16:44
16時38分
疲れた。でももう帰れる
糸が切れないように、意識を保つ。
いつもの待ち時間、いつもの思考。
左耳から音が近づいてくる、やっとあいつが来た。
ホームを降りてあいつが見えるように、目一杯。
手を横に広げた。僕は、ここにいるぞ。
困惑した視線が左上から集まってくる。皆すみやかにスマホを向ける、指が忙しそうに動いている。声じゃないざわつきが聞こえはじめた。ビデオ録画開始の音だ
16時44分
いつもの待ち時間、いつもの思考。
誰かが勝手に産んで僕は今生きている、そして最後は神が気まぐれに僕を殺す。
始まりも終わりも全部、誰かのわがままだ
3駅目で降りた。うるさい音をたてながら横をあいつが通る。そんな中ホーム下の隙間を確認しながら歩いていると、徐々に平衡感覚を失うのがわかる。吸い込まれそうになって急いで目を逸らした。
僕らには死を選ぶ権利がある
自ら選んだとき、僕にどんな変化が起きるのだろうか。
この恐ろしい好奇心に対峙することが、よくある。
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