中根すあまの脳みその90

ハイフレックスという言葉を初めて聞いた。
ネットで調べても明確な意味は出てこなくて、工業用接着剤の通販サイトがひたすら表示されるだけだ。
大学で突如始まった「ハイフレックス型授業」。教室で授業を受けるか、オンラインで授業を受けるか、選べますよ〜ということなのだが、「ハイフレックス」という言葉は聞き馴染みがなさすぎて(「ハイブリッド」ですらない)、生徒たちをだいぶ困惑させた。その響き的になんだか大層なことが行われるような気がしてしまう。宇宙人の留学生と一緒に授業を受けるとか、そんなようなニュアンスが感じ取れる。それは私だけか。
馴染みのない表現を当たり前のように提示するのはやめてほしいと思う。

ハイフレックス型授業では、教室で先生が授業をしているところをカメラで撮影し、それをzoomやmeetなどで見られるようにするのだが、これが結構難しいらしい。私は、機械音痴なのでなにがどうなってそうなのかよく分かっていないのだが、とにかくハウリングがよく起こるのだ。先生の声がこだまのようになって、最終的にはキーーーンと耳をつんざく音に変わる。この状態のまま授業を続けることは難しいので、先生はあれやこれやと試行錯誤をする。このような場面が、ここ1週間くらいの間に何度も起きたのだが、そこでひとつ不思議なことに気づいた。

どうやら人類の中には、ハウリングが面白くてたまらない人間が一定数いるようなのだ。
ハウリングが起こった途端に、何かにとりつかれたように笑い出す、そんな生徒が複数人いた。それも、毎回。違う授業でも。
初めはその人だけが特別なんだろうな、と思ったが別の授業でも同じように笑う人がいたもんだから驚いた。
「箸が転がっても笑う年頃」だからか、とも考えたが、それにしては笑い方が異様だ。隣の人と顔を見合わせてクスクス。そんなよくある笑い方ではなく、ただひとりふたり孤立して、ケラケラと笑うのだ。まるで、本能がそうさせているかのように。
正直そんなのちっとも面白くない。むしろ、授業環境を改善するために慣れない作業を一生懸命やっている先生に失礼ではないかと、こっちがハラハラしてしまう。だが、彼女ら(私が通うのは女子大である)はそんなこと気にする素振りも見せずに笑い続ける。これは首を傾げざるを得ない光景だった。

これを読んでいる人の中で、ハウリングが起きた時に笑ってしまうという人がいたら、ぜひ声をかけてほしい。私はこの問題が気になって気になって授業に集中できないのだ。
私の単位を守るためにも、ぜひお願いしたい。

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