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7時間かけて「beの肩書き」をやってみた〈1DAYワークショップのスライド公開!〉

こんにちは、勉強家の兼松佳宏です。

12月に発売となった『beの肩書き』ですが、オンライン販売中心ながら実売数がもうすぐ1,300冊となり、増刷の目安としていた1,500冊もみえてきました。ありがとうございます!

大学が春休みに入る2月、3月はbeの肩書き強化月間ということで、この9日間だけでも東京、京都、神戸、名古屋、そしてオンラインと計8回のトークやワークを開催させていただき、少人数でじっくりの3名から40名まで、計100名の方に体験していただくことができました。

また、soar conference 2018のイベントレポートもアップされ、twitterではたくさんの嬉しいコメントをいただきました、感謝! じわじわとじっくりと、必要としている方にしっかり届けられるように、ひきつづき努めてゆきたいと思います◎


はじめての1DAY完全版

ということで2月9日(土)は、グリーンズの学校の公式プログラムとして「「beの肩書き」を1日でつくる特別ワークショップ!」を開催しました。

これまでの主なメニューは2時間の体験版4時間半の半日版だったのですが、7時間というほぼ丸一日をかけてどこまで深めることができるのか、そんな実験の機会でもありました。

しっくりくるbeの肩書きと一回で出会うことはめったになくて、いちばん大切なのは何周もぐるぐると、自分のあり方を象徴するメタファーをこねこねしていくこと、その回数(と濃度)だと思っています。

目安としては2時間で1周、4時間で2周いけるので、7時間ではこれまでの最高記録となる3周への挑戦です。1周目のウォーミングアップでは、大阪で思いのほか好評だった〈食べ物編〉、2周目は書籍と同じ内容の〈職業名編〉として、3周目には〈自由編〉として、自由なダイアログ形式でじっくり深めていくようなデザインにしてみました。

その結果、あるプロダクトデザイナーの方は、

1周目〈食べ物編〉※食べ物名はみんなが考える
・身軽にどこにでもいける「おにぎり」のような人
・ベースにだしが利いていてそれ自体で完成しているけれど、トッピングで姿を変えるキャパのある「みそ汁」のような人
・骨まで食べられる「めざし」のような人

からの

2周目〈職業名編〉※職業名は自分で決める
・豊富な経験談トークが大人気!様々な土地の味も楽しめる「屋台料理人」のような人
・世界中から仕入れを欠かさない「屋台料理人」のような人
・行った先の材料でメニューをつくる「屋台料理人」のような人

からの

3周目〈自由編〉※みんなでブレストしつつ自分で決める
・旅する屋台料理人

へ!


また、あるまちづくりに関わる方は、

1周目〈食べ物編〉※食べ物名はみんなが考える
・一つの場所にとどまらずみんなを引っ張っていきながらもどこかやさしい「たまご」のような人
・どこから食べてもおいしい具だくさんな「オープンサンドイッチ」のような人(具が落ちても大丈夫なプレート付き)
・もっといろんな可能性を引き出してくれる「ウェイパー」のような人

からの

2周目〈職業名編〉※職業名は自分で決める
・一歩一歩丁寧に生きるみんなの安心を願う「カウンセラー」のような人
・自分、周りの人、さらに多くの人に安心できる社会を提供する「カウンセラー」のような人
・つねに考えつづける「コミュニティカウンセラー」のような人

からの

3周目〈自由編〉※みんなでブレストしつつ自分で決める
・いごこちカウンセラー

へ! それぞれメタファーが進化してゆきました。


うーん、言葉が磨かれていくプロセスがいま振り返っても面白い...もしかしたら僕自身がいちばん楽しませてもらっているのかもしれません。参加者のみなさん、ありがとうございました!


〈beの肩書き1DAYワークショップのレシピ〉

ということで、どんなことをやったのかオープンソースで共有してみたいと思います。

ちなみに今回の記事と同じ内容のワークショップを、3月16日(土)に東京で開催します(おかげさまで残席わずかです◎)。当分、関東での1DAYの予定はないので、ピンと来た方はこの機会にぜひ!


