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中国の「政治的に正しい地図」を知ろう

こんなニュースが流れてきました。

中国に入国しようとした韓国人のかたが、持っていた手帳に付属する地図に「台湾を国であるかのように表記していた部分がある」という理由で足止めされ、さらには手帳を没収されたという話です。

中国の入国検査の厳しさにはバラつきがあって、時期による差(普段ユルユルのくせに、政治的重要イベントが近いと急に厳しくなったりする。たぶん点数稼ぎ)や、個人差があることを毎回の入国で感じます。持っている地図にまでイチャモンをつけられるというのは、たぶんかなりのレアケースでしょう。

とはいえ、僕自身これから何度も中国への出入国を何度も繰り返すことになるわけで、余計な足止めをくらわないためにも、中国的に正しい地図がどんなものか知っておく必要はあるかもしれません。

ということで、実際の地図を見て勉強することにしました。

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中国の正式な地図は、中国の自然資源部(日本でいうと国土交通省に当たるのかな?)という政府部門から発表されています。ホームページからは、地図のダウンロードもできます。

さっそく、たくさんのダウンロード可能な地図のなかから、国境線や周辺地域が描かれているものをダウンロードしてきました。

とはいえ、これだけでは小さすぎるし、なんのこっちゃわからないですよね。僕もそうです。

そこで以下では、この中国的に正しい地図が他の国で採用されている地図とどう違うのか、部分ごとに見ていきたいと思います。

①南シナ海周辺

まずは違いがわかりやすい、この地図では右下にあたる南シナ海周辺を見てみましょう。

台湾の表記が「台湾省」になっているのがまず目を引きますが、そのほか右側の拡大地図では、国境を表す紫の点線が南シナ海(この地図での表記は「南海」)をぐるっと囲んでいるのがわかります。

これはよくニュースになる、フィリピンやベトナムなど他の国々と領土係争中の南沙諸島を含む南シナ海は、すべて我々のものなのだという主張と一致します。

ちなみに去年、この最新版の地図が出された時にこれらの国境線が問題になりました。それまでの地図では南シナ海の国境線を9本の点線(九段線)で表現していたのが、この地図では10本の線(十段線)になり、勝手に範囲が拡張されていたからです。当然、これは他の国からの批判を受けました。

ちなみに台湾の少し東側、日本でいう尖閣諸島も当然ながらしっかり「釣魚島」として表記されています。

このあたりは中国国内でもほぼ常識として共有されているので、覚えておいたほうがいいでしょう。

②インドとの係争地

もうひとつの大きな違いとして、インドとの国境地帯の扱いがあります。

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