中根すあまの脳みその103

世の女性たちはなぜあんなにも荷物が少ないのだろうか。

自分が「荷物の多い人」である自覚を持ち始めたのはごくごく最近のことである。大学に行くのに特大の、1〜2泊はできてしまいそうなリュックに夢いっぱい(その実、パソコンやら本やら…どちらかというと現実かもしれない)詰め込んで、それを担いで出かけていたのだが、ある日、教室に入ってはたと気づく。こういう気づきというのは本当に突然のことである。今まで何も考えていなかった自分がとんだ阿呆ちんのように思える。急に色を変えた世界では、机や椅子に置かれた学生たちの荷物はみんな、とてもスマートでコンパクトなものだったのだ。それに気づいた瞬間、自分の持っている特大リュックがもう、恥ずかしくて恥ずかしくて仕方がないもののように思えてしまう。

自分の荷物の多さの原因は主に、パソコンにあるのだろうけど、しかし、電車で作業するのを諦めてパソコンを家に置いていったとしても、世の女性たちが持つようなちいちゃいバックには私の持ち物は到底入り切らないだろう。化粧直し用のポーチと、ティッシュや薬が入っているポーチと、暇つぶし用の文庫本と、タオルと、折り畳み傘と、財布携帯パスケース。必要不可欠なメンバーだけ選抜しても、ある程度の大きさのバックでないと入らない。どういうこと?みんなスモールライトもってんの?そんな疑念が脳内にそっと浮かぶ。

ある同年代の女の子に聞いた話で、驚いたものがある。街ゆく女性はよく、ちいちゃいバッグと有名ブランドのショッパーとを持ち歩いているが、あのショッパーは買い物帰りじゃなくても、誰かからプレゼントをもらう、もしくはこれから渡す用事がなくても、常に持ち歩いているというのだ。要は、あそこに私がでかリュックに入れているようなものを入れているということだ。荷物が多いと思われないように、そういった工夫を凝らしているという。これには私のちいちゃい目からもウロコがこぼれた。私は今までそういう女性を見る度に、いつもプレゼントもらってんな!!と羨望の目を向けていたからだ。なんという頭の良い選択。これは真似しよう。
そう思って、自宅の台所にある使用済みの紙袋が乱雑に詰め込まれている棚を探ってみたが、あるのは本屋の紙袋だけで、気の利いたおしゃれな紙袋(ショッパーと言ったほうががいいのか)など存在しなかった。

そんなこんなで今日も私は、家を出るギリギリまで試行錯誤した末に、結局特大リュックを担いで出かけるのだ。
もっと余裕のあるスマートな人間になりたいと願うのは、今日で一体何度目だろうか。

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