中根すあまの脳みその227

公演の準備期間は基本、代々木公園に生息しているので、コンビニや百均でちょっとした買い物をするためだけに竹下通りに行ったりする。贅沢な話だ。
買い物をすませて公園に向かう時、時間があればそのまま竹下通りを突っ切る。なんとなくいつもそうするのだが、毎回、その楽しさに驚く。右から、左から、飛び込んでくる情報の多さに、考え事をしていた頭がそれを放棄し、情報を処理することだけに集中してくれる。ひとりでの移動時間に、なぜだか妙にネガティブなことばかり考え、それ故に無駄に気分が落ち込んでしまうのが最近の悩みなのだが、こと竹下通りに至ってはその心配がない。
世の中の道がすべて竹下通りだったら良いのにと思う。

寄り道はしない。
一度でも店内に入ってしまうと、もう、なんていうか、戻ってこられなくなるからだ。
コンビニと、百均と、あと、ギリ、マツキヨ。日常を引き摺ったそれらの店のみ入ることを許す。カラフルな誘惑に耐えながらいつも思うのは、普通に遊びに来たいな、ということ。
普通に朝から遊びたい。
竹下通りで。
変な色の食べ物とか、若干馬鹿にしながら食べたい。意外とおいしいじゃん、とか、いいたい。こんなの高校生ぶりだよー、とか、いいたい。
そう思い続けて、なんだかんだ2年くらい経っている。

非日常な土地が好きだ。
原宿駅なんて、トイレがまるで、人気アトラクションだ。いつみても信じられないくらい長い行列ができている。
原宿駅にトイレなんてないと思って生きているが、止むを得ずその列に並んだ時には、途中から、自分が何の順番を待っているのかが分からなくなる。段々と、なにか面白い乗り物にでも乗れないと割に合わないような気がしてくる。トイレってプーさんのハニーハントだったっけ、と思う。
当然、トイレはハニーハントではないので、赤い個室に入るためだけのその列に、やっぱり納得がいかないまま、いつもそこを後にするのだ。
しかし、心の奥底で、別に嫌じゃないな、とも思うのだ。

今日も代々木第一体育館を横目に公園に向かう。一刻も早く暖かい稽古場にありつけることを願いながら。

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