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「食べ物」しばりで「beの肩書き」をやってみた 〈はたらく学校「国語」のスライド公開!〉

こんにちは、勉強家の兼松佳宏です。

12月7日に発売となった『beの肩書き』ですが、オンライン販売中心ながら、1月17日時点でいよいよ1,000冊を突破しました。ありがとうございます!

また、「本は読んだけど、まだワークを体験できていない」という声も多くいただいたので、関東の方向けには2月9日(土)3月16日(土)に「「beの肩書き」を1日でつくる特別ワークショップ」を、また、その他の地域の方向けには、3月から12月までほぼ毎月「beの肩書き@オンライン」も開催してゆきます。

特別ワークショップの方は、書籍を購入いただいている方は2,000円OFFになります(先着4名限定)。7時間という、じっくりまる一日かけてのワークを一般向けに開催するのは初めてなので、よろしければ遊びに来て下さい◎

みなさんにとって、自分と深くつながるいいリトリートになることを願っています。


大阪版「beの肩書き」は食べ物しばりで

そして1月17日(木)夜は、OSAKAしごとフィールドが主催するはたらく学校「国語」 言葉で遊ぶと自分らしさが見えてくる! 「beの肩書きワークショップ」ということで、40名ほどの参加者と一緒にbeの肩書きを考えてみました。

さまざまな仕事や求人企業との出会い、就職活動や働く上で役立つ授業を、国語・数学・理科・社会などになぞらえて開講する「はたらく学校」。

僕はありがたいことに「国語」担当で声をかけていただいたので、「それなら普段より攻めて、もっと言葉や例え(メタファー)で遊んでみよう。うん、大阪だし◎」と、いつもは職業名で例えるところを、食べ物しばりでやってみることにしました。

そして、それが本当に楽しかった!

食べ物しばりというのは、たとえばこんな感じです。いってみれば大喜利ならぬ、be喜利ですね。こっちはウケ狙いというよりも優しい。

もともと「ハンバーグのパン粉」というふうに、ユニークな食べ物をメタファーとしたbeの肩書きもあったのですが、実際にやってみようと思ったのは、グリーンズのインターンさんが勝手にやってくれていたこちらの記事が楽しそうだったからです。

個人的にも『beの肩書き』のイメージをもっとユルくしたかったので、この記事はまさに渡りに船でした。ありがとうございます!


たとえばどんな食べ物の例えが?

最後の感想シェアでは、参加者のひとりからこんな声をいただきました。

親の介護についてグループで話をしたところ、「ふっくらと人を癒やしてくれるホットケーキのような人 あたたかみのある世界から消えると困るおやつです」というメッセージカードを受け取って感動しました。

僕も思わずもらい泣きしそうになりましたが、beの肩書きは泣けるワークなんだなあ、としみじみしました。

とはいえ、いい時間というのは、僕が云々ではなく参加者ひとりひとりでつくりあげるものなので、オープンに話していただいたみなさん、それをしっかりと受け取ってくれたみなさんに感謝です。

他にも少しだけ、食べ物メタファーのbeの肩書きをご紹介したいと思います。

ちなみにこれ、このあとのワークショップのレシピでも触れますが、グループのメンバーの話を4分だけ聞いて、そのあとたった4分くらいで考えてカードに書いたものなんです。みなさん、国語の才能が溢れすぎてます...


かけるものはかわってもシンプルなすじをとおす「かきごおり」のような人

いろいろなものを吸収して大きくなる「ふ」のような人

何にでもなれる、可能性が無限大な「お米」のような人

たべればたべるほど、のめばのむほどあたたかくなる「ジンジャー」のような人

熱せられてはじける「ポップコーン」のような人

お豆腐の「やさしさ」とピリリと「熱さ」 「麻坊豆腐」のような人

古いけれど新しい地元を愛する「柿」のような人

食べ方にいろんな正解がある「たい焼き」のような人


おかげさまで参加者アンケートでも、「とてもあたたかい時間になった」「涙が出そうになった」「夢のようなポジティブな時間が過ごせました」、そして、「初対面の人から自分自身のことを教えてもらうのが貴重だった」「食べ物が例えやすかったし、本質に近づくことができた」という声がありました。

今回の「食べ物しばり」のような参加者への"無茶振り"は、自分主催のワークショップではなかなかできないことだったりするので、こうしていろんな方々とコラボレーションしながら、beの肩書きのポテンシャルを引き出していただけるのは、本当にありがたいなあと思っています。


〈beの肩書きワーク@はたらく学校のレシピ〉

ということでいよいよ、この日のワークショップのレシピを共有してみたいと思います。

①チェックイン
②レクチャー
③練習
④ストーリーテリング + フィードバック + メッセージカード
⑤贈呈式+チェックアウト


①チェックイン

今回のグループ分けは、「いま、心の中はどんな色?」をイメージしていただいて、赤→オレンジ→黄色→黄緑→緑→青→紫と、七色で一列になってその順番に3人組に分かれる「虹色ロマンチック」方式にしました。

グループ分けはレクチャー後にしたので、まずはこの場になれるために、最初に座った場所の周りにいる人と2〜3人組でお名前/どちらから/今日はどうして?くらいを軽く話してもらいました。


②レクチャー

今回のレクチャーは30分ほどで。

beの肩書きとは? → 例えばこんなbeの肩書き → 肩書き=自分なのか?問題 → コメディアンとしてのバス運転手 → 肩書きを与えるのは誰か → 「夢を叶える」とはどういうことか → 肩書きは誰のためのものか → セラピー技法としての“外在化” → ユーダイモニアとヘドニア → リフレーミング → 「ことばで遊ぶ」くらいの軽い気持ちで

