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「あの事件」について、はじめて知った中国人のリアクション

昨日、6月4日は天安門事件の日でした。

天安門事件と言えば、1989年の北京・天安門において民主化を求めた学生たちが軍隊に武力鎮圧された痛ましい事件です。

中国政府が自国民に銃を向けた大事件であり、その後の中国が非民主的な方向を歩むことが決定的となったきっかけとしても重要な出来事です。しかし、それだけの大きな事件にもかかわらず、中国国内ではこれに関する情報は厳しく統制されており、普通に暮らしている限りではこの事件について知ることはほとんどできません。

事件から30年余りが過ぎ、当時生まれていなかった人は事件について知る機会もなく、「1989年の6月に何やら大きな政治的事件があった」という程度の認識か、そもそも何があったかまるで知らないという人が大多数です。

いま30代前半の僕の嫁も、その一人です。

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数年前、夫婦で天安門事件について話すことがありました。どういう話題の中でだったか忘れましたが、僕が何かの文脈でその名前を出してしまったのがきっかけです。

すると天安門事件についてよく知らない(何か大きなことがあり、その事件のことはタブーになっている、という程度の認識)嫁は、「その事件について知りたい」ということで、興味を持ってしまいました。

僕は軽率に名前を出したことを後悔し、果たしてこの負の歴史について知ることが中国人である嫁にとってよいことなのかどうかと葛藤しました。しかし、何言わないというのも違うような気がしました。

最終的には、僕も多くの知識を持っているわけではないから、天安門について扱ったビデオをYouTubeで探して一緒に見よう、そして自分で事件について考えてみてくれ、ということにしました。

検索すると、すぐにBBCによる当時の記録映像が見つかりました。

このほかにもYouTube上には数々の映像があり、なかには衝撃の強いものも含まれていました。いくつかの映像を見たのち、嫁はこのように語りました。

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