中根すあまの脳みその236

バイト先の古着屋がつぶれた。
文字通り、跡形もなく。
どちらかというと続いている状態の方が不思議なくらいの店ではあったが、携帯の画面の上の方から垂れ下がった緑色の通知ひとつで終わってしまう、その呆気なさに驚いた。
そういうわけで、私は新しい職場探しを余儀なくされた。

1ヶ月弱の職探しの末行き着いたのは、どうせ日常の大半をそこで過ごすのなら、非日常の中にいたいという私の願いをいい感じに手軽に叶えてくれる場所である。
それ故に、もはや職場と言えるのか分からないワンオペの古着屋より、当然、服装などの規定が厳しい。
それでも髪色に対する規定はゆるく(最近になって改められたらしい)、近頃の時代の流れに日々感謝している。
とはいえ、前髪、可愛い洋服、きらきらの化粧、有り得ない色のコンタクト、見るたびに元気が出るネイル、封印しなければならない武器はいくつもあり、丸腰で敵地に乗り込む兵士のような気持ちで、毎日客前に立っている。

コンタクトに対する規定は曖昧だ。
大枠では、”目の色が自然に見えるもの”は可とされているが、その実、色つきのコンタクトは禁止と言えるだろう。
しかし、難しいのは、ではなぜカラーコンタクトが駄目なのか、というところを突き詰めると、結果、「ここはそういう場所だから」に行き着いてしまいそうなところだ。
もちろん、子どもやお年寄りを相手にすることもある仕事柄、派手すぎるものは良くないというのは分かる。では、瞳を明るく見せて、より柔らかい印象にしてくれるものはどうだろう。私などは、一重で黒目が小さいため、そのままでは(特にマスクをしていると)少し冷たい印象を与えてしまうこともある(持ち前の愛嬌でカバーするが)。それを改善するための、接客する相手のための、工夫だとしたら。
まあ、そんなことを言っていたらキリがないし、ルールを守るという行為そのものが集団の秩序を保つ上で大切であることは言うまでもないのだが。

多様性などとよく言われる世の中になったが、とことん難しい言葉だともにゅもにゅ考えながら、休憩室を後にする。

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