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"シナリオの旅"への誘い (『実践 シナリオ・プランニング』紹介シリーズ)

相変わらず、日本でも世界でも、先が読みにくい日が続いています。

そういう中で必要とされる考え方のひとつとして、これまで取り組んできた経験をすべて詰め込んだシナリオプランニングの本を書きました。5月29日発売で、現在、Amazonでも予約受付中です。

全7章、440ページほどの本となりました。

そこそこのボリュームになりましたし、この本の概要を紹介するために、何回かにわけて(今のところ章ごとに分けて)、noteで記事を書いていこうかなと思っています。

今日はその最初ということで、この本が何についての本なのかを紹介していきたいと思います。

シナリオプランニング本としてのこの本の新しさとは?

「何についての本って、シナリオプランニングの本じゃないの?」と思うかもしれませんが、たしかにシナリオプランニングの本です。

ただ、これまでも数はそこまで多くなかったものの、シナリオプランニングに関する本は出ています。

これまでよりも、シナリオプランニングの必要性が高まっているからといって、屋上屋を架すようなものを書くくらいであれば、既存の本を読んでいただければ良いはずです。

では、どういう点が違うのかというと、大きくは次の3つです。

・シナリオプランニングの「作り方」について相当丁寧に解説している
・シナリオプランニングの「使い方」について丁寧に解説している
・シナリオをつくる過程の大切さについても丁寧に解説している

1点目は読んでいただき、評価してもらうしかないのですが、自分がこれまで国内外さまざまな文献を読んできた中で「あー、こういう時はどうすりゃいいんだ!」と思うような点について、実際のワークショップの場などで試行錯誤してきた経験を踏まえて、かなり丁寧に解説しています。

2点目については、弊社発行のメールマガジンでも紹介しましたので、そちらを読んでください。

3点目は、シナリオプランニングに取り組む過程で、複数シナリオなどの成果物(コンテンツ)にだけ目を向けるのではなく、その取り組みの過程(プロセス)にも目を向けて、その点についても解説しているという点です。

シナリオプランニングに取り組んでいると、複数シナリオをつくって、それを元に対応策を考えるというところにだけ目が向けられているようなところがあるのですが、そういう形式的な点だけに取り組んでも、実はそこまで大きな効果はありません。

その形式的なところに、どう取り組むのか、取り組んだあとに、それを日々の業務や生活にどう活かしていくのかというところまで目を向けることが大切です。

そういう点をいろいろな形で盛り込んだのが今回の本です。

シナリオの旅(The Scenarios Voyage)

3点目は具体的にどういうことなのかについては、最終的に、本を読んで確認していただくのが一番です。

とはいえ、今の時期、書店で立ち読みというのも難しいでしょうから、少しずつご紹介していこうというのが、この一連の投稿(になる予定)の役割です。

その第1回目である今回は、その内容を垣間見ることができる(かもしれない)「シナリオの旅(The Scenarios Voyage)」という部分を引用して紹介します。

まずはこの図を見てから、続く引用部分をお読みください。

校了_実践シナリオ・プランニング_pdf(214___223ページ)

シナリオ・プランニングに取り組む前の私たちは、左上の世界でさまざまな取り組みを行ってきました。「確かに今はいろいろなことが起きてはいるけれど、これは一過性のもので、いつかは自分が慣れ親しんだ(Familiar)世界に戻る」と考え、自分にとって心地良い(Comfort)範囲で物事を考え、行動してきました。

そういう私たちが、シナリオ・プランニングに取り組むと、理屈ではわかっていても、なかなか未来創造OSで示されているようには自分の枠組みを見直したり(reframing)、自分の認識を見直す(reperception)ことはできません。そのため、どうにかして、今まで慣れ親しんだ(Familiar)世界のイメージをもったまま、シナリオ・プランニングに取り組もうとしますが、うまくいかず、葛藤を感じ、おぼつかない(Discomfort)まま取り組みを進めていきます。

ここが「未来創造人材」の特徴としても紹介した、不確実さに耐え、エージェンシーを発揮するタイミングです。おぼつかなさ(Discomfort)を抱えたまま、これまでには考えたことがないような未知(Unfamiliar)の世界の可能性に目を向けます。

こうしてシナリオ・プランニングの取り組みをとおして、組織や個人の世界を捉える枠組みを見直し、自らの認識を見直すことをとおして、これまで感じていたおぼつかなさは消え、不確実で先が読めない環境(Unfamiliar)の中に居続けることに、これまでとは違った心地良さ(Comfort)を感じることができるようになっているはずです。

VUCAの時代とは、経験がない(Unfamiliar)なことが起こり続ける時代です。しかし、そのような世界におぼつかなさ(Discomfort)を感じるのか、心地良さ(Comfort)を感じるのかは私たち次第です。

本書をここまで読み進めたみなさんは、経験したこともない未知の(Unfamiliar)世界へと旅立つ道具を手に入れました。みなさんの「シナリオの旅」が心地良い(Comfort)ものになりますように。

実践 シナリオ・プランニング』423〜424ページ

次からは章ごとに内容を紹介していければと思っています。

ということで、本、よろしくお願いします!

読んでいただけるとうれしいです!

Photo by Maximilian Weisbecker on Unsplash

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