【後編】 採用担当者を観察しまくったら自分の脳みそが作り変わった話
こんにちは!リアルメタバースプラットフォーム『STYLY』を提供する株式会社Psychic VR Lab広報・人事担当のUmiです!
前回こちらの記事で、
・Psychic VR Labの採用は価値観の共感採用
・共感採用における採用担当者の役割=「価値観が合うかどうか判断できる必要な情報を、適切に吟味して渡す情報の中継者(=influencer)」
というお話をお伝えしました。
今回は上記を踏まえて実際にPsychic VR Labでは候補者とどんなコミュニケーションをとっているのか?について書きたいと思います!
せっかくなのでほぼ採用初心者の私が入社してから数ヶ月間、もう1人の採用担当nackyさんを観察しまくって得た気づきについてお伝えさせてください。
前編と打って変わって100%私目線!!!
全国の採用ご担当者様、ぜひ温かい目で読んでください(笑)
nackyさんと入社直後の私
nackyさんは人事経験がめちゃくちゃ豊富な方で、かれこれ10年ほど人事業界にいらっしゃいます。ちなみに私をPsychic VR Labに引っ張り上げてくださったのも彼女だったりします。(こちらの記事参照)
一方、入社したての私の状況はといえばこんな感じです。
簡単にいうとPsychic VR Labの採用スタンスと一番遠いところにいた人間です。
そんな私が見たnackyさんを、前提・書類選考・カジュアル面談・面接の項目に分けてそれぞれお伝えさせていただきます。
【前提】募集ポジションの解像度がバキバキに高い
私が入社してまず感じたのは、nackyさんのヒアリング対象が、圧倒的に現場メンバーの割合が多かったことでした。
彼女のカレンダーをチラ見すると、いつも入っているのは各チームの定例のスケジュールです。経営陣との定例のみならず、ビジネスサイドやエンジニアチームの定例にも参加して、今は誰が何をやっているのか、また、どんな課題があるのかなどを常に拾っていることがわかりました。
結果、彼女は経営目線を持ちつつも現場の解像度がえげつなく高いです。
現場で起こっていること、メンバーが次来る方に欲しいと思っている具体的スキル、そして課題感や組織図からは決して見えない実際のコミュニケーションラインまで。
特にベンチャーでは現場の状況は常に変化があります。
そこで「今」何が起こっているのかを把握することは、その後候補者へ伝える情報として必要不可欠です。
「当たり前やんけ」と思われる方もいるかもしれませんが、これが最低限、候補者とのコミュニケーションを取る上で必要な事前準備なのだと入社当初の私は思いました。
【書類選考】やりたいことが提供できるか、熱意はあるか
次に驚いたのがnackyさんの書類選考の速さと精度の高さです。
私が「この方○○という理由で通過がいいかなと思うのですがどうでしょう?」とチャットを送ろうもんなら、即レス長文でコメントがきます。
しかもそのロジックの分かりやすさと明快さを含め「この短い書類からそこまで読み解く!?」と感じることがほとんどで、私は普通に「もはや探偵やんこの人」と思いました。
また、書類選考中にいただいたフィードバックの中でもPsychic VR Labの採用スタンスを垣間見ることができました。
①やりたいことが提供できる?
当初私が「スキルもご経験も申し分ない」と感じた方の書類でも、nackyさんから「この人のやりたいことはうちでは提供できないかもしれないね」と言われることがありました。
「こんなに素晴らしき経歴なのに??」と思いながらも私が実際にお会いしてお話してみると、やはりPsychic VR Labとご自身がやりたいことの方向性が合わず、カジュアル面談後にご辞退になることがほとんどでした。
例えば、Unityエンジニアの候補者からいただいた書類に「ゲームコンテンツを作る仕事に携わりたい」と記載されていたとします。
STYLYはアーティストやクリエイターがXR表現を楽しめるプラットフォームなので、その上に乗せるコンテンツはあくまで彼らが制作しますし、Unityエンジニアが作ったものが直接多くの人の目にとまり称賛されるという訳ではありません。「プラットフォームづくりに対してのモチベーション」が少なからず必要なため、「Psychic VR Labではやりたいことが提供できない」可能性が高いということです。
こういう感じで、しっかりと書類の段階から「その方の今後やりたいことの手段がPsychic VR Labでいいのか」という観点で見られていることに私は「素敵だな」と思いました。
②不足と熱意
一度「スキルが足りていないかも?」と思われる候補者に対して、私が「この方はお見送りですかね…?」と確認したことがありましたが、nackyさんはすかさず「この人と話してみたい!」と面談設置を希望されました。
理由を聞くと、「多少募集要件とズレていても、『XR業界に対しての熱意』を感じる書類をお送りいただける候補者の方とは、100%直接お話してるよ」とのこと。
確かにこの方はスキルは要件を満たしていないものの、自分がXR業界に興味を持ったきっかけから今後何を実現したいのかに至るまで、詳細に記載してくださっていました。
確かに「XR業界大好き!」「XR業界でこれやりたい!」という方は、正直まだまだ少ないのが現状です。
そんな熱意のある方は、多少要件と異なったとしても後からスキルや知識をインプットしてくれるかもしれない。また、もしかしたら今はまだ採用できなくとも、スキルを身につけていつかPsychic VR Labにまた入社したいと思っていただけるかもしれない。
そういった将来への種まきの観点からも絶対にお会いさせていただいていると言われた時、私は「自分、まだまだやな!!!」と思いました。
【カジュアル面談】「自分の言葉」と「これからの話」
nackyさんの面談の特徴は2つあります。ひとつは自分の言葉で伝えているということ、ふたつめは候補者の未来にフォーカスした話であることです。
①自分の言葉で
Psychic VR Labのミッションは「人類の超能力を解放する」であり、バリューは「『空間を身にまとう時代』をつくる」です。
正直、決してわかりやすいミッション・バリューではないと思います。当然ながら候補者からは
「人類の超能力を解放する」ってどういうこと?
