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勉強家として初の個展『勉強家宣言2020』の歩き方&迷い方

"泊まれる本屋"や"泊まれる博物館"など"泊まれる○○"は数あれど。おそらく世界で唯一"泊まれる雑誌"を掲げているのが、町屋づくりの牛乳屋をリノベーションしたマガザンキョウトです。

1日1組限定の宿ですが、誰でもギャラリーやショッピングを"雑誌"のコンテンツとして楽しむことができます。いまや京都のローカルなお祭り「地蔵盆」の会場にもなるくらい地域に溶け込んでいるのだとか。



そんなマガザンキョウトの魅力のひとつが、さまざまなクリエーターとの共同編集というかたちで展開されている"特集"です。

これまでに「廃材」から新たな価値を生み出す「副産物特集」や、小説家が在廊してひたすら小説を書きつづける「私小説特集」、父母姉妹というアーティスト一家全員のアート作品を持ち寄った「家族特集」など、ユニークな特集が組まれてきました。

そして今まさに開催中なのが、僕が共同編集として関わらせていただいている勉強特集 勉強家宣言2020です。


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勉強家宣言


基本的なコンセプトは"ポップアップ勉強部屋"ということで、僕が本当に愛用している文机やデスクライト、本棚などを持ち込み、可能な限り僕も(ときには家族も一緒に)そこで勉強してしまう、というもの。

少しずつですが、来ていただいた方のご感想も届いています、感謝! 先日は地元のテレビ局の取材も入ったそうでありがたや...。じわじわ広がっていくことを願って、今回はその見どころをご紹介したいと思います。



"勉強"をめぐる疑問に答えたい

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今回目指したのは、正解がないともいわれる世の中だからこそ、自分自身をアップデートしつづける方法としての「勉強」を見つめ直すこと。

そこで「みんな何を勉強しているの?」「どうやって勉強したらいいの?」「どうやったら勉強したいことがみつかるの?」「"勉強家"を名乗っているあなたは何を勉強しているの?」といった勉強についてのさまざまな疑問に答えられるような企画を考えてみました。

そして、もうひとつ大事な裏テーマとして設定したのが、「勉強のイメージを変えること」。そもそも「勉強って楽しいの?」という方にも、何かひとつでもきっかけをお届けできたら...と思っています。


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「この場所で勉強する、あなたの横顔が展示です」


「みんな何を勉強しているの?」

この疑問に答える企画が「あのひとの勉強中」です。

いま最先端で活躍している方々がいまどんなことに興味を持ち、未来に向けてどんな種を蒔いているのか、敢えてラフにあちこち貼り出してみました。

遠山正道さん(Smiles代表)/アート領域のインフラ
コムアイさん(
歌手)/能「翁」
山崎亮さん(コミュニティデザイナー)/アート・ドキュメンテーション
藤田一照さん(曹洞宗僧侶)/新しい「からだ」の見方&動かし方 など

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「あのひとの勉強中」


どうやって勉強したらいいの?」

もう片側の壁には、「あなたにとって勉強とは?」というステートメントやそれぞれの勉強のしかたを。

横石崇(Tokyo Work Design Week オーガナイザー)/「飲み会やパーティーにはいかない(人生最大の時間泥棒だと気づいた)」
信岡良亮(さとのば大学 発起人)/「社会実験仲間と一緒にどんどん実験として社会に小さく実装していく」 など

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「あのひとの勉強法」


また、勉強法や学び方のヒントになりそうな、「勉強法」「独学」「メタ認知」といったキーワードの本を「学び方を学ぶ」本棚としてセレクトしてみました。


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「学び方を学ぶ」本棚


「どうやったら勉強したいことがみつかるの?」

つづいての疑問に答える企画が、noteでも連載している「いますぐ勉強したい30のこと」です。

こちらの記事でおとなの勉強を5種類に分けてみましたが、僕にとってそれらにあたる、なぜかわからないけれど好奇心がくすぐられる本を「いますぐ勉強したい」本棚として展示しています。


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「いますぐ勉強したいこと」本棚


とはいっても、「30もあって多すぎる...」という方のために、おみやげとしていますぐ勉強すべしおみくじもご用意。どう受け取るかはみなさん次第ですが、ひとつのきっかけになれば幸いです。

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いますぐ勉強すべしおみくじ


「"勉強家"を名乗っているあなたは何を勉強しているの?」

最後は手前味噌ですが、勉強家を名乗って10年になる僕自身がこれまで勉強してきたことを2つの本棚で表現してみました。

ひとつめはおかげさまで2019年末に増刷となった『beの肩書き:「人生の肩書き」はプレゼントしよう』が完成するまでに、参考になった本たちを『beの肩書き』ネタバレ本として並べてみました。実験して失敗するたびに、本が増えていった気がします。

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『beの肩書き』ネタバレ本棚


もうひとつが、空海と歩んだ15年本棚で、24歳から勉強している空海の本を、購⼊した時系列で並べてみました。⼊⾨書から専⾨書に⾄るまでの軌跡が浮かび上がってきます。

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(左)『beの肩書き』ネタバレ本棚/(右)空海と歩んだ15年本棚


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おまけ:集中力が切れたら瞑想ルームへ


いちばんの展示は、ともにつくる「勉強的時間」

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と、ここまで駆け足で展示内容をご紹介してきましたが、オープニングから1週間ほど経って気づいたのは、いちばんの展示はここに行き交うひとたちといともにつくりあげていく「勉強的時間」なのだろうなということです。

2月初旬のオープニングイベントには大人だけでなく、(親に連れられてですが)小学生や高校生も来てくれて。そして関西エリアだけでなく、長野や島根など遠方から駆けつけていただいた方もいました。

そして壁の言葉を眺めながら、あるいはトークに混ざりながら、ひとりひとりがそれぞれのタイミングでハッとなにかに気づいていく。その表情がどれも美しい。美は唯、勉強に在り。

僕にとって、今回の企画はこれまでの半生の集大成でもありますが、僕がずっと見続けていたいのはきっと、この勉強する横顔だったのだと。



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ライトに壁の展示を見るもよし、ディープに気になった本の付箋に迷い込むもよし。自宅代わりに勉強してもよし、僕や他の誰かが勉強している様子を見守るもよし。

ぜひそれぞれのペースで"勉強家展"を味わっていただけると嬉しいです◎


\お知らせ/

明日(2/13)の夜には、「いますぐ勉強したい30のこと」のヒントをくれた編集者の大塚啓志郎さん(ライツ社)、「勉強」特集の仕掛け人である岩崎達也さん(マガザンキョウト)をゲストにお招きしたトークも!


はじめまして、勉強家の兼松佳宏です。現在は京都精華大学人文学部で特任講師をしながら、"ワークショップができる哲学者"を目指して、「beの肩書き」や「スタディホール」といった手法を開発しています。今後ともどうぞ、よろしくおねがいいたします◎