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筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群って知っていますか?

家庭の主婦が、疲れを理由に一日中寝てばかりいる。

これを読んで、みなさんはどう思われますか?
文字だけで炎上必至な感じがしますが…あえて書きます。
簡単な家事をしただけで、何日も寝込んでしまうほど辛い症状になる病気があります。
そんな様子を「怠けている」とか「うつ病なのでは?」と考える前に、一つの病名を頭の片隅に置いてほしいなって思います。

「筋痛性脳脊髄炎(ME)/慢性疲労症候群(CFS)」



診断がとてもとても難しい病気で、指定を受けると医療費等の補助が出る「指定難病」にも選ばれておらず、福祉サービスを受けられる「障害者総合支援法」の指定疾患にもなっていません。病気の原因も、治療法もいまだに分からないことの多い、病気がME/CFSなのです。
この「筋痛性脳脊髄炎」は、かつて「慢性疲労症候群」とも呼ばれていました。「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群」と合わせて頭文字のME/CFSと呼ばれることもあります。





なぜ、この「筋痛性脳脊髄炎(ME)/慢性疲労症候群(CFS)」を知ってほしいのか と、お願い



私の大切な親族の一人に、この病気を持つ人がいます。私は医師でも看護師でもない非医療従事者ですが、この病気で苦しむ人やこの病気と診断されずに困っている人に何らかの力になりたいと、微力ですがnoteに書くことにしました。

ここに書く情報の多くは、国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(National Center of Neurology and Psychiatry)をはじめとする医療機関のウェブサイトや、当事者を中心とするNPO法人 「筋痛性脳脊髄炎の会(ME/CFSの会)」のウェブサイトから引用しています。
医療従事者ではないため、誤った情報があった場合にはお手数ですが、コメント等でご指摘いただければと思います。

「筋痛性脳脊髄炎(ME)/慢性疲労症候群(CFS)」の症状はどのようなものか



前述した国立精神・神経医療研究センターの論文が、私には難しすぎたため(涙)、神戸市の自治体ウェブサイトの医療・健康ページに掲載されているこの病気に関する記述から引用してみます。

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これまで健康に生活していた人がある日突然原因不明の激しい全身倦怠感に襲われ、それ以降強度の疲労感と共に、微熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、脱力感、思考力の障害、抑うつ症状などが長期にわたって続くため、健全な社会生活が送れなくなるという病気で、現段階では治療法が確定していません。
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具体的には、こんな症状が挙げられます。
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1.強い倦怠感を伴う日常活動能力の低下
  例)全身倦怠感のため、社会生活や労働が出来ず、自宅にて休息が必要である。
  ※仕事や育児など、疲労の原因がはっきりしている場合は「慢性疲労」であり、慢性疲労症候群には当てはまりません。
2.活動後の強い疲労・倦怠感
  例)短時間であれば、日常生活における活動は可能であるが、その後に激しい疲労感に襲われ、1日以上横になって休息が必要である。
  ※活動とは、身体活動だけでなく精神的ストレスや脳疲労を含む
3.睡眠障害、熟睡感のない睡眠
4.認知機能の障害
  例)思考力や記憶力とともに、注意力、集中力などの低下がある。
5.起立性低血圧や起立性頻脈(起立性調節障害)
  例)立ちくらみや起立時の動悸、頻脈、血圧低下など。5分以上たって いることが難しいこともある。
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これらの症状6カ月以上続く時、考えられる病気の一つとして「筋痛性脳脊髄炎(ME)/慢性疲労症候群(CFS)」が挙げられるそうです。

上の症状がどの位強く出るかということについては、聖マリアンナ医科大学の難病治療研究センターの先生が責任者となって「慢性疲労症候群患者の日常生活困難度調査事業」という報告書が厚生労働省のサイトに掲載されています。これの29を見ると、発症前に比べ、発症後は活動する能力や歩行の能力が 調子のよいときで50、調子の悪いときはなんと10ほどに低下します。日常生活が極めて困難になる病気なのです。

特に症状として頭痛や関節痛など、QOLをとても低下させる疼痛があり、患者さんの苦痛は大変なものです。

「筋痛性脳脊髄炎(ME)/慢性疲労症候群(CFS)」はなぜ難しいのか



1つにメカニズムがまだはっきり解明されていない、ということに難しさがあります。
脳と中枢神経に影響を及ぼす多系統にわたる複雑な慢性疾患で、世界保健機関(WHO)の国際疾病分類において、1969年より神経系疾患と分類されている神経免疫系の難病。ということは分かっていますが、何が発症の原因になのか、という点について、まだまだ分からないことが多いそうです。

2つ目として、病気の原因が解明されていないこともあって、治療法が確立されておらず、その患者さんごとに手探りで治療法を探さなくてはならないという難しさがあります。

さらに、3つ目として、日本の患者数は人口の0.1%と少なく、「筋痛性脳脊髄炎(ME)/慢性疲労症候群(CFS)」に精通した医師がとても少ない、特に地域的な偏りがある。ということもあります。筆者追記:この病気を専門とする医師が少ないために、病院をたらいまわしになったり(この病気は、「少しの外出で数日寝込んでしまうくらいの疲労」が症状としてよくみられるため、藁をもすがる思いで受診しても診断がつかず、患者さんの心が折れてしまうこともあります)、異なった診断名がついて、治療の開始が遅くなるということもあるようです。

以上筆者追記以外は「NPO法人 筋痛性脳脊髄炎の会(ME/CFSの会)」の「会の使命」から抜粋してまとめました。

私なりに、4つ目としてこの「筋痛性脳脊髄炎(ME)/慢性疲労症候群(CFS)」は男女比が1:4と男性に比べて女性の患者さんが多く、40代に発症することが多いことから(前述の「慢性疲労症候群患者の日常生活困難度調査事業」より)、働き盛りに、怠けていると誤解され、周囲の理解が得られず経済的にも悪化し、主たる病気のほかにも心理的に辛い状況に陥りがちだ、ということを挙げたいと思います。

また、この病気は社会的認知度が低く、家族や親族からの支援やあたたかい声掛けが受けづらい、難病指定を受けていないので高額な治療費がかかるなど、患者さんの抱える二次的な問題も多くあります。

このnoteは私自身の反省から書いています

私も親族が体調を悪化させて、なかなか診断名がつかなかった時、心因性のものではないか、などと、とんちんかんに考えたことがありました。

当事者が身近にいるから、この病気が抱える複数の難しさを知りました。いなければ、知らずにずっと過ごしていたかもしれません。知ったからには、大切な親族がよりよく生活できるよう、支えたいと思うようになりました。

この疾患を持つ私の親族は「身近な人にこの病気のことをもっと広めてほしい」「この病気を持つ人がいたら、正しく説明してほしい」ということでした。

私は医師ではないし、正確な情報ではないかもしれません(それがわかった時には都度正しい情報をnoteに書いていこうと思います)。
また、大きな力もないですが、自分が出来るのは「まず伝えること」と思い、このnoteを書きました。

次回は、当事者である親族にヒアリングしてこの病気について書こうと思います

ここまで読んでくださって、ありがとうございました。次回アップしたら、読んでいただけたら嬉しいです。

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