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マレーシア・サラワク州にあるオイルマネーで潤う町

マレーシアの中でも石油がとれる町として名高い、ビントゥル。
ここは、ボルネオ州 サラワクにある小さい町です。
2020年1月、ボルネオ島サバ州からミリまでバスでひた走り、ミリよりほど近いビントゥルへ行ってきました。

ビントゥルってどんな町?

ボルネオ島西海岸のちょうど中心辺りにあり、サラワク州に属している町です。
orang asli(先住民)が自治権を持っているサラワクですが、ビントゥルは約40%ほどが華人のようです。

チャイニーズストリートには大きなお寺がありました。

次に多いのが、16%くらいいる外国人。ビジネスのにおいがプンプンしますね。
そして15%程度のマレー系に、先住民測であるメラナウ族が10%ほど。
もちろん、それ以外のサラワク民族もいます。

1950年代までのビントゥルは、木材採掘業、漁業、サゴ加工が主要な経済活動でした。
人口わずか5,000人余りの小さな町だったのです。
サラワク王国がマレーシアとなったのは、1957年のこと。
マレーシア国となって間もなくの1969年、ビントゥル沖で大量の天然ガスが発見されたのです。
ツインタワーを建てた、マレーシアの代名詞ともいえる「ペトロナス」は、国営石油・ガスの会社として、1978年にサラワク州ビントゥル開発局が設立しました
人口は1980年代には42,812人と8倍以上にもなり、2010年には114,058人にまで増えています。

ビントゥルへの行き方

飛行機


ビントゥルにも空港はあります。
飛んでいるのは国内線のみで、マレーシア空港とエアアジアのみ。
行き来できるのは、主に首都のクアラルンプール、コタキナバル(サバ州)、クチン、ミリ、シブ、ムカー(サラワク州)の4都市な上、地方空港なのでフライト数もかなり少ないです。
飛行機で行く場合はスケジュールをしっかりたてた方がよさそうですね。
半島から行く場合は、クアラルンプールから飛ぶしかないようです。
ミリ、シブ、ムカーに関してはどこも200kmちょっとの距離なので、少ないフライトを待っているより、バスや車で移動してしまった方が早いかもしれないですね。

町に活気がある割に、地方都市の小さな空港でした。
バスターミナルの方が人の往来も多く、活気がありました。

バス

おそらくこの手段で行く人が多いと思います。
※写真は実際にミリから乗ったバスです。

空地にポツンとたたずむ木造の建物がミリのバスターミナル。
砂利道の空き地に大型バス駐車場のように乱雑にならんだバスたち。
主要都市 ミリはそんなバスターミナルでした。
チケットを買うと、◯◯番 ほらあそこに止まってるやつよと指を指され、
荷物を持ってバスのところまで歩くのです。
自分でバスを探して乗り込むシステムはさすがに初めて。
そんなバスターミナルがこちら。


ミリがこれならビントゥルは更に小さなバスターミナルだろうと思っていたのですがー

こちらはビントゥルのバスターミナル。
空港か?と思うようなバスターミナルです。
マレーシアの地方空港よりも空港ぽいですね。
あちこちの都市や町に向けてバスが出ているので、とりあえずバスターミナルに行けばなんとかなりそうです。
ホテルも隣接してるし、飲食店もどれにしようか迷うほどあります。
お値段も飛行機と比べるとリーズナブル。
クチンまで夜行バスで約12時間ほどで到着。寝にくいですけどお安く行きたい場合はバスに勝敗ががあがります。

鉄道

ありません。
かつてサラワク王国鉄道が、1931年から1933年の2年間走っていたようです。全長27マイルを予定されていた鉄道路線は13マイルまで完成。
そこで建設中断となり、1946年に廃線となりました。

ということで、バスが一番便利な人々の足なのでありました。

ビントゥルの印象

ミリはそれなりに大きな町でしたが、いうてボルネオの片田舎。

ミリからビントゥルまでバスで4時間ほどでしたが、途中、大型バスが立ち寄る 日本でいうドライブイン のようなところが1ヶ所。
あとは道路脇に生い茂った草が生えいたり、うっそうと木が立ち並んでいる道をひた走ってきました。
家らしきものはポツ  ポツ あったと思いますが、「町」はおろか、集落でもない感じ。

