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「過去未来報知社」第1話・第40回

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>>第39回
(はじめから読む)<<第1回
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「はい! 今日はここ、六合街からお送りしております。
 ぶらり諸国漫遊・商店街の旅!」
「……なんか色々混ざってる気がする」
 六合役場の腕章を腕につけ、笑美はぼそっと呟いた。
「いや~、よく呼んでくれたよ、お役所も!
 やる時はやってくれるね!」
 笑美の横で満面の笑みを浮かべているのは、恵比寿の嫁の市子だ。
「えび……いや、仲須さん、ちょうど店じまいの時間じゃないですか。
 帰って寝なくて、いいんですか?」
 恵比寿の居酒屋は午後5時開店、午前7時閉店である。
 日の中でこんなハイテンションな恵比寿嫁を見るのは珍しい。
「だってさぁ、アカシがこの街に来てるんだよ!
 私は大ファンなんだよ!」
 バンバンと笑美の背中を叩く恵比寿嫁。
「アカシ……?」
 笑美は恵比寿嫁の指差す方向に首をめぐらす。
 先程とデカい声で番組タイトルを読み上げていた長身の男性タレントが、
 三代目サンタの店で惣菜をにこやかに頬張っている。
 やたらと高いスラリ、とした体型と整った顔立ち。
 そして、その少し近づき難い雰囲気を和らげる人懐っこい笑みが魅力らしい。
「うちにも来てくれないかねぇ。
 もう、心の底から、精一杯のおもてなしをするんだけど」
「……アイドルが昼間っから居酒屋で飲んだくれるのはダメでしょ」
「あのー、役所の人、すみません!」
 アカシの横のスタッフが声を上げる。
 ずり下がる腕章を引き上げ顔を上げる笑美。
 ふとこちらを向いたアカシの視線と笑美の視線が合わさった。
「……あれ?」
 こちらを見つめる涼やかな目元にどこか見覚えがあり、笑美は首を傾げた。
「すいませーん!」
 能天気なスタッフの声が再び響く。
「はーい!」
 気のせい、気のせい。
 笑美は首を一つ振ると、アカシの横をすれ違ってスタッフの方へ走った。

>>第41回

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