見出し画像

【先輩インタビュー Vol.3】株式会社帝国データバンク 成田 拓朗さん(2019年卒)

埼玉大学を卒業し社会で活躍する先輩にインタビューする企画「先輩インタビュー」シリーズの第3弾は、2019年に埼玉大学経済学部を卒業された成田 拓朗さんにYouth Buddyの小林がインタビューしました。


プロフィール

成田 拓朗さん Takurou Narita | プロフィール
株式会社 帝国データバンク
大宮支店 調査第1部
 
1997年1月11日生まれ。青森県つがる市出身。
2015年、埼玉大学経済学部に入学。
2019年3月卒業、同年4月に(株)帝国データバンクに入社。
入社当時から大宮支店に配属され、総務部として内勤の業務に携わる。その後、2020年8月より「早期調査員プログラム」の1期生として、調査部に異動。
2022年4月に副主任へ昇格。
同年11月に入籍し、妻と二人暮らし、現在に至る。

のびのびと過ごした学生時代

ー はじめに、簡単に自己紹介をお願いします。
帝国データバンク大宮支店調査一部の成田と申します。青森県出身で、2015年の4月に埼玉大学の経済学部に入学しまして、無事に留年することなく2019年の3月に卒業しました。その後、2019年の4月から帝国データバンクに新卒で入社し、大宮支店に配属されて現在に至ります。趣味は音楽やキャンプなどで、アウトドアにはまっています。
 
 大学生の頃はどんなことをしていましたか?
よく遊び、よく寝て、よく食べるというのびのびとした4年間を過ごしました。勉学面であまり自慢できることはありませんが、サークル活動ではバンドサークルの会長を務めました。
 
 今大学生に戻れるとしたら、やりたいことはありますか?
自由に使える時間がたくさんあると思うので、海外に旅行するなどして、視野を広げるということはしたいと思います。関東などをレンタカーで旅行したりしましたが、海外はあまり行かなかったので、ぜひ海外にたくさん行ってみたいです。
 
 大学では結構目立つタイプでしたか?
私がいた頃の埼玉大学は、落ち着いている人が多かったのですが、目立つ方ではありませんでした。しかし、いろんなサークルとつながりがあったので、いろんな人と関わることは多かったです。

帝国データバンクの成田さん(写真中央)

たくさんの企業を見た就職活動

ー 就職活動はどのように行っていましたか?
就職活動の期間は、自分が歓迎される立場で足を踏み入れる機会は今しかないと思っていたので、たくさんの企業を見ようと活動していました。社会人になると他社は取引先であるなど関係性が生まれてくるのですが、就職活動の時期は「うちに来てほしい」という考えで接してくれるので、今のうちにたくさんの企業を見ておこうと思っていました。
 
 なぜ帝国データバンクに就職しようと考えたのですか?
帝国データバンクを選んだ理由は3つありました。1つ目は、私は人と話すのが好きなのですが、特に経営層の方とお話できる仕事がおもしろいなと思ったことです。これが一番大きかったです。2つ目は、壁にぶち当たった時に、経営者の方と関係性を持つことで人脈も広がるのかなと考えたことです。3つ目は、収入面です。入社前に画面に平均年収が映し出されたときに「すごい」と思ったことを今でも鮮明に覚えています。

信頼関係を築くことが重要な企業信用調査の仕事

ー 帝国データバンクのビジネスモデルはどのようなものですか?
一番の基幹事業は企業信用調査です。通常の企業間取引は、一定期間の取引を後でまとめて支払う「信用取引」という方法を取っています。そうすると「売ったはいいけれどもお金を支払ってくれなかったらどうしよう」という不安が生まれます。そこで、企業間取引をするに当たって相手方の企業は支払い能力があるのかを企業に代わって調査をし、報告書を作るということが主な仕事になります。決算書類などを見て財務状況をつかむだけではなく、会社のビジネスモデルや設備、社長の人柄などをもとに報告者を作ります。信用取引を行っている企業であればだいたい弊社の名前をお耳にしたことがあるかと思います。
 
