見出し画像

~神話・民話の世界からコンニチハ~ 27 四神の方々と黄龍さま、麒麟さま

おはようございます。今日は真冬並みに寒くなりそうです。

第二十七回は! 中国神話にて、方位や季節などを四つに分けたときに、その守り手とされる四神の方々と、四神(四獣)に加え、五行思想と、その考え方では五番目に四方の中央に位置する黄龍さま、または麒麟さまについてのお話&インタビューです。

今回のお話

四神とは、古代の中国に伝わる方位や季節などを四つに分けた「四象(ししょう)」という形の無い概念をもとに、それを実体をもって表した神さまであり、聖獣であると言われています。

守護をする聖獣は、そのまんま東洋ドラゴンの青龍(せいりゅう)さま、火の鳥の朱雀(すざく)さま、細長い体の白虎(びゃっこ)さま、前回にちょろっとご紹介した、亀と蛇とが合わさった形で表現される玄武(げんぶ)さまの四神で、青龍さまは東の方角と春とを守り、色は青(実際には緑に近いとも)。朱雀さまは南の方角と夏とを守り、色は赤。白虎さまは西の方角と秋とを守り、色は白。玄武さまは北の方角と冬とを守り、色は黒です。それぞれの色は、龍として蒼龍(青竜)、赤龍(紅竜)、白龍、黒龍とも表されることがあります。

五行思想ではこの四神(四獣)の方々に加え、黄龍(こうりゅう)さま、あるいは麒麟(きりん)さまという存在が五番目の中央を守護すると考えられています。

黄龍さまは四神、または四龍をまとめる長とも呼ばれ、それぞれの季節の土用を示します。書物『述異記』には「泥水で育った蝮(まむし)は五百年にして蛟(みずち、雨竜)となり、蛟は千年にして竜(成竜)となり、竜は五百年にして角竜(かくりゅう)となり、角竜は千年にして応竜になり、年老いた応竜は黄竜と呼ばれる」とあります。

麒麟さまは、王が仁のある政治を行うときに現れる神聖な生き物「瑞獣」です。キリンビールの絵にあるとおり、形は鹿に似て大きく背丈は5mあり、顔は龍に似て、牛の尾と馬の蹄をもち、背毛は五色に彩られ、毛は黄色く、身体には鱗があります。古くは一本角、もしくは角の無い姿ですが、後世では二本角や三本角で描かれる例もあるそうです。

麒麟さまは、普段の性質は非常に穏やかで優しく、足元の虫や植物を踏むことさえ恐れるほど殺生を嫌い、地に足をつけず浮いているそうです。

……それでは、四神の方に比べて日本ではほとんど無名……ゲフンゲフン、いえ、控えめな四神の長の黄龍さまと、麒麟さまとのインタビューと参りましょう!

すー: 黄龍さま、麒麟さま、どうぞよろしくお願い致します。

黄龍: ふぉふぉふぉ……わしらの話も、時代を経ていろいろ物語が広がっておるからのう。四神たちのほうがメジャーになることもあろうて。

すー: そうおっしゃっていただけると、ほっとします。さまざまな物事を四つに分ける考え方はかなり昔からあったみたいで。四象、という概念は周の時代に始まったとする『周易』繋辞上伝にある「易有太極 是生兩儀 兩儀生四象 四象生八卦 八卦定吉凶 吉凶生大業」(易に太極あり、これ両儀を生じ、両儀は四象を生じ、四象は八卦を生ず。八卦は吉凶を定め、吉凶は大業を生ず)というところにも見られます。ここにはあんまり五番目って重要視されていないですね。その後の陰陽五行思想がむすびついて、五番目が出てきたようです。東洋的な良い王さま、君子といえば、あんまり自己主張せず、周りのひとびとの要望を聞いて賢い治め方をするというイメージがなんとなくありますけど、四神の長である黄龍さまもそんな感じでしょうか。その流れで、王が善政を行うと現れるという麒麟さまと、黄龍さまとのどちらかが五番目である中心に位置すると考えられてきたのかも。

麒麟: こわいところには行かないキリン。

すー: 麒麟さまの伝説からして、そんな感じですよね。日本ではキリンと言えばイメージするのはアフリカの大地にいるあのキリンになりますけど、中国でも明の時代に鄭和(ていわ)という方の南海遠征でアフリカからキリンを持ち帰ったとき、伝説の麒麟さまによく似ていたので時の王さまだった永楽帝はとくにキリンを気に入り珍重したというお話が残っています。半分伝説、半分実在の面白い位置に在りますよね、麒麟さまのお話は。まさか、中国の大地に実際に生息していたということは無さそうですけど……。

黄龍: ふぉふぉふぉ、分からぬものよ。龍という存在とて、昔から恐竜の化石はときどきひとびとの目に触れていたかもしれぬし、隕石で絶滅したとても、魂は残り、新しい種族である鳥類哺乳類を見守っておるのやもしれぬ。

すー: うーん、生命の系譜として、でっかく考えれば、恐竜はご先祖さまのようなものと言えるのかも。そこが人間の深いDNAというか、こころと見えない意識の世界に、守護をしてくださる存在として残っているのかも……。それだと、世界に流布されている英雄の竜退治なんて、とんでもないご先祖さま退治になっちゃいますね!(笑) なんという罰当たり。さんざん地球とそこに暮らすものたちに迷惑をかけて生きてきた私たち人類ですが、ぜひ麒麟さまがずっと長く現れてくださるような世界をこの未来に作り上げていきたいものです。黄龍さま、麒麟さま、どうもありがとうございました。

第二十七回「~神話・民話の世界からコンニチハ~ 27 四神の方々と黄龍さま、麒麟さま」は以上です。

少しでも楽しんで頂けたなら、それに勝る喜びはありません。

ここまでお読み頂き、誠にありがとうございました。

次回予告

第二十八回は、黄龍さまと同一視されたり、混同されたりする応竜さまのお話&インタビューを予定しています。お楽しみに~。

※ 見出しの画像は、みんなのフォトギャラリーから達哉*さんの作品をお借りしました。ありがとうございます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?