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~神話・民話の世界からコンニチハ~ 26 中国神話より、壊れた天地の修復

おはようございます。今日は曇りです。

第二十六回は! 天地が出来たあとで、それが壊れたために直した女媧(じょか)さまのお話&インタビューです。

今回のお話

遠い昔、天地が創(つく)られたあとで、その四極である東、西、南、北の果てにある天の柱が折れて、大地が裂(さ)けてしまいました。天は北西に傾き、太陽や月や星の動きは乱れました。地は東南が落ち込んだので、水や塵埃はその方向に帰って集まるようになりました。天は地を覆いつくせず、地は万物を乗せ尽くせず、火は盛んに燃え広がって消えず、洪水ははてもなく広がってやまず、猛獣は民を食い殺し、鷙鳥は老弱に掴みかかりました。

そこで女媧さまが五色の石を使って蒼天を補修し、聖なる山を支えていた大きな亀の足をもって新たな天の柱とし、黒龍の体をもって大地を修復し、葦(あし)の灰で氾濫した水をせき止めました。

女媧さまの天を補修した神聖な奮闘により、蒼天は修復され、四極は正され、洪水は消え、大地は平らかになり、猛獣は死に、ひとびとは生き残りました。

……女媧さまの大活躍! 夫の伏羲(ふくぎ)さまが、この伝説ではまったく陰すらありません。天地って壊れてもまた直せるものなんですね、終末思想もびっくり。この力を、ぜひとも病気のまん延や、山火事、水害、荒ぶる天気などでバランスを崩し始めているように見える私たちの今の地球にお使い願いたいものです。

洪水神話や巨人の神話として、各地に残る神話系とつながりのある前回のお話とは対照的に、天地が壊れたために女神である女媧さまが直したというこのストーリーは、かなり中国固有のものに近いようです。

……それでは、インタビューと参りましょう!

すー: 女媧さま、どうぞよろしくお願いいたします。

女媧: アイヤー! ひとりで世界を直すのは、ほんとに大変だったアルね!

すー: 伏羲さまはどこ行った、ですよね(笑) 大きな亀や龍など、生きもの? の足や体を使ってなんとか女媧さまが世界を再生させることができたと。すこし考えると、修復された天地もあんまり安定しない材料で作られているような気がしますけども。

女媧: 世界を、蛇や亀や象が支えているという伝説は、インドにもあるアル。世界は円盤の上に出来ている、という考え方を使うとき、ではその円盤は何で支えられているのかという疑問をどう解釈するかは、それぞれの土地で硬くてどっしりとしたものを印象づけたかったのかもしれないアルね。

すー: 確かに、生きもののなかでは、亀も象もしっかり大地に根差して立っているイメージはあります。特に亀は、形からして大きな山を背負って動きますよね。大亀のその足なら、しっかり天を支えられそうです。その亀はどれだけでかいのかという話はさておき(笑)

女媧: 私の世界を再生させた方法は、古来にあった物事を安定化させるための呪術が表現として残ったところもあるアルよ。現実的に考えれば、葦の灰を使って実際の大洪水が止められるわけもないアル。葦の灰を使った呪術が、洪水の収まりをもたらしたと考えた方が、昔のひとびとの暮らしに添うアル。

すー: 確かに! 女媧さまが世界を修復するために、はじめに使った五色の石というのも、中国での世界、万物は火・水・木・金・土の5種類の元素からなるという「五行思想」と数として一致していますもんね。そう考えると、蛇(龍)や亀や象に支えられた円盤の世界がリアルに考えてあるわけないよネ、と斜に構えるよりも、そのひとつひとつの文章の意味が何であったかを想像したり、何を古代のひとびとが大切に思い残したのかを探ったりしていくほうが大切なのかもしれません。この神話のなかでは、方位神でもある四神の青龍さま、朱雀さま、白虎さま、玄武さまの方々は出てこないなぁ、大きな亀という表現、そして方位のなかで玄武さまが守るという北には、五龍という思想では黒龍が相対するので、亀に絡みつく蛇の姿でもって表されることもある玄武さまとつながりがあるのかも、なんてのんきに思っちゃいますけども。女媧さま、どうもありがとうございました。

※ 古代中国において、玄武さまとされる亀に絡みつく蛇の姿、または尾が蛇である亀の姿は、亀は「長寿と不死」の象徴、蛇は「生殖と繁殖」の象徴で、後漢末の書物「周易参同契」には玄武の亀と蛇の合わさった姿を「玄武は亀蛇、共に寄り添い、もって牡牝となし、後につがいとなる」とあり、陰陽が合わさる様子に例えているストーリーがあるようです。世界の姿のひとつとして、この女媧さまの世界修復の神話とむすびついているのかもしれません。


第二十六回「~神話・民話の世界からコンニチハ~ 26 壊れた天地の修復」は以上です。

少しでも楽しんで頂けたなら、それに勝る喜びはありません。

ここまでお読み頂き、誠にありがとうございました。

次回予告

第二十七回は、今回ちろっと触れました、玄武さまを含めた四神の方々、そして五番目の存在とされる方々のお話のご紹介&インタビューを予定しています。どうぞお楽しみに~。

※ 見出しの画像は、noteに実装されたサービスCanvaを利用して作成したものです。

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