スクリーンショット_2019-11-02_14

「リソースフルすごろく」も完成がみえてきたかな。「beの肩書き」につづく、勉強家のワークショップシリーズ第三弾◎

こんにちは、勉強家の兼松佳宏です。

今回ご紹介する「リソースフルすごろく」は、「beの肩書き」「MOYAMOYA研究」につづくオリジナルワークショップの第三弾です。その内容は、すごろくづくりを通じて、すでに持っているリソースを引き出すというもの。

"ソーシャルデザイン曼荼羅"でいうと、秘められた価値(≒リソース)を見つけるためのワークになります。

スクリーンショット 2019-10-30 17.20.08

こちらは京都精華大学での19年度前期の授業でプロトタイプ版(いわばver0.1)を実施し、1月に"コミュニティすごろく"という名前でレシピを公開。連続講座「空海とソーシャルデザイン2019」@東京やグリーンズの13周年イベントで実験をしてきました。

その後、"いかしあうつながりスゴロク"や、アプリシエイティブ・インタビューならぬ"アプリシエイティブすごろく"など、ネーミングにあれこれ悩んだ末、この秋に正式に「リソースフルすごろく」という名前になりました。

resourceful 形容詞
1工夫[機知]に富む,臨機の才のある,よく気のつく; やりくり上手の.
2〔+of+(代)名詞+to do〕〈…するとは〉〔人は〕工夫[機知]に富んで.
It was resourceful of you to think of that. そのことを考えつくとは君も機転がきく.


※"リソースフルネス"研究の入門書はこちらを◎


〈リソースフルすごろくのレシピ〉

リソースフルすごろくでは、以下のすごろく台紙とシートを使います。(意外と深い「すごろく」の歴史や、なぜすごろくがコミュニティづくりに役立つのかについては、以前の記事を御覧ください)

ペアを組み、ひとり30分×2人の約60分でシートを作成し、残りの時間ですごろくを遊びます。全部で2時間半くらいのイメージです。

こちらがすごろく台紙。例えば、♥にプレイヤーのコマが進んだら、メモの♥に書かれている内容を共有する、という流れです。

スクリーンショット 2019-11-08 6.26.26

先にアイコンについて説明しておきます。

・♥は「偏愛○☓クイズ」です。自分の偏愛について、歴史クイズ、特性クイズ、冥利クイズのいずれかを出題します。不正解の場合、一回休みです。

・★は「お祝い二択クイズ」です。最近の「うまくいった!」クイズ、最近の「がんばった!」クイズ、最近の「大変だった!」クイズのいずれかを出題します。不正解の場合、一回休みです。

・●は「ニーズのシェア」です。手伝ってほしいこと、教えてほしいこと、その他相談したいことを表明します。解決できそうな人は1コマ進みます。

24マスほどしかないので、すぐに終わってしまうのでは?と思ったかもしれませんが、スクリプトを用意し、各マスで2分ずつなど時間を確保します。


こちらがシートで、

スクリーンショット 2019-10-31 21.30.24


こちらが完成イメージです。

スクリーンショット 2019-10-31 21.31.29



そして、大まかな流れは次のとおりです。

●「リソースフルすごろく」のレシピ
① ペアで「偏愛○☓クイズ」をつくる
② 
ペアで「お祝い二択クイズ」をつくる
③ ひとりで「ニーズ一覧表」を埋める
④ すごろくで遊ぶ!


① ペアで「偏愛○☓クイズ」をつくる

6人一組になり、3つのペアに分かれ、シートを作成していきます。最初は「偏愛○☓クイズ」です。

事前宿題だった偏愛マップ(上級編)を共有し、それぞれクイズにしたいテーマを決めます。

スクリーンショット 2019-10-31 21.41.56

その後はふたりで協力して、歴史クイズ、特性クイズ、冥利クイズを仕上げてゆきます。

スクリーンショット 2019-10-31 21.47.32

歴史クイズは、自分のテーマではなく相手のテーマを「○○の歴史」と調べてみて、意外に思ったエピソードを相手に教えてあげてみてください。特性クイズは、比較対象をどうするかを先に決めたほうがいいでしょう。そして冥利クイズは、パッとは思い浮かばないかもしれないので、お互いインタビューをして引き出してみてください。

