中根すあまの脳みその99



明日、世界が終わるとしたら。

この問いを投げかけることで、物事の本質に迫れるような気がする。

明日世界が終わるとしたら、今日は何を食べるだろう。
私はきっと、カツ丼、ピザ、ラーメンと餃子(ここはニコイチ)の、どれかから選ぶだろう。もし今日が最後の日だったらきっと、カツ丼を食べる。カツ丼のことは世界が終わっても絶対に好きだ。

明日世界が終わるとしたら、私はどの音楽をイヤフォンから流すだろう。
そのとき私はきっと、感傷に耽りたくないと思っているはず。馬鹿みたいに脳天気な音楽を繰り返し、繰り返し流し続けるだろう。

明日世界が終わるとしたら、今日は何を着るだろう。おそらく私は、ここ1年くらいでいちばん気に入ってる、赤いジャンバースカートを着る。中にはミントグリーンのギンガムチェックのシャツ。赤と緑で飛び切り目立つコーディネートだ。

今揺られているこの電車が、この世の最後の電車だったら。
私は電車に揺られていることが嫌いじゃない。だけれどもしこれが最後の電車だったらきっと、私は電車に揺られることが好きだったんだな、と気づかされるだろう。

今日は雨がしつこく降っていたけれど、この雨がこの世の最後の雨だったら。
それでも私はきっと、雨を憎む。もしかしたら、今まで以上に憎むかもしれない。中止になった遠足の数だけ、髪型が崩れてしまった冴えない日の数だけ。

明日、世界が終わるとしたら。
人間は、できなかったことをできるだけやろうと足掻くか、何気ない普段通りの生活を装うか。大きくこのふたつに別れるのではないかと思う。
私はきっと、全部やろうとする。まず化粧をして。そして、お腹がはち切れそうなくらい食べて、会いたいと思う人みんなに会いに行って、小説を書いて、絵を書いて、歌って、思いつく限りのことをする。1秒だって暇はいらない。呼吸をしていることを忘れるくらいに、動き続けたい。世界が終わったことに気づかないくらいが丁度いい。

そんな夢みたいなことを考えているから、目先の課題ばかり溜まっていくんだと、言われそうだ。だけど、世界の終わりだって目先の課題になり得るのだ。考えておいて損はない。
終わりを想像することでやっと輝き出すような世界に生きているのは、もったいないことだなと考える、そんな今日である。

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