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「日本企業なんだから、日本のやり方に従う」べきなのか

中国にいて日系企業で働くと、嫌というほど耳にする言葉があります。

「スタッフが日本のやり方を理解しない」

「(現地スタッフに対して)うちの顧客は日系なんだから、日本のやり方を徹底するべきだ」

などなど、「日本のやり方」が受け入れられないことに対する嘆きや怒りを述べるものです。

確かに日系企業なのですし、実際に顧客が日本であれば日本的な管理方式が求められるのですから、そう言いたくなる気持ちはわかります。しかし、これを言い続けることに果たして大きな意味はあるのかなあ、という風にも思ってしまうのです。

確かに「転ばぬ先の杖」的な発想であったり、「ほうれんそう」的なお互いに確認しながら物事を進めるような習慣というのは、中国においては悲しいくらいに定着しません。しかし、そこにはどうしても埋めようなのない(もしくは埋めようとすること自体が非効率的な)文化的な差異があり、そこを「こうしたほうがいい」とか「こっちのほうが正しい」ということで押さえつけても、そう変えられるものでもありません。

ましてや、そこに「日本的なやり方」という言葉を持ってこられても、反発を生むだけでしょう。日本に進出してきた中国企業の上司に「お前らのやり方はダメだ。すべて中国のやり方に従ってもらう」などと言われたらどう思うか、想像すればすぐにわかりそうなものです。

それよりも「中国的なやり方を変えずに、もしくは最低限の押さえ方でどうやって日本的に求められる成果を達成するのか」を考えたほうが建設的なんじゃないかなあ、と思ってしまいます(実際、中国で長期的に成功している日本の企業・人はそのあたりをよくわかっている人が多いような気がします)。

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なんでこのような話をするのかというと、自分の見てきた限り、特に製造業を中心とした在中国の日本企業はほとんどがまだ「日本式のやり方を押し付けてでも徹底しなければ」という発想から抜け出せていない、と感じているからです。

すでに日本という国の持つプレゼンスは中国でも大きく後退しており、むしろナメられ始めているにもかかわらず、過去のジャパンアズナンバーワンの栄光を忘れられず、また「中国は遅れた国だ」というイメージも捨てられないまま、現地スタッフとの軋轢をただ増やしているような例をいくつも見てきました。

別に中国的なやり方にすり寄っていくことが正しいとも思いませんし、媚びていく必要もないのですが、だからといって反発しか生まないような押さえつけをいつまでも繰り返していくことに意味はあるのかね、という気がしています。

そのうち、中国の企業に同じことをされて歯噛みすることになるんじゃないでしょうか。

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以上、これは中国に来て、そこにあった日本的な社会にコミットできずに脱落した人間の文句垂れにすぎません。ただの酸っぱい葡萄に文句をつける狐の戯言ですので、聞き流してください。

そもそも、そういった頑迷さと、日本企業の強みはある意味で表裏一体ですし、これが簡単に変わることとも思っていません。

僕は僕で、それとは違う部分にコミットして生きていこうと思います。

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