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「中国式現代化」っていったいなんだろう。5つの特徴から考える

「中国式現代化」という言葉をご存知でしょうか。

「中国式現代化」とは、習近平国家主席によって提出された概念・用語で、いまの中国の行動指針となるものとして公の場で提起されることが増えている言葉です。街中でこの「中国式現代化」が文言に含まれた垂れ幕などを見る日も増えてきました。

で、その「中国式現代化」が指すものっていったい何だろう……と思って調べようとすると、どうもはっきりしません。

経済発展や世界平和などさまざまな概念や目標がそこに含まれているということはわかるのですが、中国語で調べようとしても修辞だらけで内容のない解説が並ぶばかりで(中国の政治関連のテキストにはありがちです)、読めば読むほどわからなくなってきます。

そんな中でも、去年開かれた二十大(中国共産党第二十回全国代表大会)の最後に行われた、習近平氏自身による大会報告における「中国式現代化」への言及がもっともそれを端的に説明しているように思えたので、今日はこれをもとに「中国式現代化」を読み解いてみたいと思います。

「中国式現代化」の5つの柱

中国政府のページにあった二十大の報告全文では、まず「中国式現代化」が中国に特有の特徴を備えていることに触れられています。

中国式现代化,是中国共产党领导的社会主义现代化,既有各国现代化的共同特征,更有基于自己国情的中国特色。
(中国式現代化とは、中国共産党の指導による社会主義の現代化である。各国における現代化と共通の特徴を備えつつ、さらに自国の国情に基づいた中国の特色を持つものである。)

中国政府網より、翻訳は筆者

ここでいう「現代化」とは、英語では「Modernization」、つまり「近代化」と訳されています。

中国がこれまでたどってきた現代化≒近代化の道は共産党の導きによる、中国の国情に合致したものであり、それは成功を収めてきた。そして今後もこの「中国の国情に合わせた近代化」を推し進めていくよ、というのが現在の政権の態度です。

そしてこの後に、「中国式現代化とは〜な現代化だ」(中国式现代化是〜的现代化)という具体的内容が、5つ並べて語られています。この5つこそが「中国式現代化」の本質であり、他の国にない独自の特徴だ(と習近平氏は考えている)と見るべきでしょう。

以下がその5つです。

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