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『カルチャーモデル』を読んで

おはようございます。
自習室4日目、「さとか」です。

本日ご紹介する本はこちら。

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Twitterでも書いていたように、2020年、一番刺さった本の一つです。


読書の目的

採用基準の話をする時に、よく”カルチャーマッチ”の話をしますよね。
そして、この図もよく見かけます。
なんなら、私自身この図を使って”カルチャーマッチの大切さ”を語ったりもしているのですが、ふと思ったのです。

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「そもそもカルチャーマッチってなんだ?」

とにかく、人事の領域は、”耳障りが良いけど、解像度の荒いコトバ”が多いですよね。だからこそ、”耳障りの良いコトバに逃げない”ことが重要になります。

なので、この”耳障りの良いコトバ集”の中でも、一番よく使われる”カルチャー”について、自分自身の解像度を高めるために、改めてこの本を手にしました。


要約(抽象化も含む)

❶よくある問題”期待値ギャップ”

以前に、人事の人たちとも話ていたのですが、早期離職理由としてよく挙げられるのが、「思っていたのと違う」という”期待値ギャップ”の話です。

「よくある」というくらい頻発するこの問題はなぜ起きるのでしょうか。

「組織文化」や「企業風土」は会社の歴史が積み重なり
つくりあげられたもので、多くの場合きちんと明文化されてはいません。

その理由が、上記の通り、きちんと明文化されずに”フワッとした”ままの状態で、時に人によって解釈の違う状態で受け継がれてしまうからなのですね。


❷カルチャーは何のために

カルチャーはいわば、会社にとって何を優先すべきで、どんな意思決定をし、
どんな戦略を立てるかを考える際、指針となる羅針盤のようなもの。

「羅針盤」という言葉、とても分かりやすいです。

よく「スタートアップはスピードが命」と言われますが、実際のところ、スタートアップに限ったことではなく、「ビジネスはスピードが命」です。
そして、その「スピード」とは、詰まるところ「意思決定のスピード」です。

・指示まち人間を減らす
・主体性を発揮させる
・権限委譲する
etc...

これらも、要するに「意思決定のスピード」を上げることで、経営のスピードを上げていこうというものです。いちいち全てのことに、トップの顔色を伺っていては、変化に対応できません。
とはいえ、間違った判断をするわけにもいかない。その時に指標になるのが「羅針盤」ですね。

ここで、ふと学生時代のスターバックスでのアルバイトのことを思い出したのですが、当時の店長がよく行っていたのが、この話。
これも、まさに「羅針盤」と直結しています。

「額に飾ってあって、一年に一回見られるか見られないかのものではなく、毎日のスタッフの行動に落とし込まれるもの、それがMVVでありカルチャーだよ」


❸カルチャーモデルの7S

まず、「カルチャーモデルとは何か」について。
「ビジネスモデル」というワードはよく聞きますが、それを”事業”と捉えた時に、その対になるのが「カルチャーモデル」なんですね。
(よく、”事業と組織は両輪だ!”というアレです。)

ビジネスモデル作りにおいては、様々なフレームワークがありますが(例えばリーンキャンバスとかもその一つ)、それと同じように、カルチャーモデルづくりにおいても、一つのフレームワークを使うことによって、”フワッとしたもの”が要素分解され、解像度が上がってきます。

結局、こうやって要素分解していかない限り、”耳障りはいいけど、よくわからない存在”を脱却することはできませんよね。。汗

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❹カルチャーづくりのプロセス

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全ては現状把握から、と言われますが、これは、「カルチャーづくり」のプロセスにおいても同じですね。しっかり一段一段着実に進めていかなければ、到底”カルチャー浸透”まではたどり着けなそうです。


❺カルチャー浸透のHOW

「カルチャーが浸透していく」ということはすなわち、メンバーの行動変容が起こること。行動変容といえば、”マーケティング”です。

本書では、近代マーケティングの父と言われる、フィリップ・コトラーのマーケティング理論”5A”に則して、”カルチャー浸透”を読み解いています。

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■認知(Aware)
例えば、会議室の名前がVALUEに掲げられているワードになっていたり、朝礼で、VALUEに関してのエピソードトークをする、と言ったものがこれにあたりますね。日常の様々なシーンでタッチポイントをつくる(仕掛ける)ということです。

■訴求(Appeal)
”認知”はその名の通り、”知っている”だけなので、そこからさらに上のフェーズの、”共感できる”、”好感を持てる”にいくには、一人ひとりがカルチャーを噛み砕いて解釈し、組織内で共通認識を持つことが重要だとしています。
訴求方法としては、Employee Experienceを設計しきり、その中で訴求していく方法があります。
・入社前のCandidate Journeyの中で
・入社後のオンボーディングの中で
・人事評価の中で
・成長/キャリア支援の中で
・社内環境の中で

■調査(Ask)
これは、手法としては、主に2つあります。
・FtoFですぐ聞ける環境を用意する
・自分ですぐ調べられる環境を用意する
スタートアップの急成長フェーズなどでよく起きがちなのが、”どこに何の情報が転がっているかわからない問題”
気軽に聞ける人がいなかったり、自分で調べようにもどこを調べたら良いのかわからないというような状態においては、次の「行動」フェーズに移りようがありませんよね。。汗

■行動(Act)
”日々の行動の積み重ねがカルチャーを形づくっていく”
わけですから、ここでも”行動に移しやすい仕掛け”をあらかじめ用意しておくことが重要ですね。
私個人として思っているのは、「カルチャー浸透施策は、人事が先頭に立って旗を振るとしらけやすい」ということ。いかに、現場で実際に推進してくれる応援者を初期の段階で確保しておけるかがポイントだと感じています。
また、VALUE評価のように人事評価とうまく組み合わせるのも”行動に移しやすい仕掛け”の一つですね!

■推奨(Advocate)
この最後の”推奨”にまで持っていけるかが、カルチャー浸透度合いを図る上での最終の指標となります。よくeNPSなどで計測されるものですね。
”推奨”段階にいっていれば、リファラル採用なども活発に巻き起こり、カルチャーマッチしている人がカルチャーマッチしている人を呼んでくるというプラスの循環を起こすことができますね!
(よく”リファラル採用の仕組みを作る”と簡単に言いがちですが、こうして見ると、そもそも”推奨”に至るまでのプロセスが設計されていないのに、形ばかりのリファラル制度を作っても意味がないなと反省しているところです。。)



自分の意見、Next Action

個人的な話で恐縮なのですが、近々、自分の会社でもまた改めて”カルチャーマッチの言語化”のワークショップをやろうとしていました。

やろうとしたきっかけは、冒頭でも書いたように、採用における”カルチャーマッチとは何か”を言語化し、共通認識として持ちたかったから。
(これがないと、採用基準も何も作りようがない。。)

この本は、去年から何度も読んでいましたが、やはり読むタイミングによって新たな気づきがあるものです。今回は、まさにドンピシャのワークショップをやろうとしていたので、「こういうフレームワークで会を進めれば良いんだ」という企画の土台となりました。そのワークショップは、実は今週の金曜日にあります。今日は月曜日。間に合うかな。。間に合うはず。笑

また、進捗については、こちらのnoteでも追ってご報告しますので、お楽しみに!