中根すあまの脳みその33

わたしは、電車で堂々とスマホをいじれない。
横にいるおばあさんが、「まったく、最近の若者は…」、目の前に座るおじいさんが「寂しい世の中になったのう…」と思うかもしれないと、考えてしまうからだ。
おそらく、おじいさんもおばあさんもそんなことは思っていないだろう。それはわかっている。だが、わたしは電車でスマホをいじっている人が多ければ多いほど、「今の若者だって別に、昔と変わらないんですよ!」ということを、全若者の代表としてアピールしたくなってしまうのだ。
なんとも規模の大きな自意識過剰である。

わたしは、デパートの化粧品売り場で胸を張って歩くことができない。
デパートでなくても、気軽なバラエティショップでもそうだ。
わたしは化粧をすること(というか、化粧によってマシな容姿になれること)が好きなのだが、化粧品売り場に入ると、自分より遥かにキラキラしている女の人たちが、「わたし自分の化粧に自信あります!」「わたし自分の容姿にめちゃめちゃ気を使ってます!」と、訴えかけてきている気がしてしまって、朝あんなに気に入って満足していたはずの自分の化粧や服装に対して、「この顔は、この姿は滑稽なんじゃないか?」と不安で仕方なくなるのだ。その結果、化粧品売り場ではいつも肩身の狭い思いをする。

だれかと会話しているときには、「この人、わたしとしゃべっていて楽しいのかな?」「こんなこと言って失礼じゃないかな?図々しくないかな?」という不安がついて回る。そのため、当たり障りのない会話しか出来ず、人と距離を縮めることに物凄く時間を要する。

生きていて突然、「わたしは全世界の人間の笑いものなんじゃないか」とか、「本当はみんなわたしのことを影で嘲笑っているんじゃないか」とか、根拠もクソもないネガティブに陥ってしまって、ひとり恐怖にくれることがある。
少しのことを物凄く深読みして、被害妄想をしてしまうこともある。
自分で自分の首を絞めて生きているなあと思う。

だれかに嫌われるとか、だれかに変だと思われるとか、だれかに失敗を笑われるとか、そういったことを笑い飛ばせるような人になりたいと思うが、わたしがそんな人になっている頃には、世界は滅亡しているかもしれないとも思う。
滅亡を阻止することができるくらいのでーーーっかい人になるのだ。
そんなことを夢見ながら、今日もまた、小さいことにあせあせ、くよくよしながら生きてゆく。


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