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中国人が薬嫌いな、もう一つの理由

これまでに何度か中国人の薬嫌い、細かく言えば西洋医学的な薬に対する不信感や嫌悪感について書いたことがあります。

その理由としてはこれまで、中国の人々の間では中国医学的な考え方が強く根付いており、自然由来でないものを体の中に易々と入れるべきではない、また自分は大丈夫でも子どもに影響が出かねないことを懸念している、などということを挙げてきました。

しかし、これ以外にも中国人が薬を信用しない理由があるということに、昨日の嫁との会話で気がつきました。今日はそれについて書いてみたいと思います。

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その会話は、日本在住ジャーナリストの王志安さんの動画を見た後のことでした。この動画は、中国の医療業界にはびこる腐敗や各業界との癒着について扱ったものです。

これを見終えたあと、嫁がポツリとこんなことを言いました。

……私たちが西薬xi yao(中医薬の反対としての、西洋医学の薬)を信用しない理由がわかったでしょう? 中国の病院や医者は利益優先だから、患者のことなんかどうでもいいんだよ。処方する薬も本当に効果があるのかどうか、わかったもんじゃない。

上の動画でも扱われていますが、中国の医療業界にはそうした(癒着やリベート)方面での問題が多く、また普通の人々のほうにも「そういうもの」として認識されています。近年は「反腐敗」的な文脈で少しはマシになりつつあるものの、構造的な問題は変わっていないといいます。

そのため、そもそも中国の人々は病院、あるいは中国で行われる医療そのものをあまり信用していないところがあるのですね。したがって、そこで処方されている薬も信用がおけないというのです。

僕自身も中国で何度か病院にかかったことがありますが、癒着やリベート、個人の利益優先の匂いを感じたことはあります。

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