今回、改めてスライドとして抜き出したのは、セラピー技法としての“外在化”で、フォーカシングや当事者研究の例にふれながら、メタファーを通して自分を捉える挑戦について強調してみました。


③練習

グループ分けのあとは、いきなり本番に入らず練習の時間をとってみました。

まずは3人でのチェックインを使って、食べ物についてのイメージをできるだけ引き出しておくために、お名前/最近、印象に残っている料理や食べ物というお題で話し合ってもらいました。

この時点での盛り上がりで、食べ物というテーマがbeとつながりが深いこと、普遍的であり共感しやすいことが伝わってきました。

自己紹介の時間が終わったら、次は参加者のひとりのdoを1分で自己紹介してもらい、そのあと2分で、いま聞いた話を食べ物で例えてみる、という練習に入りました。僕でいうと、大学の教員=場を整えてあとはひとりひとりの発酵を信じる「お酒づくり」のような仕事?みたいなことですね。

もちろん多少戸惑った方もいましたが、この時点で既に、時間をかけて味わいを引き出す「ワイン」、ふりかけるだけで一味変える「ふりかけ」など、興味をそそるメタファーが生まれていました。

さまざまな例をこの場全体で共有できたことは、次のワークもうまくいきそうかも、という予感につながりました。


④ストーリーテリング + フィードバック + メッセージカード

一回、休憩をはさみ、次はストーリーテリングです。語っていただくのはbeの肩書きインタビューで書き出したうちのひとつのエピソードなので、休憩中には済まさえておいていただくようお願いしました。

宿題にしてもいいのですが、どうしても個人差があるので、ガッツリいくことを目指さない体験版では休憩中にできる準備にしておく、というのは大切かもしれません。

そして、いよいよ語り合いの時間です。最初に語り手、聞き手、メモ係に分かれます。

語り手はヒストリーで書き出したことをゆっくり思い出しながら、自由に話をしてOK。聞き手は相槌をうつ、言葉を繰り返すなど傾聴することに集中し、メモはメモ係にまかせます。メモ係は白い紙とペンを持って、話のすべてではなく、大切なキーワードや表情が変わった瞬間をメモしていきますが、基本的に質問は聞き手にまかせて黒子に徹します。

このときはひとりあたり語る時間を4分とし、残り半分、あと30秒のアナウンスをするようにしました。終わりの合図が来たら語り手に拍手をし、黒子に徹していたメモ係さんから、語り手に「キーワードは何だったのか」「どの瞬間に表情が変わったのか」など、1分ほどフィードバックをします。

そして、その後2分ほどブレインストーミングをし、3分ほどでメッセージカードを仕上げてゆきます。この約10分が1セットとなり、3人分繰り返しますが、メッセージカードはまだ渡しません。

4分はストーリーテリングとしてはかなり短いですが、これはこれでコンパクトでよかったかもしれません。

ブレストはグループによっては、早めに思いついてしまってメッセージカードに書き始める方もいたので、ブレストせずに即メッセージカードの方が、メッセージカードをもらったときに新鮮な経験になるにかな、とも思いました。


⑤贈呈式+チェックアウト

そして全員分が終わったら、相手の目を見て、一言添えてメッセージカードを渡し合います。

ゆっくり時間をかけてやってもいいのですが、まずはみんな気になっていると思うので、僕の場合はひとり1分ずつで贈呈式を終わらせて、あとは時間がくるまでグループのみなさんでチェックアウトをする、というようにしています。

この日は時間が押してしまってグループでのチェックアウトはできなかったのですが、終わったあとにそれぞれご挨拶をしたり、メッセージカードの感謝を伝えたり、いい場になったひとつの証である、帰宅するのが名残惜しい感は出ていたように思います。


ということで、初めての食べ物しばりのワークショップデザインを振り返ってみました。

OSAKAしごとフィールドでのイベントでいつもありがたいのは、無料ということもあり、僕のことも、greenz.jpのことも、ましてやbeの肩書きについてもまったく知らずに参加したという方が多いので、僕も甘えずにあれこれ試すことができることです。

夜の打ち上げでは、さらなるbeの肩書きの話でも盛り上がりましたが、年間を通じたbeの肩書きカウンセリングなど、自分一人では実現できないbeの肩書きのさまざまな可能性をいろんな方と一緒に拡げてゆけたらと思っています。

また、食べ物しばりについては、体験版としてはとても相性がよさそうですが、その場では楽しくとも、それを名乗ったり、自分に唱えるほどのものになるかは、正直人それぞれだとも思いました。

beの肩書きが一回のワークショップで見つかることは、ほとんどレアだと思います。むしろ大切なのは、そのエッセンスを吟味すること、そしてbeの肩書きのメタファーとなるような言葉を探し続けて、こねこねしていくことです。

食べ物でも乗り物でも、アニメのキャラクターでも、あるいは『beの肩書き』本で推奨している職業名でも、僕の「勉強家」のように人生の一部となるような肩書きと出会えることを願っています。


ということで、参加者のみなさん、声をかけていただいたハローライフの塩山さん、島田さん、お手伝いいただいたナンシーさん、ありがとうございました!

はじめまして、勉強家の兼松佳宏です。現在は京都精華大学人文学部で特任講師をしながら、"ワークショップができる哲学者"を目指して、「beの肩書き」や「スタディホール」といった手法を開発しています。今後ともどうぞ、よろしくおねがいいたします◎