雨上がりの夏、良すぎる

僕は散歩が好きです。好きではあるのですが、夏は日差しに痛めつけられるのであまりしません。そのため夏の景色を生で見る機会が今まであまりありませんでした。そのためか、この前気まぐれに見た夏の外の景色に深い感動を覚えました。

まず草木がうだる程の暑さの中で降り注ぐ雨がいい。さらにその雨がすぎ去ったあとの雨の痕跡、言うならば雨の轍がなんといっても素晴らしい。今は凄まじい暑さに包まれているが、少し前までここには灼熱に対する対抗策である水が一面に打ち付けられていた。その事実に圧巻です。

その轍は相反する太陽の熱意を一身に浴びてキラキラと輝き、燃え上がるような暑さの現実を綺麗に反射させています。その反射する景色はまるでこっちは快適だよ、おいでよと言っているように見えます。ユートピアだ。私の技術ではその美しい姿を上手く写真で収めることが出来なかったので、心にぎゅっと閉じ込めることにしました。

子供が水溜まりで跳ね回るのは心のどこかでユートピアへの回帰を望んでいるからなのでしょうか。そんな訳ないですね。しかしもしもそうだとしたらその願望はきっと人間元来のものなのではないかと思います。みんな願っています。現状よりももっと良い方へと。求めています。さらなる安堵感を。みんなみんな傲慢です。しかしそれこそが人を人たらしめるひとつの要因なのかも知れません。

たまには夏でも散歩をしようかなと思いました。今度は雨の降るあとじゃなくて本当の猛暑の中を。ユートピアが見当たらない世界で途方に暮れるのも人生にとってはいいのかもしれないしね。

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