好きなことをしていたら良いと思うんです。
でも、現実を見ると、今の日本は経済的にも衰退してきていて、一億総中流だと言われていた時代に中流階級に属していた一般層の人達の大多数が下流階級にスライドしてきている状況です。
ある程度の成長と成功を目指さないと、楽しく生きていくことすら出来ないような世の中になっているのではないかなと感じています。
そうなると、です。
ある程度の成長と成功は目指す必要があると思いますし、それらを目指せばやっぱりある程度しんどい思いや我慢、自律といった要素からは逃げられないと思うんですよね。

多様性が認められることはもちろん良いことです。
でも、それは同時に各自が自主的に自発的に何かを目指して走らないといけなくなったことでもあると思います。
学校に例えれば、皆で一斉に授業を受けるスタイルから、教科書だけ渡されて「各自がライフスタイルに合わせて、いつでも好きなタイミングで勉強できます」と言われている様な感じですよね。
一見、個性や多様性を尊重している様ですが、これが教育の進化なのでしょうか?
これでは各個人でレベルの差が生まれて当然ですが、現代はこういう流れになっている気がします。

ただ、これを良しとする空気の方が多数派になってきている気がするんですよね。。。
時代を巻き戻すわけにもいかないですし、僕が仲間を増やして組織を作っていくまでにはまだまだ越えないといけないハードルが多そうです。(笑)

皆さんはどう考えますか?

ではまた!

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