通信障害発生時のローミングってそもそも必要?
はじめに
7月29日にKDDIさんが通信障害に関する説明会を開かれるとのことで、補償額などが気になるところですが、今回は通信障害時のローミングについて、webの記事を元に自分なりに考えてみたいと思います。
7月12日の産経新聞に『緊急時のローミング方策検討へ 金子総務相、KDDI大規模通信障害受け』という記事が載っていました。また、過去にこのような記事もあったようで、『ソフトバンク宮川氏「災害時に通信設備を共有できる仕組みを」』キャリア間のローミングまったなしの状況になっているようです。では、実際にローミングするための課題とは何なんでしょうか?
緊急時のローミングとは
そもそも緊急時のローミングとは、産経新聞によると、通信障害が発生した際に、復旧までの間は他社の通信網に乗り入れる「ローミング」のことを言うようです。
緊急時のローミングの課題
7月5日のnews zeroでITジャーナリストの石川 温氏が以下3つの課題を挙げられていました。
ライバルだから、というのは、至極ごもっともな内容です。
緊急呼の制約条件
その他、もともとの110番などの緊急呼には制約があり、そこが技術的なハードルを上げているようです。
ざっくり、『緊急呼は最寄りの機関につながること』、『通報した電話番号と位置を通知すること』、『通報が終了したあとも呼び返しができること』。と、石川さんが解説されています。
そもそも欧米では緊急呼の他社ローミングは行われているようです。さらにSIMカードすら不要のようで、根本原因は、ガラパゴスJAPANの事なかれ主義により、完璧な要件しか認めず、本質を見失ういつものヤツのにおいがします。。
楽天モバイルとKDDIってどうなの?
これ、じつは楽天モバイルとKDDI間で、すでに2021年から事業者間ローミングは実現していました。基本的にはこの仕組みで良いようです。
ケータイwatchの記事を見ていきましょう。
つまりこういうことですね
つまり、各キャリア間でS8とS10のインターフェースを接続すればいいのです。全携帯キャリアがメッシュで接続される胸アツな展開です。
楽天モバイルの携帯キャリアサービスでは、「S8インタフェース」という「3GPP」において標準化されている装置インタフェースの1つで、ユーザデータ伝送装置(SAEGW)間を接続する際に使用される方式です。それと、「S10 インタフェース」にてMME間を接続することで、ハンドオーバーや、音声通話の再発信が不要となると説明があります。答えは見えています。
現実的な落としどころ
これからキャリア間で、S8とS10のインターフェースを相互接続する時代は来るのでしょうか?著者としては、そこはやや疑問符がつきます。机上ではできても、サービス前の楽天モバイルこそ、追加開発が可能だったものの、すでに多数の加入者を抱えている状態で、わざわざ不安定になる接続を行うモチベーションが通信キャリアにあるとは、あまり考えられません。5Gへの移行も始まっており、本格的になにか動くとすれば、5GNW上の可能性が高いように思えます。
最後に
いろいろ書いた上で、最後にちゃぶ台返になりますが、
そもそも対向するMMEに問題が発生していれば、いくらインターフェースがあっても接続できません。その時点でローミング案は破綻しています。
著者は、即応性とコスト、安全性を考えると、通信障害を起こしたキャリアに対し、障害が起きてないキャリアがWi-Fiスポットを解放するのがよいような気がしました。調べてみると、緊急呼も事前登録しておけば、Wi-Fiからアプリでかけることができるようです。
ユーザ側にて事前登録が必要なのと、Wi-Fiのエリアに限定されますが、都市部であれば、Wi-Fi経由でアプリから緊急呼するのが、代替案として、なくはない気がします。
まあ、外野の素人が聞きかじりの知識であれこれ言っても仕方がないので、今後も総務省での議論を見守っていきたいと思います。
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