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とある工場に行ってきた

先日とある事情で、広東省某市にある、とある家電を作っている工場に訪問してきました(「とある」とか「某」ばっかりで詳細が書けないのがもどかしい)。

高速鉄道と滴滴(シェアカーサービス)を駆使して、教えてもらった住所のところまでたどり着いたのですが、事前に調べた資料の写真にある建物が見当たらない。「ははあ」と思いながら担当者に電話をかけると、資料とは全然違う見た目の、その辺にあった建物から「看到你了! 看到你了!」(見えた! 見えた!)と、僕の姿を見つけた担当者が出てきました。よくあることです。

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工場に入るなり、社長の王さん(仮名)はマシンガントークを始めました。

おおよく来てくれた、中国語うまいな、あんた中国に住んで何年だ、中国の嫁さんいるのか、嫁さんの実家どこだ、おお俺と同じじゃないか、今度家族で一緒に飯食いに行こうぜ、などなど…ものすごい勢いでいきなり呑まれそうになりますが、ここで怯んではいけません。飲み干すたびに際限なく注いでくれるお茶に机タップで感謝を示しつつ、負けないように中国語能力の限りを尽くして応戦します。

そこそこに話を切り上げ、工場の見学へ。これこそ詳細は書けないのですが、うん、社長の人柄とおなじくアットホームな職場ですね! と言う感じでした。

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見学が終わったらちょうど正午前。飯を食いに行こうという流れになりました。

地元料理の名店に連れて行ってやる…と言われある店に入ったのですが、なんとそこが満席。王さんは「2人だけなんだからなんとかしろ」としばらく粘っていましたが、店のおばちゃんのそれ以上の剣幕に押され退却。残念です。

仕方ないので、隣にあったこれまた良い感じの菜館(でいいのかな)に入って、名前のよくわからない郷土料理っぽいものを食べました。羊の肉で、味付けはすき焼きのような感じ。超うまかったです。さっきの店を追い出されて正解だったかもしれません。

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飯を食いながら、王さんの身の上話が始まりました。中国の某大手家電メーカーに勤めていたらしいこと、独立は大変だったが今は楽しいということ、4歳の子供がいること、子供が幼稚園の英語スピーチコンテストで優勝したらしいこと(4歳からそんなコンテストがあるのかよ)、幼稚園の費用が高くてしんどいいこと(月1万元以上するらしい)などを、また立て板に水で話し続けます。

熱々の飯を食いながら、どんどん話がヒートアップする王さん。この日の気温は、もう2月だと言うのに27℃。広東省はだいたい一年じゅう夏なのです。「クーラーつけてくれ」と店員のおばちゃんに頼む王さん。「停電しているから無理」とおばちゃん。おばちゃんはいつも強い。

食べ終わって、当然のように飯代を王さんが払ってくれました。日本人的には少し逡巡があるものの、ここで割り勘など申し出たら逆に怒られそうなので黙っておごられておくことにします。

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飯が終わったら工場にすぐ戻るのかと思いきや、「あんた、首の肌が荒れてるな。痒そうにしてる。良い薬を知ってるから買ってやるよ」と薬局に車を走らせる王さん。流石に申し訳ないものの、断るのもアレだし、素直にもらっておきました。2本も。「塗ったら5秒で治るぞ」と言われました。それはそれで怖いわ。

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工場に戻り、少しの打ち合わせをして、工場を離れました。帰るにあたり「一緒に写真を撮ってくれ」と言われ面食らいましたが、一応撮っておきました。恥ずかしかったです。

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最近はコロナ対応で移動が面倒になっていることもあり、工場の訪問に行ったりすることは少なくなったのですが、久しぶりに「これぞ中国式おもてなし」ともいうべき体験をすることができました。

こういうの、また気兼ねなくやれるようになりたいなあ。

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