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「おかま」と呼ばれていた子

先日、「ジェイクとシャリース〜僕は歌姫だった〜」という番組を見た。
シャリースのことは、私は全然知らなかったのだけど、夫が見始めた番組にふと目をやると、フィリピンの貧しい家庭で育ったかわいらしい女の子がその素晴らしい歌声で全米デビューまで果たしたという紹介をしていた。
そのとき夫はヘッドフォンで見ていたので、私には音声は聞こえてこない。きっと素敵な歌声なんだろうな、なんて想像しながら見ていた。
そして、貧しかったけれど、アメリカでデビューしたことで幸せになったのかな、よかったな、と思って眺めていた。
すると、2009年から2019年に場面は飛び、乳房を切除して男性になったとテロップが入った。ものすごい衝撃を受けた。

今日、そのドキュメンタリーを、今度は音声も聞いて、もう一度見た。
トランスジェンダーについて、私はなかなか理解できていないのだけど、彼の苦悩はいかばかりだったかと想像すると、言葉もない。

そして、こういう問題や話題などに触れると、いつもひとりの男の子を思い出す。

小学校、中学校と同じ学年にいた男の子。
同じクラスになったことは、1度くらいあるかもしれないけれど、特に親しいわけでもなかった。
小学校のとき、その子は他の男の子たちから「おかま」と呼ばれていた。
もう遠い記憶なので、確かではないけれど、女の子たちはあまり言っていなかったような気がする。
私もちょっと変な子だな、とは思っていたけれど、そういう子もいるのかな? という程度の認識だった気がする。
男の子なのに女の子っぽい仕草をしたり、女の子たちとよく遊んでいたりしていた。でも、服装は男の子の服を着ていた。

中学校に入って、あるときその子が女の子の友達を話している姿を見た。制服は学ランを着ていたけれど、そのころには、もうなんというか、堂々と女の子っぽくなっていた。俗にいう「オネエ」というような仕草を、隠すことなくそのままに振る舞っていた。
それを見て、「ああ、もう吹っ切れたんだな」と思ったのを、すごくよく覚えている。
でも、そのとき、そう思ったのだけは覚えているけれど、卒業するころにその子がどんな感じだったのかも覚えていないし、ましてや、今どうしているのかも全く分からない。
でも、トランスジェンダーの話題などに触れるたびに、あの子は元気にしているかな? 周りの理解はあったのかな? 自分の心地いい生き方を見つけられているといいなと思わずにいられない。



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