ところが、そんな景色も見飽きた頃、ガタガタ言わないアスファルトの道を走り出しました。
町が近づいてきた!
窓から外を見渡すと、片道三車線はある道路だったのです!
さっきまでの凸凹な砂道、落ちてる大きな石、丸太のような木の枝は見当たらない。
そして、立ち並ぶ家々がでかい!
さらにリンクハウスでなく、平屋の一軒家ばかりが建ち並んでいました。

ビントゥルのバスターミナルで、まずここでオイルマネーの力を感じてしまいました。

ホテルとショッピングモールがたくさん

ビントゥルもボルネオ島の海沿いの街。
コタキナバルと同じような気分で子供を連れてホテルにチェックイン。
たいして高いホテルではないのだが、立派な感じ。整然としているし、対応がきちんとしている。
特に観光地も観光客らしき人も見かけないのですが、きれいなホテルが点在しています。
ラウンドアバウトの大きい事!
時々すれ違う人は皆アタッシュケースを持ったビジネスマンである事に気づきました。
サバではあまりお目にかかることのない(私がそういうところにいかないから)フォーマルな服装の人ばかり。
フォーマルと言ってスーツばかりだと思うなかれ、アラブ人もいるのです。

町をフラフラしてホテルに戻ったら、私の後ろから続いて入って来た人が、なにやらどこかに案内されていました。
ホテルの入り口にいくつも区切られたスペースや部屋があり、そこはなんと「商談スペース」
なるほど。みんな仕事のためにここに来てるのですか!(観光客らしき人は見かけませんでした)

オイルコンビナート

海沿いにオイルコンビナートが立ち並ぶビントゥルですが、2019のBP統計によると、原油とガスを併せた2018年の原油換算生産量は、インドネシアが1日、207万バレルであるのに対し、マレーシアは、1日193万バレルとのこと。
ほぼインドネシアに匹敵します。

このうち、ペトロナスを所有する(100%株式を所有)Petronas Carigali(チャリガリ)が生産する割合は、51.2%と半分を超えています。
マレーシアのオフショア鉱区は、次のの三つの地域に分けられています。

 1.マレー半島沖(マレー半島の東から北東沖)
 2.サラワク沖(ボルネオ島南西沖)
 3.サバ沖(ボルネオ島北西沖)
この3つの地域、それぞれライセンス数をみるとおよそ4:3:3の比率となっていて、半島が4に対し、ボルネオ島が6である事が分かります。

※写真はミリのペトロナス博物館資料より

マレー半島沖は主として油田がメインである一方で、サラワク州沖はガス田の開発が主となっているようです。
ここで生産されたガスのほとんどは、BintuluにあるLNG液化プラントに送られて、そこでLNGとして輸出されています。もちろん日本にも。
なんと!年間9トレイン、2,930万トンの生産能力があるのだとか!
トレインなんて単位 初めて聞いたので検討もつきませんが、、、

となりのサバ沖では、サバ-サラワク・パイプラインがフル稼動していないなかったこともあり、発見されても開発に着手できない油・ガス田が存在していたようです。
日本企業でこの仕事に携わっていた方々もいたのですけどね。
間にブルネイを挟んでいることもあり、なかなかスムーズにはいかないようですね。

※写真はペトロナス博物館(ミリ)の模型

サバ沖で生産された天然ガスは、一部がサバ州の発電所や工場、生活で使用されて、残りは、ついに!2014年に運転開始となったサバ・サラワク ガスパイプライン(SSGP)を通じてサラワク州BintuluのLNG液化プラント(生産量2,930万トン/年)に送られてきます。
そこでLNGに液化され輸出されているんです。

という事からも分かるように、ボルネオ島のほとんどの資源が、このビントゥルに集まってくるんですね。

さて、毎日大量の天然ガスが精製されているビントゥルですが、2023年以降 その量が減ると推測されています。

オイルマネーの町、ビントゥルが今後どうなっていくのかも気になりますね。


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