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チームで仕事をしているといろいろなことがある。

以前にチームで取り組んでいたプロジェクトの話し。メンバーにお願いをしていた作業があがってきて、見てみると、単なる思いつきのようなことが書かれているレポートがあがってきた。

結論らしきものを支えるデータもなければ、そこに至るまでの道筋もよくわからない。

不思議に思ってたずねてみると「これは仮説ですから」とだけ返ってきて、目を疑った(回答がテキストで送られてきたので)。

それからチームメンバーしかり、いろいろなクライアントと仕事をしていると、どうも「仮説」というのを都合よく使う人たちがいるらしいということがわかってきた。

よく観察していると、その手の人たちは「仮説」という言葉を
・クライアントの意向とか事実は関係なく、自分が正しいと思っていること
・提出期限ギリギリ前に、自分が思いついたこと
という意味合いで使っているようなところがある。

しかし、これらは仮説ではなく、前者は妄想と呼ばれてもおかしくないし、後者はやっつけ仕事と呼ばれても文句は言えないものだ。

仮説とは文字どおり「仮の説」、つまり「まだ本当かどうかは証明されていないけど、自分としては今のところ確からしいと思っている意見」のこと。

この定義をそのまま応用すると、「仮説です」と言う場合は、自分なりの意見とあわせて、

今のところどういう点で確からしいと思っているのか
今後、どうやって証明しようと思っているのか

もセットで示さないといけない。

言い換えれば、仮の状態だからなんでも出して良いわけではなくて、仮の状態であることを自覚しつつ、どうすれば「仮」の状態が取れると考えているのかというところまでを全体として示さなければいけない。

こういう話しをしても「抽象的すぎてわからない」という人は、最近ニュースになっていた、この高校生の取り組みが参考になるだろう。

ここで紹介されている植松さんは、

「そもそもセミの死骸を夏の間に見かけることが少ないのはなぜか」と“短命説”に疑問を持ったことがきっかけ

となって「セミの寿命は1週間ではないのではないか?」という仮説を持ち、

捕まえたセミの羽に油性ペンで番号をマーキングして放し、後日、再捕獲を試みるというもの。植松さんは2016年の7月中旬から9月中旬にかけて、笠岡市内の住宅地や雑木林など4カ所でほぼ毎日、この調査を繰り返し、アブラゼミ、ツクツクボウシ、クマゼミなど計863匹にマーキング。15匹を再捕獲し、4匹を再再捕獲した。

という地道な検証を繰り返して、

植松さんは「なかなか再捕獲できず、調査の効率は非常に悪かった」と笑うが、調査の結果、アブラゼミ、ツクツクボウシ、クマゼミの3種で10日以上の生存を確認。最長生存確認記録はアブラゼミが32日間、ツクツクボウシが26日間、クマゼミが15日間だった。

という結論を得ている。

幸い、ビジネスの現場には、植松さんがやった取り組みよりも手法やツールが整っている。

そういうものを駆使しながら、より効率よく、正しい答えにたどり着くために活用するというのが、仮説の本来の役割であるはず。

そして、その仮説の本来の役割を活かすためには、以前に書いた「考え続ける」という姿勢を持つことも忘れてはいけない。

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Photo by Tim Gouw on Unsplash

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