 そのような仕事の内容ですと、公認会計士のような知識は必要ですか?
そこまでの知識は必要ではないですが、決算書を見て業績が良いかどうか程度の判断がつくくらいの知識は必要です。広く浅く調査先の企業に興味関心を持って、色々と話を聞いて報告書を作るということになります。私たちは民間企業なので、税務署などと違って強制力は持っていません。ですから、アポイントをとるところから始めて、調査の内容、意義などを説明し、調査に協力してもらうというところから始まります。そのため、会計士などの知識というよりも、人に入り込んで、説明をして、調査に協力していただくという人間力が必要になります。
 
 帝国データバンクに就職しようと思った理由の一つにあった「経営者の方とお話しできる仕事」というところにつながりますね。
調査を拒否されたり怒られたりということもありますか?

あります。名前を名乗っただけで「偉そうに」といわれて電話を切られるということもあります。
 
 どのように調査を進めていくのですか?
まず、依頼書が届いたら、インターネットでホームページを見たり、過去に弊社と接触があったかどうかを調べたりした後に、電話をかけます。アポイントを取り、協力していただけるとなったら調査を行います。現地に赴くというのが基本の調査方法となります。最後に、報告書をまとめます。万が一調査に協力いただけないとなった場合においても、少しでも依頼者の判断材料となるように、取引先などへの周辺調査も行います。現地の在庫量やカレンダーなども、重要な情報の要素となります。
 
 業績を大きくウソをついたりする企業もありそうですね。
あります。決算書自体が粉飾されていることもあります。質問を工夫したり、会話の中での反応を見たりしてウソを見抜くようにしています。
 
 苦労した調査のエピソードなどはありますか?
たくさんあります。例えば、社長とアポイントを取ったので伺うと、社長がいらっしゃらなかったという企業がありました。社長が来るまでの間、総務部長と面談をしていたのですが、古ぼけたスーツに汚いスニーカーを履いており、どこか怪しいなと思いました。また、総務部長に財務状況などの踏み込んだ質問をすると、分からないという風に回答してきました。中小零細の企業の総務部長は基本的に自社について何でも分かっているはずなので、不信感がぬぐえずにいました。社長も遅れてきたにもかかわらず不愛想な対応で、さらに不信感は増しました。その後、取引先名は聞き出すことができました。後日、聞き出した主力得意先の企業にお話を伺ったところ、実際にはコンプライアンス上の問題が発生し、既に取引をしていないということが分かりました。また、役員の一人が兼任している他の会社についてもネガティブな情報が見つかり、怪しいなと思いました。その後、その企業はなくなってしまいました。

ー 怪しい会社だということが予兆できたということですね。見る目が養われていると感じました。
その時は予兆できましたね。先輩方には1000件くらい見ると一人前といわれます。3年ほど調査員を務めると1000件程度の調査を担当する形となり、一人前といわれます。私はまだまだ1000件に達していない未熟者です。その会社の関係者以外で会社について一番詳しい人になれるようにと、調査を頑張っています。
 
 個人についての調査なども行うのですか?
以前は行っていた時期もありましたが、現在は個人情報保護の観点から行っていないです。役員が兼任している他の会社について調べるということはありますが、ある特定の個人については調査することはありません。官公庁からの案件を受けることは多々あります。

とても穏やかに話をしてくださった

相手をリラックスさせ、話を引き出す

ー 人に入りこむのが上手だと感じますが、そのようなことを言われることはありますか?
よく言われます。「君だったらいいよ」と言って話してくださるケースもあります。
 
 人柄が大事なのですね。今まで抱いていた調査員のイメージとは違います。
構えられるとあまり話してくれないことがあるので、相手をリラックスさせられるように意識しています。もちろん、様々なタイプの調査員がいます。
 
 調査員として、会社の得意不得意はありますか?
特にありませんが、後々は何かしらの得意分野を持てるようになりたいと思っています。
 
 女性調査員の方はいらっしゃいますか?
いますが、男性が圧倒的に多いです。女性で活躍されている方はすごいと思います。
 
 プライベートで職業病だなと思ってしまうような行動はありますか?
休日に運転しながら目にした建物や看板から、売上高はいくらなのかなどを考えてしまうことがあります。また、話を聞くことが我々の仕事なので、プライベートでも聞き役に回ることは多いと思います。
 