〈beの肩書き1DAYワークショップのレシピ〉
①チェックイン
②レクチャー
③偏愛マップ
④beの肩書き〈食べ物メタファー編〉
⑤ランチ休憩(個人ワーク)
⑥beの肩書き〈職業メタファー編〉
⑦beの肩書き〈自由編〉
⑧おわりの時間(ハーベスト&チェックアウト)


①チェックイン

まずはこの場になれるために、近くに座った人と一緒にチェックイン。お名前/どちらから?/期待していることは?を軽く話してもらいつつ、アイスブレイクとしてこれまで名乗ってきた(よくもわるくも)印象に残っているニックネームや肩書きについて共有してもらいました。


②レクチャー

すでに記事や書籍を読んできている方も増えてきているので、レクチャーは短めに。beの肩書きの見つけ方にフォーカスしました。

beの肩書きとは? → ユーダイモニア → リフレーミング → メタファー


③偏愛マップ

ここからグループワークに入ります。今回はシンプルに誕生日順に並んで3人組をつくる星座ロマンチック方式にしました。

ちなみに書籍では偏愛マップは割愛したのですが、beの肩書きは自分の引き出しを少しずつ開けていく作業でもあるので、僕がやる場合はその最初の一歩としてできる限り取り入れています。また、この後に食べ物編があるので、メタファーの素材となるように「好きな料理や食べ物」は必ず書き出してもらうようにしました。

とはいっても、偏愛マップの共有がメインではないので、思い出す時間は10分くらい、共有も5分くらいですませるようにします。具体的には偏愛マップを交換しながら話を聞いてみたいこと(自分も好きだから、とか、自分は嫌いなのに好きと書いているから、みたいなこと)に印をつけあいます。そして自分のところに戻ってきたら、印のあるもののうちのひとつを選んで、それぞれが1分だけその話をして終わり、みたいなライトな感じです。

偏愛マップを何回もやってみて思ったのは、「自由に紹介してください」といっても相手に興味がなかったりするとあまり盛り上がらないこともある、ということ。そこで印を付けてもらうことで、好きなことを堂々と話してもOKという状況をつくることができるのではないかと思っています。

こうして偏愛マップは準備として最適であり、アイスブレイクにもなり、何より語り合うことのウォーミングアップにもなります。もし20分くらい余裕がある場合はぜひ取り入れてみてください。


④beの肩書き〈食べ物メタファー編〉

偏愛マップで自分の引き出しをちょっと開けてみたことで、ユーダイモニアなことを思い出しやすくなっているはずです。そこで続いてのワークは「beの肩書きインタビュー」です。(「職業で例えると?」は、まだ記入しません)

とはいえ、すべての質問に満遍なく答える必要はありません。特にQ5は究極の質問であり、Q1〜Q4を書き終えてみて、じわじわと浮かび上がってくるものなのかもしれません。とにかくこの段階ではひとつでもあれば大丈夫です。


10分ほどで書き終わったら、いよいよ食べ物編のスタートです。イメージを沸きやすくするために、これまでのサンプルも紹介しつつ、語り手、聞き手、メモ係に分かれます。

語り手は自由に話をしてOK。聞き手は相槌をうつ、言葉を繰り返すなど傾聴することに集中し、メモはメモ係にまかせます。メモ係は白い紙とペンを持って、話のすべてではなく、大切なキーワードや表情が変わった瞬間をメモしていきますが、基本的に質問は聞き手にまかせて黒子に徹します。

このときはひとりあたり語る時間を4分とし、残り半分、あと30秒のアナウンスをするようにしました。終わりの合図が来たら語り手に拍手をし、黒子に徹していたメモ係さんから、語り手に「キーワードは何だったのか」「どの瞬間に表情が変わったのか」など、1分ほどフィードバックをします。

そしてその後5分ほどでメタファーを考えながら、メッセージカードを仕上げ、3分くらいで一言添えて渡し合います。最初は難しいと思いますが時間がたくさんあったらいいアイデアが浮かぶものでもないので、時間のない追い込み感を楽しんでみてください。(ただ、なんとなく食材や料理名そのものだけでなく、飲み物系、お菓子系、あるいは塩や味噌といった調味料系、煮込みや発酵といった調理法系などの傾向はあるようなので、そろそろそのヒントをまとめられそうです)

