釣りでおじさんはchillしてる

　某日。雨が降っていたのに外に出て大量の水浴びをした。この季節じゃなければ風邪ひくし、服が何枚もビシャビシャになるけど、半袖短パンだから何も気にならない。こういう風に狂っていても安心な季節だから夏が好きだなと思った。夏は普通でいるにはもったいない季節だとも思った。

　某日。池のほとりに腰かけてひたすらに池を眺めた。カイツブリやカワセミのヒナたちが懸命に餌取りの練習をしていてよかった。手のひらサイズなので手に乗せてポムポムしてみたい。
　池でおじさんが釣りをしていた。ただひたすら水面に釣竿を垂らして待っていた。たまに動いたかと思えば餌をチェックするだけだった。こちらも負けじとスマホの電源を切り、野鳥やおじさんをじーっと眺めた。たいそういい時間だった。そこで気付いた、なるほど釣りのおじさんはなんとも最高な時間を過ごしているんだ、と。別に魚が釣れなくても、自然に囲まれて、ただ揺らぐ水面や野鳥たちを眺めて、これが幸せなんだなあと。僕がスマホを触らずぼーっとしていたこの時間、世間から解放されたようなこの時間、これがおじさんたちが釣りをする理由か！と思った。

釣竿を買ったので、早速おじさんを見習って池でぼーっとすることを始めたいと思う。

おしまい