中根すあまの脳みその52

私は緑色が好きだ。
生半可気持ちではない。一生愛し続ける覚悟はできている。

小学校に入る前から、緑色のものになんとなく惹かれる感覚はあったのだが、まだあまりにも幼く、自分の気持ちを自分で理解することができていなかった。
私が緑色へのときめきをはっきりと自覚したのは小学校2年生の時。ある日ふと、「あ、私って緑色が好きなんだ」と自覚し、その日から毎日緑色の服を着て登校するようになった。
緑色への愛があまりにも強すぎて、私=緑色、というイメージを他者に植え付けることに必死だったのだ。私はもはや、緑色と一心同体になりたかった。そんな変態的ともいえる私の緑色への愛情は、徐々に常識的なものへと変わり、小学校を卒業するころには、外見だけでは判断できないくらいのもへと落ち着いた。
だが、内に秘めた思いは変わらない。それどころか、どんどん加速するときめき。
私は女性アイドルが好きで、いろいろなアイドルグループを好きになった経験があるのだが、どのグループもメンバーに“担当カラー”が振り分けられていた。ピンクの子がきっかけでそのグループを好きになったとしても、いつのまにか緑色の子ばかり目で追っている。今回は絶対オレンジの子を応援しようと思っていても、気づけば緑色の子のグッズを買っている。これを何度も繰り返している自分が、なんだか恐ろしくなった。仕方ない、仕方がないのだ。かわいいアイドルの衣装が、赤やピンクのイメージが一般的とされる“かわいい”という概念が、緑色に色づけられているという事実がたまらなく良い、のだ。だが、ある時私は、担当カラーが存在しないアイドルグループを好きになった。「今回は緑色の恐ろしい魅力に翻弄されることなく、応援できるぞ」と思っていたら、なんとそのグループには、髪の毛をきれいな緑色に染めた女の子がいたのだ。負けた、と思った。私の携帯の画像フォルダは、あっという間にその子の写真でいっぱいになってしまった。やはり私は、緑色へのときめきには勝てない。
“本来緑色ではないものが緑色になっている”ことが、私最もをたまらなくさせる。
緑色に染められた髪の毛、緑色のカラーコンタクトを入れた瞳、緑色のマニキュアが塗られた爪先。緑色のケーキ、緑色のギター、緑色のくまくん、緑色のドラえもん。ときめきを通り越してどきどきしてしまう程に好きだ。
私は、そもそも“色”が好きなので、現実離れした色の物をみるとそれだけで興奮してしまうのだが、他の色とは比べ物にならないくらいに、緑色は私の中で特別な存在なのである。
なぜここまで緑色に心を奪われるのか。
おそらく前世が、“河童“か”かえる“か”森“だったのだろう。”枝豆“かもしれない。”メロンソーダ“でも良い。頭がおかしいと思うかもしれないが、私のこの胸の内からあふれ出して止まらないようなときめきは、遺伝子レベルか、それを超越するようなものでなければ、おかしいのだ。誰かこの、たまらない気持ちのわけを教えてください、お願いです。

できることなら、この世界のすべてを緑色にしたって私は構わない。
嗚呼、スーパーに売っている緑色の食用色素を買い占めて、世界中の水をすべて緑色にしてしまいたい。
私は私の本能に従って、これからも緑色を愛し続けるだろう。


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