この約15分くらいを1セットとして3人分繰り返します。(前回はあいだにブレストを挟んでいましたが、直接メッセージカードの方がやっぱりよさそうでした。また、メッセージカードを最後に渡し合うのではなく、都度都度で渡す方が全体的な熱量は上がるような気がしました)


⑤ランチ休憩(個人ワーク)

ここまでで2時間経っているので、そろそろランチ休憩に入ります。ランチはみんなで食べてもいいのですが、せっかく自分のbeに迫りつつあるので、あえてひとりで自分と向き合ってもらうことにしました。

その間に自分にとってのユーダイモニアを象徴する職業をリストから選んでもらい、beの肩書きヒストリーを仕上げてもらうようお願いしたのですが、お店の環境によってはワークをしにくい、ということもありました。であれば早めに戻ってきてもらって、ヒストリーを書くのはワークショップ会場で、とした方がよかったかもしれません。


⑥beの肩書き〈職業メタファー編〉

ここからが2周目です。ワークの進め方は〈食べ物編〉と同じですが、それぞれが選んだ職業名のカテゴリー(国語系、数学系、体育系、道徳系など)によってチーム分けをする教科ロマンチック方式にしてみました。

ただランチ後の急なグループ分けだったので、いちおう初めて話す人もいる新グループでのチェックインは、もっとゆったりとってもよかったかなという反省もありました。

この段階のメッセージカードはすでに職業名が決まっているので、「どんな?」を説明する言葉に集中していくのですが、ひとつまえの食べ物編での表現と深いところで共鳴していたりもして、とても味わい深い時間となりました。


⑦beの肩書き〈自由編〉

4時間半の半日版では⑥で終わりなのですが、ここからさらに休憩を挟みつつ、ひとりひとりにしっくりくるbeの肩書き(=言葉の表現)を探究してゆきます。

2周目を終わってしっくり度が90%の人もいれば、50%の人もいます。そこでひとりあたりの持ち時間も特に決めず、みんなでサークルをつくって、話してみたい人から順にオープン・センテンス形式で語ってもらい、それについて参加者からさまざまなアイデアを出してもらう感じで進めてゆきました。(僕はbeの肩書きを名付けるのが得意なわけではないので、あくまでファシリテーターとしてそこにいる感じです)

午前中でははじめまして同士でありながら、3人組のグループワークを経て自分自身の深い部分をオープンにさらけ出し、日も沈んだ頃にひとつの円になってみて、やはり半日にはない1DAYならではの絆の深まりがあるなあとしみじみ感じることができました。


⑧おわりの時間(ハーベスト&チェックアウト)

ダイアログを経て、最後のワークはマウナケア・スケッチです。

⑦でいろんな案が出た中で、現段階でいちばんしっくりくるbeの肩書き候補を選び、真ん中にビジュアライズしてゆきます。ここまでは言葉という左脳的な思考を重ねてきたので、最後は右脳に振り切ってみます。

ちなみにここまでは、あえてdoの肩書きの話をする時間はありませんでした。お互いの存在を存分に受け止めながらも、まだ「何をしている人なのか」はほとんど知らないのです。

この山の絵を共有して初めてbeの肩書きだけでなく、その上にあるdoの肩書きを知ることになるのですが、それは何とも言えないフレッシュな再会となるのです。


ということで、初めての1DAYワークショップのデザインを振り返ってみました。

いちばんの手応えは、1日とはいっても、3周してみるとやはりしっくり度の高いbeの肩書きが見つかる、ということ。そして、1日とはいっても、beを探究する仲間同士の深い出会いを生み出すことができる、ということです。


いま僕の住まいは京都なので、東京での1DAYは3月16日(土)の1回のみとなりそうですが、もっと気軽に開催できそうな関西では、もう何度か試してみて、beとbeが出会う精度を高めてゆきたいと思っています。


ということで繰り返しになりますが、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

はじめまして、勉強家の兼松佳宏です。現在は京都精華大学人文学部で特任講師をしながら、"ワークショップができる哲学者"を目指して、「beの肩書き」や「スタディホール」といった手法を開発しています。今後ともどうぞ、よろしくおねがいいたします◎