 オフィスがない企業も増えていると思いますが、そのような場合はどのように調査するのですか?
まずは、連絡を取って実際に会います。それができない場合は、事務所の管理者の方に話を伺ったり、連絡を取っていただいたりします。登記の場所に会社があるとも限らないので、実際に足を運ぶことを大事にしています。

やりがいを感じる営業の仕事、将来は昇進もしたい

ー 入社前と入社後のギャップはありましたか?
仕事の内容は思っていたのとそれほど変わりません。経営者の方々と話したいと思い入社したのですが、運良く早くから外に出していただいたので、やりたかったことをできていると思います。逆に、総務部などの内勤の仕事が長く続いていたすれば、ギャップが生まれていたかもしれません。仕事量は内勤の方が減りますが、モチベーションなどの面では物足りなく感じていたと思います。
 
 ギャップを生まないために就職活動で心がけたことはありましたか?
私の時から支店配属の新卒採用が増えたので、早く現場に出るチャンスがあるのではないかと思い、入社しようと思いました。これまでは本社で新卒の一括採用をしていて、調査員に早いうちからなるということはあまりありませんでした。支店はキャリア採用を重視していて、経験がある人を即戦力で取り調査員にするということを行っていました。近年になって、早期から調査員として経験を積んでいくというプログラムが始まり、その関係で早くから調査員として働くことができています。
 
 若いうちから調査員をすることによって大変なことはありますか?
財務諸表を見て、ぱっと会社の状況をつかむための勉強をしました。分からないことは上司などに聞くということが大切だと思います。
 
 今の仕事は楽しいですか?
楽しいです。調査のほかに営業も行うのですが、営業をしてお客様になっていただくと嬉しくなります。また、お客様に「成田君には特別だよ」と言って話をしていただいたり、話をしたくなさそうな方に冗談を言って笑っていただいたりすると嬉しい気持ちになります。初めは調査に協力的ではなかった方が、実際に話すと話がはずむと嬉しいですね。調査先の会社からのちに別の調査の依頼が届くと、やりがいを感じます。
 
 これからのキャリアについてのプランなどはありますか?
社内でどんどん昇進していきたいという考えはあります。そのために、自分が求められているであろうことを考えて、それを達成できるように頑張っています。お客様のお役に立ちながら昇進していけたらと思っています。
 
 転勤などはありますか?
全国転勤の採用と一定のエリア内で転勤がある採用、転勤のない採用の3つがあります。しかし、転勤がある採用であっても、若い人、特に調査員の転勤は少ないという印象があります。調査の際に、調査員が変わらないほうがスムーズに関係を築くことができるので、多くはないのだと思います。昇進すると多くなっていくとは思います。
 
 接待をされたり、お金を渡されたりなどの様々な誘惑があり、倫理観も重要となるお仕事ではないかと感じます。
お金などを渡して「うちの会社のこと良く書いてよ」などと言われることもあるとは思いますが、そのようなことで虚偽の報告をしてはいけないという社内規程があります。虚偽の報告をしてしまうと、企業信用調査の会社としての信用を瞬く間に失ってしまいます。守秘義務に関しても厳しく規定されています。
 
 社会人になって、必要だと感じた能力や心構えはありますか?
個人的には挨拶が一番大切だと考えています。それから、一人で仕事はできないので、困ったときは助けを求める、周りが困っていたら助けるというようなコミュニケーションが大切だと思います。

学生へのメッセージ

ー 学生時代にこんなことをしておくと、社会人になってから有利になったなと思うことはありますか?
調査でお邪魔した社長の言葉ですが「与えられたことを全部こなす力はあるが、それ以外のことはなかなかできない」ということをおっしゃっていました。自分で考えて自分で決めたことをやりきるということをしておけば良かったと感じます。
 
 最後に学生に向けてメッセージなどがあればお願いします。
自分の中でやりきるということと、様々な企業を見るということを心がけて就職活動を頑張ってほしいと思います。
 
 ありがとうございました。

インタビュー日:2022年3月31日
執筆:経済学部 4年 小林尚礼
編集:キャリアセンター


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?