卵子形成の性分化の仕組みが分かったよ

こんばんは。

今週もお疲れさまでした、と言いたいところですが、明日は振替出勤で気分はブルーです。

今日は「卵子形成の性分化の仕組みが分かったよ」というお話です。

今回はこちらのプレスリリースからの紹介です。

研究の内容をおおまかに

生殖細胞とは、動物が子孫を残す際に遺伝情報を次世代へ伝える役割をもつ細胞のことです。

卵子や精子がこれに当たりますが、正確にはそれらの基となる細胞も生殖細胞にあたります(下図参照)。

始原生殖細胞

引用元:http://www.tmd.ac.jp/artsci/biol/textlife/develop.htm

上の図で言うところの、一番上の「始原生殖細胞」から「精子」や「卵子」までが生殖細胞に当たります。

ここで注目して欲しいのが、「始原生殖細胞」から「卵母細胞」(上の図左側)または「精母細胞」(上の図右側)に分岐しているところです。

この分岐を性分化といい、赤ちゃんが胎児期のめちゃくちゃ早い段階で起こります。

で、今回の研究ではこの「始原生殖細胞」 → 「卵母細胞」に分化するメカニズムを解明した、というお話です。

多能性幹細胞からつくってみた

多能性幹細胞というのは、ES細胞とかiPS細胞とかのことです。

この研究では、iPS細胞やES細胞から卵子を作れるんじゃないか、というお話につながっていきます。

今回の研究では、マウスのES細胞から生殖細胞(始原生殖細胞)を作り、その生殖細胞を卵母細胞に変化する様子を観察します。

ちなみに、生殖細胞から卵母細胞に誘導する方法についても、同じ研究グループが発見していたのですが、そのメカニズムについては不明でした。

遺伝子の候補を絞って実験!

こちらのnoteでも書きましたが、精子や卵子ができる過程において遺伝子が主役になってきます。

そこで、「まずは性分化の主役になっていそうな遺伝子を割り出そう!」ということで、マウスの体内でつくられた卵母細胞と、人工的につくられた卵母細胞を比較します。

すると、8つの遺伝子が候補に挙がりました。

この8つの遺伝子をES細胞に搭載し、そのES細胞から「始原性生殖細胞」をつくります。

この8つの遺伝子をON / OFFを切り替えながら、性分化していく様子を観察します。

すると、『Zglp1』という遺伝子がONになると、90%以上の細胞が卵母細胞へと誘導できることが分かりました。

この遺伝子は上述した、「生殖細胞から卵母細胞に誘導する方法」と比較してみても、この遺伝子がベースのはたらきになっていることが分かりました。

要するに、この『Zglp1』のはたらきで「卵母細胞」ができ、「卵子」がつくられるよ、っていうことです。

今後どうなるかな?

今回の研究はマウスの細胞を使ったものなので、次は人の多能性幹細胞を使っても同じ結果が得られるか検証を行うようです。

もし人でも同じ結果が現れたら、iPS細胞から卵子をつくることも可能になってくると思います。

また、精子の性分化のメカニズムも解明することを目指すようです。

今回の研究は不妊症の原因解明や、先天性の染色体疾患のメカニズムの解明に役立ちそうです。


それでは本日は以上となります。

最後までお読みくださりありがとうございましたー。

【おまけ】
ちなみにiPS細胞とES細胞の違いですが、iPS細胞は「自分の細胞であれば皮膚でもどこでもいい」というのに対し、ES細胞は「受精卵からつくられる胚盤胞から培養」という制約があります。
そう考えるとiPS細胞最高じゃん!となるのですが、めちゃくちゃコスト高になるので、経済的な負担になります。
その結果、政府の備蓄事業の打ち切りが話題になりましたね。

なんか急にまじめな話をしてしまった。

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