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耳をすませば WHISPER OF THE HEART


映画をネタバレが含まれますので、鑑賞前の方はご注意願います。


実写映画化が発表された時正直不安な気持ちが上回った本作。
あの静かで穏やかでノスタルジックなアニメの世界観を壊されたくなくて、
更には聖司と雫の10年後が描かれるということで、
幸せであればいいなと想いは馳せるけど、大人になった2人がどのように暮らし、どんな関係でいるのか、自分の想像の中だけにとどめておきたい気がして。
たぶん耳すまを見たことがある人たちは、人それぞれに「『10年後の聖司と雫』像」を想い描いたことがあるのではないかと?
それでいて、はっきりは考えたことがなかった。
だから2人の「答え」を提示されるのが怖かった。


結論から言うと、私は映画で描かれる全てに納得することは出来なかった。けれど、これがベストだと思うことも出来ました。


本作では、中学生時代の「聖司と雫」、友人の「夕子と杉村」、そして10年後25歳になった4人とその周りの人々の関係が交互に描かれます。

中学生時代、ジブリ映画ではこちらが描かれていますが、実写映画としてアニメの名場面を所々ピックアップして上手く再現されているのが、とても懐かしくてよかったです。

10年後のパート、本作ではこちらがメインでストーリーが展開していきますが、25歳って社会的な責任もあるし、心も体も充分大人なんですけど、25歳視点から25歳を見ると、そんなに思ったより大人に感じられないというか、若さと幼さを心の中に隠してて本当の大人になろうとする感じ。なんだかそこがリアルだなと思いました。
抱えてる悩みはしっかり大人としての悩みなのに、まだ子ども時代の自分を思い出せる感覚というか。
まだ自分は子どもだと思ってたのに、周りの友達が結婚したり家建てはじめたり、転職したりするから、もう大人なんだな〜って実感して、大人に向かってもう1ギア入れて悩みだす感じかな〜。
中学生時代の雫に共感していたからこそ、25歳の雫の悩みが同世代の自分にも刺さった。

互いに夢を追う聖司と雫、
すでに夢を叶えて、プロとして高みを目指す聖司、
理想と現実のギャップに押しつぶされそうになり、幼いころからの夢をどんな形で叶えたらいいのか、そもそも夢を持ち続けていいのか自問自答する雫。
どちらもわかるな〜と思いました。

私はどちらかというと、夢と憧れの世界を少しでも近くに感じていたいと思い今の会社に就職したので、勝手に雫と自分を重ねてしまいました。

1998年当時だと、結婚適齢期がなんだと言われるのがごく一般的だったはずなので、10年も遠距離恋愛していて何も進展がないってなんだろう?って悩みが少なからずあったはず。
純粋にお互いの夢を尊重し応援しあえる2人だからこそ出来たことだけど。そこがふたりのいいところだけど。

まだ携帯電話やインターネットが発達していない時代に、手紙や公衆電話を使って連絡を取り合っているのも良かったです。いまではそんなのもどかしすぎて耐えられませんが。それが普通だった時代だからこそ色々良かったし、聖司と雫ぽくって良かった。


聖司くん→→→→→雫の想いが実はとても強いというのが描かれていたのも良かった。

耳すまってヒューマンドラマ強めの「ファンタジー」だと思っているので、なにが起こってもツッコミを入れてはいけないと思いつつ、前半で25歳のリアルな心の動きが描かれてたのに、聖司くんが急に日本に帰国したのはなんだか本当に急だな?と言う気持ちになってしまって。
そうしてほしかった気持ちは山々なんだけど、なんだかよく分からない気持ちになりました。でもこの結末がやっぱり大正解だとは思うので、人の心って難しいな…………

杉村と夕子の関係も少しだけ描かれていますが、相変わらず杉村は鈍感で、夕子をヤキモキさせたのだろうな〜と想像出来て良かったです。夕子は「浮気したら許さない」って度々発言していたけれど、杉村はなんだかんだ夕子にゾッコンだと思います。杉村が不器用故にヤキモキしたとは思うけど、2人には幸せになってほしいです。2人の結婚式が見たかった。


映画パンフレットがあまりに可愛くて購入してしまいました。

これはかわいい。
表紙を開くと「夢にまっすぐな 君を好きなまま 大人になりました」との文章がありました。
分かりたいけど分かれない自分に泣いた。


最後に本当にこれだけは言いたいんですけど、役者陣のみなさまのお芝居は本当に本当に良かったです!!!!!

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