「『空間を身にまとう時代』をつくる」ってどういうこと?
と疑問を持たれることがほとんどです。だからこそ、カジュアル面談ではこの世界観について丁寧に説明させていただく必要があります。
これについて私がnackyさんから言われ続けたことが、「海ちゃんが腹落ちするまで、とことんそれはどういうことなのかを考え抜いて、自分の言葉で話せるようにした方がいい」という言葉でした。
もちろんnackyさんの言葉をまるパクリしてそのまま真似ることは簡単です。でもnackyさん曰く、それは言わされている言葉でしかなくて、言わされている言葉は、決して候補者には届かない。
私は最初「一緒でもいいんじゃないのかな?」と疑問に思いながらもそれらしい言葉を並べて話したことがありましたが、自分でもびっくりするくらい、刺さらなかったことを覚えています。
他の社内メンバーがどのような言葉で表現しているのかヒアリングしてみると、不思議なことに、みんな挙げる事例や表現はバラバラなのにイメージできる世界観は全く一緒で、かつ間違いなく私の元にダイレクトに届く言葉たちでした。
それはそれぞれのメンバーが、しっかりと自分の頭でその世界のイメージを言語化できているということ。
お恥ずかしながら、この時初めて、私はただ言葉をなぞるだけで、その世界について「自分で」考えられていなかったのだと痛感しました。
②過去よりも「これから」の話を
もうひとつnackyさんのカジュアル面談に同席して感じたことが、過去ではなく未来に対してベクトルが向いた面談内容であるということでした。
私は「その人が自分の過去をどんな言葉で表現するのか」に興味がある人間だったので、割とそれまで何をやってきたのかについて聞きがちでした。
一方でnackyさんの場合、もちろん過去のお話も伺いながら、面談の中で最も時間を割き、かつ、もっとも深掘りして聞いていたのが候補者の「これから」の話です。
「今後どんなことにチャレンジしたいのか」「どうなりたいのか」「それはなぜか」という候補者個人の話はもちろん、「XR業界全体が今後どうなっていくといいと思うか」といった業界や世界観の話についてまで。
nackyさんにこの背景を聞くと、「過去その人がどうだったのかよりも、その人が今あるものをもとに、これから何を実現したくて、うちの会社で何がしたいのかを聞きたい」と言っていました。
これは書類選考の時から一貫して、常に「その人のやりたいことや実現したいことがうちで提供できるのか」という観点でお話されていることに由来するのだと思いますし、このスタンスに私はまた「素敵だな」と思いました。
【面接】お互いの覚悟の確認
Psychic VR Labでは面接が最低3回ありますが、その都度確認する内容に大きな違いはありません。
スキルと合わせて、とにもかくにも本人のやりたいことの方向性とPsychic VR Labの進んで行こうとしている方向性が合っているのかを、いろんな社内の人間とすり合わせ続けています。
そしてここでは、現場の話を超リアルに伝えます。
【事前準備】のところでもお伝えしましたが、nackyさんは現場の状態に対する解像度がバキバキに高いです。
現場で起こっていること、メンバーが次来る方に欲しいと思っている具体的スキル、そして課題感や組織図からは決して見えない実際のコミュニケーションライン。
そして「本人のやりたいことを実現するために最適なポジションは何か」をその場で提案できる瞬発力も、現場の解像度が高いゆえだと思います。
ここまでくるとあとはもう、お互いに「一緒に働く覚悟」があるかどうかの確認だと思います。
まとめ
いかがでしょうか。
私は前回の記事で、
・Psychic VR Labの採用は価値観の共感採用
・共感採用における採用担当者の役割=「価値観が合うかどうか判断できる必要な情報を、適切に吟味して渡す情報の中継者(=influencer)」
というお話をお伝えしました。
しかし言葉で理解していても、私がそれを本質的にできるようになるまでかなりの時間を要してしまいました。
採用のあり方を変えるためには、そのあり方が必要な背景を考え、実現のための採用担当の真の役割を理解すること、そして形だけの体制や知識だけではなく、日々の候補者とのコミュニケーションの積み重ねが必要なのだと思います。
私としてはほぼ脳みそを作り変えている感覚でした(笑)
振り返るうち、「もしかしてこれまでの自分は本気で、候補者のことを組織を構成するただのリソースとしてしか見ていなかったのでは?」ということにも気づいてゾッとしています。
最後に
実は今回2種類の記事を書こうと思えたのは、HERP様のリリース文がきっかけでした。
まさに候補者のことを「人員充足」と考えていたのが入社当初の私、企業の志に共感する「事業・組織を成長させる仲間との出会い」として捉えていたのがPsychic VR Labです。
最終的にnackyさんへの愛を語りまくる内容になりましたが(笑)、改めて「採用のあり方」についてとことん考えるいい機会をいただけたな、と思います。
私はHERP様のこのミッションが好きだと思いましたし、このミッションのもと作られているプロダクトを利用させてもらえていることが、とても幸せだと思いました。
僭越ではありますが、全ての採用ご担当者様にとって、今回の記事が、自社の採用のあり方を見つめ直すきっかけになれば幸いです。
HERP企画運営ご担当者の皆様、ありがとうございました!
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