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『デート・ア・ライブ』概論⑤

1.はじめに

本稿は『デート・ア・ライブ』概論の第5回目となる。

今回は第4巻の『五河シスター』について見ていく。

今回も引き続きネタバレを含む内容になるため、未読者は十分に注意されたい。

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2.『五河シスター』あらすじ

狂三による苛烈な攻撃により窮地に陥る士道と真那だったが、そこへ霊装をまとった士道の義妹である琴里が現れる。

琴里は狂三による対象の時間を停止させる弾<七の弾(ザイン)>によって弾丸を受けるも、その傷は炎に包まれて瞬時に回復した。

琴里はすさまじい炎の力で次々と狂三をなぎ倒していき、精霊を救うための組織<ラタトスク>の司令官であるはずの琴里が狂三を焼き尽くそうとしていた。

士道は琴里の様子が明らかにおかしいことに気がつき、狂三をかばおうとする。

そこで、琴里は我に返るが、士道は琴里の「砲<メギド>」をまともにくらってしまう。(その間に狂三は逃亡する)

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士道は街を覆い尽くす炎という五年前の記憶と何者かが琴里を精霊化させている場面を夢に見る。

狂三との戦闘のあと、琴里の霊力は極めて強くなってしまい、霊力を封印するためにいままでしてきたように琴里に対して「デートしてデレさせる」ことを士道は迫られる。

また、琴里は五年前にも霊力を暴走させており、折紙に彼女の両親を殺した犯人なのではないかと疑いをかけられてしまう。

霊力の暴走を早く止める必要から、士道は屋内プールと遊園地へ琴里を連れ出しデートをするも、琴里は<ラタトスク>の司令官であり、デートの本来の目的をすでに知ってしまっているため、妙に冷めた態度をとられてしまう。

黒リボンをつけた司令官モードの琴里は手強く、こちらの意図を瞬時に察してしまう。

そこで、士道は琴里のリボンを取り、かわいい妹モードである白リボンの琴里にすることで純粋にこのデートを楽しんでもらおうとする。

一方で、折紙は復讐心に燃え、人間には扱えないと言われた持ち出し禁止のユニット<ホワイト・リコリス>を無断で起動させ、琴里を襲う。

もはや一時の猶予もないと悟った士道は好感度が上がっていることを信じて琴里とキスをし、なんとか霊力の封印に成功する。

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その瞬間に、士道は、琴里は折紙の両親を殺してなどおらず、琴里を精霊化させた「何者か」が黒幕にいるという記憶が流れ込んでくる。

便宜上その「何者か」を<ファントム>と名付け、なんとか折紙を説得して事なきを得た。

後日、<ラタトスク>の解析官である村雨令音によって琴里の士道への好感度は最初からMAX状態であったことが明かされる。

3.第4巻における伏線

・<ファントム>という存在が黒幕にいることが判明する→人間がセフィラを与えられ精霊化するという事例が確認される

・狂三の真の目的と十二の弾(ユッド・ベート)の時間遡行能力が明らかになる

4.天使・霊装/識別名

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セフィロトの樹において、「河琴里」は五番目のセフィラである「ゲブラー」を象徴する。

ゲブラーは赤色のセフィラであり、琴里の髪色はそれを反映している。

神名は<エロヒム・ギボール>、守護天使は<カマエル>である。

琴里の霊装は<神威霊装・五番(エロヒム・ギボール)>、天使は<灼爛殲鬼(カマエル)>である。

<AST>による識別名は<イフリート>。

イフリートとは、前回までに何度も登場している四大精霊のサラマンダーと類似の存在で、鬼神のような厳つい容姿と燃え盛る炎のイメージを持つ。

琴里の意識が破壊衝動にのみ込まれるのはこれに起因するものと思われる。

5.精霊について・不死について

琴里は言うまでもなく、パラケルススによる四大元素の分類では「火の精」に相当する。

火の精霊は通常サラマンダーと呼ばれるが、先述の通り、ここではしばしば同一視されるイフリートと特徴をよく反映している。

この場合の「精霊」とはエレメンタルな意味での精霊と考えても良い。

また、狂三が「時間」による蘇りのシナリオを意識した不死性を帯びていることは前回で見たが、琴里は驚異的な治癒能力によるエリクサー(霊薬)的な生き残りのシナリオを意識した不死性を帯びる点で対比される。

6.まとめ

今回は第4巻『五河シスター』について見た。

琴里は『デート・ア・ライブ』のなかでも個人的に一番の推しのキャラクターで、白琴里と黒琴里のギャップが可愛らしいキャラ立てになっている。

→第5巻へ続く

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