中根すあまの脳みその215

毎日のように使用する駅の、
改札を出てすぐのところにあるコンビニは、私の生活には欠かせない存在だ。
一日を過ごすために必要なペットボトルの水や、小腹を満たすおにぎりやお菓子、家に帰ってから飲むのを楽しみにスキップでレジに持っていく缶チューハイ、やけ食いをしたい日のカップラーメン、私は様々なものをそこで買う。
そのコンビニに頻繁に出入りするうちに、私はひとりの店員の存在が目に留まるようになる。
30代くらいだろうか、男性である。
彼の仕事ぶりはすごい。
レジ前に群がる客たちをテキパキと、テキ!パキ!と音が聞こえてくるほどにテキパキと捌いてゆく。
まるで感情のないロボットのような接客は、しかし、無愛想な訳ではなく、無駄がなく正確で、みていて気持ちが良いほどだ。
独特の耳に残る語尾だけが、彼にも個性があるのだということを、唯一示している。
まるで、そのためだけに造られたロボットのように、いつか急に壊れてしまうのではないか、そんな危うさが彼にはあった。

その店員から商品やお釣りを受け取る時、私はつい、じっと目を見てしまう。
そうすることでなんとなく、彼の人間味のようなものに触れられるような気がするのだ。
しかし、その顔に感情はない。
私は少し悔しくなり、彼のレジで会計をする度に、ちゃんと目を見て、いつもより大きな声で礼の言葉を述べるようになった。
接客ロボットではない、人間の部分が見たかった。
シンプルに変な客である。

最近、少しだけ表情が柔らかくなった気がするその店員は、相変わらず今日もテキ!パキ!と音を鳴らしながら接客をしている。
彼にも安らげる時間があることを願いながら、私は店を後にするのだ。

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