今年の大学入試「国語」の問題にツッコミを入れたくなった件

今日の新聞で、大学の入試問題が掲載されていたので、昔得意だった国語の科目ぐらい、ちょっと見たるか! という軽い気持ちで第一問に目を通すと。

レジリエンス。

この語句について、つらつらとその用語の説明が書いてある現代文が載っておりまして。

いやいや! これ、国語の問題だよね! レジリエンスっていう外来用語の説明文を問題にするの、おかしくね!? と、素朴な疑問を抱いてしまいました。

難しかったー、という受験生諸君、本当にお疲れさま! 今回のは、さすがに国語の問題としてはアウトだと思うよ! こーゆーね、難しいカタカナ用語を何かとぺらぺらしゃべれば頭かしこい、と思っている人は残念だけど世の中にはいるのよ(ボソリ)。

明治の文豪たちは、英語やらフランス語やらロシア語やらを、何とかして日本語化しようと努力したのに……最近のかしこい人は、その努力は無くしてしまったらしい。いやはや。

レジリエンスという言葉が、頭に入らなくても死にはしない。でも、文豪の太宰治が、川端康成にケチを付けられて、頭にきて「刺す。」とかのたまったけど、実際には刺さなかったという微笑ましい(!?)エピソードを知れば、あの某地元大学で起きた、先生への刃物による傷害事件は防げたかもしれない。

まあ、教科書から彼ら文豪の作品が無くなってはいるけれど、その代わり「文豪ストレイドッグス」や「文豪とアルケミスト」などで娯楽作品から入ってくる若い子たちはたくさんいて、そこから各作家に手を伸ばすひとたちも増えているらしいし、何より「青空文庫」という、過去の版権が切れたひとたちの素晴らしい作品がタダで読める場所もあるし、こうして入試の現代文の問題が明後日の方向に行っちゃった分、文豪たちの言葉は作品発表の時に願っていたであろう、大勢の人に自分の言葉が届くということが叶っている、プラマイゼロの時代だと考えることにしよう。

そして、もうひとつ。漢文の問題にも目を通してみたら。ん……? 詩人「謝霊運」だって!? それ、20年以上前に私も学生の時やったわー。何この漢文の変わらなさっぷり。あまりの変わらなさに思わず微笑んでしまいました。いいね! この漢気(おとこぎ)!

まあしかし……世界は、自分が入る予定の学校や会社に対して、そこで何をやりたいかを論理的に説明する力を求めているのに、ペーパー一枚のマークシートで合格不合格を決めるこの仕組みは、オワコンじゃね? って思ってしまいます。

付き合わされる受験生は、たまったもんじゃないよね。本当にお疲れさまでした。レジリエンスという外来用語に悩まされた頭を、ゆっくりと休めてくださいね。そして、人生の友となる、本当の良い作品を青空文庫でも眺めて探してみてください。きっと、青春の荒波に耐えられる、時代を超えた素敵な言葉の作品が待ってますよ。

以上、今日はかなり毒舌モードでお送りいたしました。毒舌こいて、すみません。

※ 2022年3月現在、新しい方針で取りまとめられた国語の教科書、文学作品のちゃんと残っているものが人気で授業への採用多めみたいですね。記事を書いた時点では、文学作品がぜんぶなくなるかも、という雰囲気もありましたけど、ひとまず国語科の教育から文学作品が消えるという事態は多くの実際の授業では杞憂になったようです。

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