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弱点と向き合ってみたら、キャリアチェンジしてた話

これを言ったら、バカだなって思わるんじゃないか?
あれを言ったら、相手が気分を害すんじゃないか?

いつからか、こんなことばっかり考えるくせがついて、人と話すときに、スッと言葉が出なくなってしまった。

言葉をえらびすぎて、とんちんかんなことをいってしまうことも少なくない。本当に言いたいことを飲み込んで、浅くて当たり障りのない言葉を選んでしまうこともある。

この悪癖を痛いほど思い知ったのは、会社員になってからだ。

上司と話すとき、人前で意見を言うとき、どもったり、言葉に詰まったり、変な間が空いてしまったり。言いたいことを簡潔に伝えられず、何度も苦い思いをした。

次第に人前で話すことが億劫になっていった。なんで周りの人たちみたいに、スムーズにしゃべれないんだろうと、コンプレックスに感じていた。

それでも話さないわけにはいかないので、意見を述べるときや、客先に電話をかける前は、原稿をつくって臨んでいたほどだ。えらく効率の悪い方法だと思うけど、こうしないと言いたいことを伝えられなかった

そのうちに「文章ならこんなに簡単に、言いたいことが伝えられるのに」と気づいた。

そういえば、友人や家族、同僚からも、メールの文章や資料に違和感がないか見て欲しいと頼まれることが多かった。

学生時代、現代文だけは勉強しなくても良い点数だったっけ。

点と点が線でつながるように、「文章をかく仕事なら苦じゃないかもしれない」と思うようになった。

そこから副業でライター業をはじめて、あれよあれよと言う間に、31歳で独立。「安定」や「現状維持」を好んでいた自分にとっては、まさかのキャリアチェンジを遂げたわけだ。

しかも、話すことにあれだけ苦手意識をもっていた私が、インタビューライターをしているから人生分からない。

今でも、スラスラ言葉が出てこなくて落ち込むことがある。録音した自分の音声を聞くと、反省ばかりだ。

それでも、自分にはない考えや価値観にふれられる今の仕事が大好きで、続けられている。

編集さんやインタビュイーの方からの「今日のインタビューよかったよ!」「楽しくてあっという間でした」といったあたたかな言葉が、日々、わたしのなかの凝り固まった塊を少しずつ溶かしてくれている。

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