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【お便り】短期間で学力を上げる

回のご相談は4月に高2生になる理系の方です。
学校の定期テストの結果に危機感を感じて塾に通うことを検討し始めたものの、部活動や学校の宿題でいっぱいいっぱい。
そして正直に言えばそこまで勉強にやる気はないけど短期間で成績を上げたくて塾に通おうと思っている。
どの塾にすれば良いだろうか?というお手紙をいただきました。

お便りいただき、ありがとうございます。


今回のお手紙で取り上げたいのは「短期間で学力を上げる」ということです。


まず大きな話をしますが「塾に通う」というのは「環境を買う」という意味があると思っています。
学習に対する意識が高い同学年・既に受験モードでバリバリ勉強している先輩方・受験知識豊富なスタッフ。
そんな場所で勉強するからこそ、自分の身も引き締まる、というのが環境を買うという意味だと思ってください。


で、たぶんなんですけど、相談者さんの近くには意識の高い同学年の友達とか、もしくは親御さんとかご兄弟がいるんじゃないかな、と感じます。

経験談なんですが、塾や予備校の在籍生徒の割合て1年2:2年3:3年5くらいだと思っていて、だとすると相談者さんはその2割に入っているということです。

高校生と言えば体育祭・文化祭・定期テスト・部活動とイベントがてんこ盛りで、そんな日々に忙殺されていると目の前のことで精いっぱいになってしまう方がむしろ普通なはずです。
そんな状況下ですから、何かしらのきっかけが無いと危機を感じること自体が難しいはずで。

もし相談者さんが既にそういう環境に身を置いているならば相応の環境は持っているということになります。

…いや決して「塾に通うな!」と言いたいわけでは無いのです。
無いのですが、相談者さんの状況を見る限りでは学校の課題と部活で精いっぱいであり、そこまでモチベーションが高くない状態の中で塾に通っても”短期間”で”結果”が出るイメージがしにくいのです。


塾に通うというのは「切り札」みたいなもので、ヒーローもので言うところのラスト1分前に繰り出す必殺技みたいなものです。

つまり、塾に通うからには”高い確率”で”短期間”で”成果”を出してもらいたい
そのための条件を満たすことが先決で、切り札はまだ手元に置いといて良い気がします。

現実問題、塾に通ってしまうと塾のペースで学習を進めなければいけません。
塾側はどんなに部活があっても課題が多くても一度決めたペースを守ろうとします。
これはお金稼ぎとかそういうことではなく、塾の人たちも”短期間”で”結果”を出さないと生徒のモチベーションが下がっていくのを知っているからです。

ですからごめんなさい、相談者さんは「どの塾が良いか」という質問でしたが、塾に通うのはまだちょっとだけ待ってもらいたいな、と思いました。



そこで、相談者さんには「短期間で結果を求めない行動」を実践してもらいたいです。

周囲にできる人がいるから「早くなんとかしなくちゃ」と思う気持ちはとてもよくわかります。それだけでプレッシャーですもんね。

なんですが、高1とか高2の夏休みくらいまでは結果を出すことよりも自分の”学習の癖”を知ることに時間をかけた方が受験が安定します。

受験が安定するとは、気持ちや成績のふり幅が乱高下しなくなることを言い、”学習の癖”というのは「30分おきに違う科目をやった方が集中力が持続できるな」とか「家では勉強できないと思ってたけど床の上だと不思議とできるな」とか「夜10時以降は集中力が無いな」といった学習面の特徴を知ることです。

幸い相談者さんはまだ高1生ですから回り道をできる余裕があります。
回り道というのは、いま挙げた例のようなことなのですが、学習の癖を知るためには自分のペースで相応に量を重ねることが不可欠です。

自分の特徴を理解すると、意外に苦手だと思っていた科目が単に時間をかけていないだけで実は一番得点源になる科目だったり、逆に好きだと思っていた科目が意外に点数が取れないということもあったりします。

こうして、すべてのお膳立てが終わった段階で塾に入ると、目的と理由がはっきりしていますから”高い確率”で”短期間”で”結果”を出せる可能性が出てきます。

もし、モチベーションを高めるために塾に入るとしたら、その目的はその通り”モチベを上げる”にあるので、成績があがるかどうかは別の話です。

ヒーローだって登場していきなり必殺技を繰り出してさっさと帰ることは無いですね、それは色々な段取りが必要だからです。


ただ、成長している実感が無いと毎日の学習が苦しいですよね。

そこで、今から3~6か月くらいの間は行動したこと自体を結果として見てあげてください。

 人間て不思議なものでマルがたくさんつくと次のやる気に繋がったりしますが、それは自分を肯定できていると感じるからです。

それを利用して今日のやることリストの中にすごい簡単なTODOを盛り込んでしまう。
たとえば、「勉強しやすいように部屋の掃除をする」とか「高1のテキストを2ページ解く」とか。なんなら「やることを整理する」もTODOに入れてしまいます。

ちなみに私もけっこう多用していて、もはや終わってるようなものにも敢えてTODOに盛り込んでやったことにするとその後がポンポンと流れに乗ってて仕事に取り組めています。

こうして自主学習に前向きに取り組めている感じが出てきてから結果を求めていきましょう。
ここでは結果の求め方は割愛しますが、コツとしては毎日の学習にちゃんとゴールを設定することです。


もう一つ。
相談者さんは学校で数Ⅲと物理を取らず、塾でしか学ばないことに不安があるとのこと。
過去に理転して東京海洋大に進学した生徒もいますし、通信系の高校に通う生徒で塾を主体にして学習して早稲田に進学した人もいました。

ということで前例がいくつもあるので基本的には大丈夫です。
志望校にもよりますがイメージですと高2の12月から塾で数Ⅲと物理を学び始めても充分間に合いますから、それまでに英語・ⅰA・ⅡBの3つを模試で良い点数が取れるよう取り組んでもらえればと思います。

従って塾に通うのは高2の12月以降か、自分の学習の癖が分かった後からでも大丈夫です。


もしかしたら、大学受験というのは勉強をすること以上に、自分の周辺を調える努力が大事かもしれません。
しかしここは意外に軽視されがち、というより視えていない・気付いていないことの方が多いかもしれません。
だから「やってもできない」と嘆く人が多い訳で。

しかし受験を通じて視えないものが視えるようになる経験を経ると、このあとの人生でもちょっとした気付きや変化に敏感になれます。

それは確実にあなたの人生を前向きにしてくれるはずです。


Special thanks: 今回お手紙を下さった、りん様

※メールアドレスが違っているようなので、お便りのお知らせを割愛させていただきました。

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