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ビザ更新で感じた中国的曖昧さの話

先日、中国の居留証(事実上の在住ビザ)の更新手続きをしました。

いまは審査中で、パスポートを預けている状態です。とはいえ申請を受け取ってもらえた時点でほぼOKだと思うので、大丈夫だろうと踏んでいます。今年は順調に更新できそうでよかったです。

「今年は」というのは、実はコロナ期間中に一度、ビザの更新がうまくいかず、中国にいられなくなるかも……という危機にさらされたことがあったんですね。

最終的にはなんとかなったのですが、その時の問題の起き方や過程、そして解決方法がじつに中国的というか、その曖昧さに「中国のお役所あるある」を強く感じたので、今日はそれを思い出しながら書いていこうと思います。

「書類が古過ぎます」

その時はまだゼロコロナ政策が続いているときでした。

僕は居留証の申請に必要な提出書類を揃え、出入境管理処という、ビザなどの管理を担う警察機関の建物にやってきていました。

窓口に「居留証の更新に来ました」といって、必要書類を差し出します。するとカウンターに座った鋭い目つきの係員の男性が、一つ一つ書類をチェックしていきます。

やがて男性は一つの書類に目を留め、僕に差し出しながら「臨時宿泊登記の日付が古すぎるから、更新してきてください」と言いました。

臨時宿泊登記とは、すべての外国人に義務付けられた住所登録のようなもので、原則として住所変更や出入国のたびに申請が必要になるものです。ビザの更新にも必要となります。

たしかに僕の宿泊登記は、発行から1年以上が経っていました。でも僕はその時から引越しもしていないし、ゼロコロナで出国もせずにずっと中国にいたので、これでいいんじゃないですか? と食い下がってみたのですが、「ビザの更新年と同年の日付のものを持ってこないとダメ」と言われてしまいました。

そんな条件はどこにも書いてないし、多少納得はいきません。しかし、争ってもしょうがないのでその場は引きさがり、素直に宿泊登記の更新に行くことにしました。その時点で居留証の期限まで2週間ほどあったので、何も問題はないだろうと思っていました。

「大家を呼んでこい」

しかし、その宿泊登記の更新が厄介でした。

上海などの都会ならオンラインで完結する宿泊登記の申請ですが、僕が住んでる片田舎にはそんな便利なものはありません。居住地を管轄する警察の派出所に行って、自分で申請をしなければなりません。

しかし派出所にもい、関門が待ち構えていました。

前年に宿泊登記を更新した時は2、3枚の書類を出すだけでよかったので、今回もそれで済むだろうと思ったのですが、今回は係員が「去年とは政策が変わった。外国人を住ませているということについての、大家の同意書を持ってこい」と言い始めました。さらに、証拠として大家と一緒に家の中で写真を撮ってそれも一緒に提出しろ、などと言います。

僕は困りました。当時住んでいた家の大家や遠方の、飛行機で移動するような距離のところに住んでいたからです。書類は郵送でなんとかなるにしても、写真のためだけに来てもらうのは現実的ではありません。なのでそんなのは無理だと言いましたが、じゃあ更新はできない、と向こうの係員は言うだけです。

そこからは試行錯誤です。大家本人ではなく代理人でもいいかと言ってみたのですが、それも本人の許可があるかどうかわからないからダメだといいます。ほかにもいろいろ提案したのですが、とにかくダメなものはダメだの一点張りです。

さて、困りました。そうこうしているうちに日々は過ぎ、居留証の期限が近づいてきます。このままではオーバーステイで警察の厄介になる可能性があり、そうなれば次回の居留更新にも影響が出るでしょう。下手をすれば中国にいられなくなります。

嫁は「そのへんのおばちゃんを捕まえてきて、大家だということにして写真を撮ってしまえばいいんじゃないか」と言い始めました。いよいよとなればそれも仕方ないかもですが、できればそれはしたくありません。

意外な解決法

しかし最終的には、僕は期限内に居留証を更新することができました。「野良おばちゃん作戦」を実行することもなく、穏当に当初の目的を達成したのです。

では僕は、どうやって宿泊登記の問題(大家が近くにいないので更新できない)を解決したのでしょうか?

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