中根すあまの脳みその7
私には、アイドルのライブを見て号泣する癖がある。
小学4年生でももいろクローバーZを好きになってから、なんとなくずっと女の子のアイドルを応援し続けている。とはいっても、ライブやイベントに毎週のように通っていたり、CDを何枚も何枚も買ったりすることはなく、予定が合えばライブに行き、曲を聴き、DVDやYouTubeでライブ映像を見たりするくらいの浅さなのだが。基本的に自分のことで手いっぱいの人間なので、全身全霊をかけて応援します!とはならなくて、だけどそれでもわたしの毎日には常にアイドルの存在があったように思う。
ももクロを応援し始めるまで、わたしはただひたすらぼーっとしていて、プリキュアも戦隊ヒーローもポケモンも、好きではあったけれどそこまで熱い気持ちではなくて、ミュージックステーションに出演しているアーティストやアイドルの曲を口ずさんではみるけれど、応援したいと思うほどではなくて。そんなわたしが生まれて初めて『ハマった』のがももクロだったように思う。髪の毛が乱れまくっていても、お化粧が汗で流れてしまっていても、気にもとめないそのパフォーマンスに衝撃を受けたことをはっきりと覚えている。わたしは、泣けると評判の映画や本を読んでもあまり泣けない質なのだが、アイドルのライブだけは違う。これでもか、というくらい泣く、泣く。途中からなぜ自分が泣いているのかわからなくなるくらいだ。小学生のころから、高校生になった今も変わらず。
ドラマがあると思う。わたしはそれを勝手に想像してしまうのだ。ライブで見せるアイドルたちの熱いパフォーマンスの裏に(おそらく)ある(であろう)、壮絶なドラマを。自分と年のあまり変わらない女の子たちが、笑顔で歌って踊って、様々な困難を乗り越えながらさらなる高みを目指す、そんなストーリーが涙なしに語れるだろうか。実際に生で彼女たちを見ると、まるで体が発光しているかのように輝いていて、その輝きの裏にある努力や苦労を勝手に想像してしまう。勝手に想像して勝手に号泣しているなんて、気持ちが悪いなと思う。
今年の春に、あるアイドルの解散ライブに行った。そのときに隣にいたおじさん、清潔感漂う服装で、グッズなどは一切身に着けておらず、しかめっ面で黙ってステージを見つめていた。アイドルオタクという感じがしないその風貌にわたしは、『なんだなんだスパイか?』とよくわかんないことを考えていたのだが、ライブ終盤、なんとそのおじさんが涙を流しながら歌いだしたのだ。すでに涙と鼻水で顔がどろどろのワシは、おじさんのこれまでのドラマを勝手に想像してさらに号泣。曲の中でファン同士が肩を組むパートがあるのだが、とんでもない泣き顔のわたしに気づいたおじさん、優しくうなずく。自然と肩を組むわたし&おじさん。アイドルオタクにもドラマあり、そう思った瞬間だった。
要するにわたしはアイドルになりたかったのだ。
夢をよく見る。自分の好きなアイドルグループのメンバーに自分がなる夢、幼いころから本当によく見る。
わたしにとってアイドルは、ヒーローのような存在で、だけど負けず嫌いなわたしは、いつかそのヒーローに自分の存在を知ってもらうことを諦めてはいないのだ。
笑顔を見せれば、人々もたちまち笑顔に。ヒーローでもあり、魔法使いでもある。
とりあえず、アイドルが登場するなにかをつくってみたいと、そればっかりの今日の脳みそである。
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