●偏愛○☓クイズの例

Q1 歴史クイズ

連珠(五目並べ)といえば、世界で人気のボードゲームですが、発祥は江戸時代の京都である。○か、☓か。

Q2 特性クイズ
他の囲碁や将棋とは違う連珠(五目並べ)ならではの特徴は、先手と後手でルールやゲームの進め方が、ぜんぜんちがうということである。○か、☓か。

Q3 冥利クイズ
連珠(五目並べ)をしすぎることで起こるいいことは、幼稚園児からシニアまで誰もが一緒に遊べるということである。○か、☓か。


② ペアで「お祝い二択クイズ」をつくる

つづいては、お祝い二択クイズです。まずは個人ワークとして、最近の「うまくいった!」エピソード、最近の「がんばった!」エピソード、最近の「大変だった!」エピソードをそれぞれ2つ以上(合計6つ以上)書き出します。

終わったら、自分にとって大切なエピソード、衝撃が多かったエピソードを順位付けしてゆきます(それぞれ1位と2位まででOK)。1位のエピソードは自分のお祝い二択クイズの正解とし、2位のエピソードは相手の二択クイズの不正解としてプレセントしてみてください。

●お祝い二択クイズの例

Q1 最近の「うまくいった!」クイズ
①お父さんの誕生日で、サプライズがうまくいった
②授業でのMOYAMOYA研究のワークショップで、しっくり度が高かった

Q2 最近の「がんばった!」クイズ
①新しい研究室に、重い荷物を運びまくった
②たくさん届いた野菜で、料理をつくりまくった

Q3 最近の「大変だった!」クイズ
①定期券、自転車の鍵、ジムの鍵ぜんぶを、研究室に忘れた
②寿司の食べ放題で、食べすぎてお腹を壊した


③ ひとりで「ニーズ一覧表」を埋める

いま困っていること、助けてほしいことを書き出します。

ニーズ一覧表の例
・言葉遊びワークショップの実験を手伝ってほしい
・マイプロをもっとやりたくなる方法を考えるのを手伝ってほしい
・料理の作り方を教えてほしい
・最近おすすめのお笑い芸人を教えてほしい
・バスケットボール仲間がほしい
・オフィスアワー活用の相談に乗ってほしい

シートの作成は以上です、おつかれさまでした!


④ すごろくで遊ぶ!

あとは6人組に戻って、サイコロをふって遊ぶだけです。このとき、以下のスクリプトを用いて、場をホストしていきます。

♥ 偏愛○☓クイズ

① 出題
「わたしが偏愛する 〜〜 の【歴史/特性/冥利】問題です。
『〜〜 である』。さて、○か、☓か、正解はどちらでしょう?」

② 正解発表と解説(2分間)
※他の人が質問してもOK

③ 不正解者は1回休み

★ お祝い二択クイズ

① 出題
「最近の【「うまくいった!」/「がんばった!」/「大変だった!」】問題です。
『①〜〜した』『②〜〜した』。さて、正解はどちらでしょう?」

② 正解発表と解説(2分間)
※他の人が質問してもOK

③不正解者は1回休み

● ニーズ一覧表

① ニーズの表明
「わたしのニーズは、【「〜〜を手伝ってほしい」/「〜〜を教えてほしい」/「〜〜ほしい」】です。その背景を具体的にいうと、『〜〜』です。いつもはどうしているかというと、『〜〜』です。」

② ニーズに応えられそうな人は手を挙げて、できることを話す(複数人OK)

③ ニーズを表明した人とニーズに応えられそうな人が一緒に1マス進む


ということで、すでにあるリソースを見つける「リソースフルすごろく」のレシピでした!

「beの肩書き」や「MOYAMOYA研究」も学生の反応は上々なのですが、「いちばん楽しかった!」という声が多いのは、このすごろくの授業だったりします。特に強力なのがニーズの表明で、人の役に立てそうなことが自然と見つかったり、お互い小さな願いを叶え合うことでさらに仲が深まったり、といった効果が期待できます。

 なぜ"偏愛"と"お祝い"と"ニーズ"なのか、については、空海とソーシャルデザインの方でしっかりまとめてゆきたいと思っていますが、気になった方はぜひ、遊んでみてください◎

はじめまして、勉強家の兼松佳宏です。現在は京都精華大学人文学部で特任講師をしながら、"ワークショップができる哲学者"を目指して、「beの肩書き」や「スタディホール」といった手法を開発しています。今後ともどうぞ、よろしくおねがいいたします◎