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第3回ユーザ会 シナリオプランニングと生成AI

株式会社スタイリッシュ・アイデアの新井です。

もう少しで5月が終わろうとしています。あれこれ書きたいことがあるのに、時間がたつのはあっという間ですね。

今月もいろんなことがありましたが、今月は弊社主催のユーザ会があったので、それを紹介したいと思います。


ユーザ会とは、弊社のコンサルティングを受けてくださったお客さまにお集まりいただき、事例発表や最新トレンドの紹介などを行う会です。

元々、自分が新卒で入社したSAPで、ユーザさん自らが運営するユーザコミュニティ(JSUGというものです)があることを知り、おもしろいなと思っていました。

それから20年近くたち、自分の会社でシナリオプランニングに取り組んでくださるお客さまが少しずつ増えてきたとき、弊社とお客さまの1対1でいろんな情報交換をするのも有意義だけど、ユーザさん同士がつながると、何か新しいものが生まれるんじゃないかと思い、始めたのがこのユーザ会です。

2023年中に第1回、第2回を開催し、それぞれ京セラ様、三井物産戦略研究所様に事例をお話しいただき、その事例を元に質疑応答や「じゃあ、自分の会社ならどうする?」という対話を行いました。

第3回は「生成AIとシナリオプランニング」

そして今月2024年5月には、第3回目のユーザ会を開催しました。

第1回目からユーザ会にご参加いただいているお客さまが、自社の共創スペースを使うことを申し出てくださり、そこでの開催となりました。

ワークショップをやるのにも最適な、とても素敵な場所でした!

先ほど書いたとおり、第1回、第2回はお客さま事例をご紹介していただきましたが、今回は少し趣向を変えて、ChatGPTなどの生成AIをシナリオプランニングにどう使えるかの話を、ミニワークもはさみながら進めました。

今回もアラワスの関ちゃんにグラフィックレコーディングをお願いしたので、グラフィックも使いながら当日の様子を少しお伝えします。

※関ちゃんのnoteはこちら!
関 美穂子(グラフィックレコーダー / リサーチャー)|note

生成AIってシナリオプランニングで使えるの?

まずはアイスブレイク的に、お集まりいただいた皆さんの生成AI活用状況をうかがいました。

自分は日々生成AIのお世話になっているのですが、使用頻度が高いChatGPT、Claude、Perplexityは有料プラン、CopilotとGeminiは嫌いじゃないけど比較のためにときどき使う程度という感じのユーザ。

そういう中でシナリオプランニングに生成AIをどう活用できるのかについてもあれこれ試しています。

生成AIでシナリオプランニングの取り組みのハードルを下げる

今のところ「2030年の日本の○○業界のシナリオつくって!」という感じで入れたところで気の利いたシナリオを出してくれるようなことはありませんが、シナリオプランニングをやっていて感じる

  • 時間がかかる

  • リサーチが難しい or 面倒

  • 抽象・具体の上げ下げ(特に抽象的なものの具体化)が大変

というのを少しは楽にしてくれるツールだなと思っています。

ケーススタディ:抽象度の高いシナリオを読み解こう

いろんな使い方はあるものの、時間が限られていたので、生成AI活用を網羅的に学ぼう!というより、ケーススタディとして「抽象度の高いシナリオを生成AIを使って読み解こう」というテーマを扱いました。

抽象度の高いシナリオを生成AIで読み解く

これは、特に大きめの組織、あるいはステークホルダーの種類が多い環境でのシナリオプランニングをやったことがある方は実感いただけるテーマなのではないかと思います。

大きめの組織になると、同じ会社でもいろいろな種類の事業をやっている。ステークホルダーの種類が多いと、同じようにいろいろな種類の状況を考慮しなければいけない。

そういう多様な状況をすべて盛り込める軸にしようとすると、どうしても抽象度の高いものになってしまいます。

それ自体は悪くはないのですが、そういうシナリオから、いざ個別の事業とか状況に落とし込もうとすると、なかなか具体にもっていけない。

そういう状況を想定して、実際にChatGPTを使いながら抽象度の高いシナリオの具体化に取り組みました。

実際に取り組んだあと、感想や質問を共有しながら全体で話を進めていきました。

グラフィックにも書いてもらっていますが、ChatGPTとかを使ってシナリオを考えようとすると、ついつい「人間が思いつかないようなオモシロいアイデアを…」と期待してしまいます。

しかし、ChatGPTを使ってシナリオの中身を検討するとき、期待するアウトプットの質の基準は「面白さ」ではなく「自分は考えつかなかったけど、自社を取り巻く状況として、たしかに起こり得るもの」でなくてはいけません。

そんな点を共有したりしつつ、いよいよまとめです。

生成AIは一緒にシナリオを考える「チームメンバー」

話は盛り上がっていましたが、第3回ユーザ会もまとめに入りました。

生成AIを「チームメンバー」として活用する

ChatGPTの活用についての総論的なところもお話はしましたが、何より大切なのは、シナリオプランニングを実践するとき、生成AIを「答えをくれる先生」としてとらえるのではなく「あらゆることを知っているけど、具体的な指示が必要なチームメンバー」としてとらえるのが良いということ。

言い換えると、人間である自分たちが考えていくプロセスの中で、具体的な悩みどころを「ねぇ、どう思う?」と具体的なプロンプトで聞くことが、現時点での理想的な生成AI活用法でしょう。

そして、常々いっている「シナリオプランニングでつくったシナリオはアウトプットではなくインプット」という話。つまり、シナリオをつくって終わりではなく、想定していなかった可能性についての対話がそこから始まるかどうかが大事な点。

このとき「たしかに想定していなかった可能性ではあるんだけど、抽象的すぎてピンとこない」となれば、生成AIの出番ですが、それはあくまでも自分たちの対話を活性化するための手段だというのは覚えておきたいところですね。

いろんな場を提供していきます

長くなりましたが、そんな感じで進めた第3回のユーザ会でした。

雰囲気をうまく伝えきれないのが残念なところですが、シナリオプランニングという共通言語をもった方が集まり、わいわいと未来のことや自社の状況を共有する場となりました。

文字どおり「ユーザ会」は、弊社のコンサルティングのお客さまの集まりになりますが、以前にご紹介した「シナリオプランニング練習会」など、シナリオプランニングや未来創造ダイアローグに興味を持つ方向けにいろいろな場を提供しています。

その入口として公開セミナーも提供しています。直近では6月に「シナリオプランニング活用講座 基礎編」を開催する予定ですので、ぜひご検討ください。

第3回グラフィックまとめ

最後に今回のグラフィックレコーディングのまとめをご紹介。

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新井 宏征(『実践 シナリオ・プランニング』著者、株式会社スタイリッシュ・アイデア代表)
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